発泡ウレタン講習①
発泡ウレタン講習スタート╱DIYにもおすすめの造形術をプロに学ぶ
食パンの発酵画像ではない。これは発泡ウレタン。一般的にはプロユースの素材だが、使い方さえわかればDIY造形にも使用は可能。そこでワンオフ加工のスペシャリストを先生として招致! 発泡ウレタン講習がスタートする。
造形や塗装のプロに、作り方・塗り方を教わる!
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ほんだ塗装は車のカスタム業界では有名な板金屋で、いわゆるワンオフ加工のスペシャリスト。
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イベントやショーに出展する車も作っているプロに、DIYの先生になってもらおうという太っ腹企画です。
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何でも聞いてください。
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実はですね、DIYラボではこれまで「塗装」とか「FPR」とか「パテ」みたいなジャンルは、いっさいやってこなかったんですが……
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へえ、そうなんですね。
なんで? -
DIYでは難しいからですよ。缶スプレーを使った補修作業だって、キレイにやるのはカンタンではないし。
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あ~。
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ちょっとした補修なら自分でできるだろ、と思って塗ったら、かえって汚くなって被害がどんどん拡大したり!
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……。
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ですから、塗装関連には二の足を踏んでいたのでした。
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まあ、分かるけど、でも今はいい道具も揃ってますからねぇ。
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……ふむ。
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車をぶつけたときの補修にしても、狭い範囲だけに噴射するスプレーとか使えば、DIYでもけっこうできるし。
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道具の進化は侮れませんね。
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造形に関しても、今どきの発泡ウレタンは、昔より扱いやすくて、これはDIYの人にもオススメできますよ。
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発泡ウレタン?
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順番としては、「発泡ウレタン」「FRP」「パテ」「塗装」というのがパーツを作るときの工程なので、その順番で勉強していきましょう。
DIYラボに新しいアドバイザーがやってきました
DIYラボ レポーター:イルミちゃん
はじめまして。
ほんだ塗装の本多です
アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
塗装・板金・カスタムのプロショップ・ほんだ塗装
発泡ウレタンとは? まずは、使う目的から勉強しよう
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発泡ウレタンとは?
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車を例にすれば、エアロパーツを加工したり、オーバーフェンダーを作ったり……あるいは、エアロのマスター型を作るときにも使われる素材なんですが……
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ほう。
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要するに、何かを作ろうとするときの「形」「デザイン」を作るために使うのが発泡ウレタンです。
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形は、FRPで作るのかと思ってた。
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FRPでも造形はできるけど、発泡ウレタンに比べると扱いが難しいんですよ。
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フムフム。
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FRPを空中に貼ることはできないから、FRPを貼るための土台のようなものが必要になるし。
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土台……って例えば?
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ほんだ塗装で、FPRで造形するときによく使っていたのはアルミ板ですね。
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アルミ板を曲げたり、切って合わせたりして、それを土台にしてFRPを貼り付けていました。
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その上から、造形用のパテを盛って、削りながら形を作っていきます。
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なるほど。
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でも、これはなかなか大変な作業です。アルミ板で複雑な造形ができるわけもなく、後工程で理想のラインを出すまでに手間がかかる。
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それが発泡ウレタンだと、どうラクになるの?
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発泡ウレタンはカッターでもザクザク切れるし、柔らかくて削るのもカンタンなんですよ。つまり形を作りやすい。
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上の例は、ステップワゴンのオーバーフェンダーなんですが、ブリスターをこんなラインにしたいよ、とか……
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ダクトをこんなラインで入れたいよ、とか……
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削りながら、自分のオリジナルデザインを作れます。
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ほとんど工作のようなノリで、超大技をやってますね。
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こうやって、まずは発泡ウレタンで、ほぼほぼデザインを完成させてしまいます。
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……なるほど。
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で、形が仕上がってから、FPRを貼るんです。
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けっきょくFRPも使うんだ。
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もちろん。
発泡ウレタンにはFPRのような強度はないので。 -
あ、そっか。
柔らかいんですもんね。 -
FRPが固まったら、ひっくり返して発泡ウレタンは抜いてしまいます。
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柔らかいから、マイナスドライバーとかでもザクザク取れちゃう。
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発泡ウレタンは取ってしまうのか。
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そうです。すると空洞のFRPで形ができる。エアロパーツみたいな状態ですね。
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じゃあ、最終的にはやっぱりFRP製なんですね。
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ハイ。
発泡ウレタンで作った形はあくまでも「型」です。 -
そういうことかー。
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発泡ウレタンを使うと、世の中にはないカタチのパーツを自分で考えて、けっこうカンタンに作れるんです。
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カンタン……ですかね?
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FRPの造形はDIYでは難しい面があると思いますが、発泡ウレタンは比較的カンタンです。
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次回からは、その発泡ウレタンを使い方を教わります。
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まずは「うまく発泡させる」ことが重要ですね。
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そういえば、発泡ウレタンの「発泡」ってなんのこと?
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それは使ってみれば分かります。
発泡ウレタンでデザインを作る
フロントバンパーにデイライトを埋め込むための凹み(壁)をFRPで新設しようとしている。
DIY Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工のスペシャリストだが、通常のエアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休
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