発泡ウレタン講習④
発泡ウレタンの使い方╱キレイに発泡させるコツ
発泡ウレタンを実際に発泡させてみた。失敗しがちなパターンも敢えて織り交ぜた、発泡ウレタンの使い方・実況中継レポート。DIY好きなら、見るだけでも面白いはず。
これが発泡ウレタンの使い方(作り方)だ
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「発泡ウレタンの使い方╱発泡させる前のコップ作りが重要」の続き。いよいよ発泡編です。
●レポーター:イルミちゃん
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発泡ウレタンをキレイに発泡させるためのコツは、2つあります。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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ホホウ。
ひとつ目は? -
2液の発泡ウレタンの場合、主剤と硬化剤を混ぜますが、量は厳密に1対1で混ぜなければいけません。
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ハカリ、スタンバイオッケーです!
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大きな缶だとやりにくい作業なので、まず2液それぞれをペイントポット(容器)に移します。
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次に、本番用のペイントポットをハカリの上に置きます。発泡させるためのコップ(箱)も近くに置いておきます。
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せっかくですから、内側の面に布ガムテープを貼った箱と、貼ってない段ボールの2種類を使って実験してみましょう。
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なんかキンチョーするなァ。
厳密に測らねば…… -
正しい順番としては、主剤を先に入れます。
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例えば100グラムなら100グラム。自分で決めた量、ピッタリにするのが重要!
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じゃあ、100グラムで!
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……あ。
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ど、どうしました?
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入れすぎた。
しゃべりながらやってるから……。 -
あ゛ぁぁ~!!
もうオシマイだぁ。 -
いやいやいや、1発目の主剤を入れすぎた場合は、2発目の硬化剤も同じ量を入れればいいんだから大丈夫。
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あ、そっか。
重要なのは1対1で入れることだもんな。 -
そういうこと。とりあえず、キリのいいところで150グラムに変更しました。
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このあと、硬化剤も150グラム入れればいいわけです。
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切り返しが早い!
さすがですね。 -
ただし、次はピッタリ150グラム入れた時点で止めないとダメってことね。
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よし!
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えぇ!?
いつの間にか、もう混ぜてるし。 -
硬化剤を入れたら、速攻で混ぜないとダメ!
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急に慌ただしくなってまいりました。
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……まだか、まだか。
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え、なになに?
なにかを待っているの? -
んー……。
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あの~、本多研究員。
今、どういう状況なのか解説を…… -
来る、来る……来る!
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え? え?
来るってなにが??? -
箱、箱、箱。
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ホイきた。
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なんだかよく分からないうちに、急展開です! 発泡ウレタンが箱に流し込まれました。
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ふう。
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……あのぉ、解説を……。
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見てて、見てて!
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おや?
なんかもう、水面が上がってきているような……。 -
膨らんでキター!!
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……って、あ、あれ?
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おいおい。
どこまで膨らむ気だ。 -
あ~、やっぱり量が多すぎたか。
予定の1.5倍入れちゃったからなァ。 -
ひー!
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……と、止まった。
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これが発泡ウレタンの使い方(作り方)。
おもしろいでしょ? -
……てゆーか楽しんでないで、解説してくださいよ。
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イヤだなぁ、今のはフンイキを見てもらうために、とりあえずやってみたんですよー。
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……では、何がポイントだったのか、もう一度振り返ってみましょう。
主剤と硬化剤の2液を、ペイントポットに移したところ。
100グラムをオーバーしてしまった……。
ピッタリ150グラム。
硬化剤を投入
発泡ウレタンをキレイに発泡させるコツ
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さっきのは、ガムテープ無しの段ボール箱に流し込んだ、いわば失敗パターンの実験用です。
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そうだったのか。
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次は、前回ガムテープを全面貼りした、本番用のコップでやります。
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最初のポイントは、主剤と硬化剤を1対1で容器に入れたらすぐ混ぜること。
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ここは、モタモタやっていてはいけない作業です。
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解説するヒマもなかったわけか。
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そして重要なのは、箱(コップ)に流し込むタイミング。
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混ぜたら流し込む、ってことじゃないの?
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う~ん、ちょっと違う。厳密に言うと「もうすぐ発泡が始まる!」タイミングです。
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ホー。
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しっかり混ざりきる前に箱に流し込んでしまうと、発泡はするけど、キレイに発泡しなかったりする。
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……焦って早めに入れると、ダメなんだ。
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早すぎると、上のほうはブワーっとくるけど、内部はきれいに膨張しきれず、全体が均一に発泡しなかったりする。
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なるほど。
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かといって、すでに発泡してしまっているのを入れるのでは遅い。
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ウーム。
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ちょうど発泡し始めるタイミングのときに、キレイに均一に流し込み、敷きつめたような状態が作れれば……
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全体的に均一に、フワーっとキレイに発泡ウレタンが膨らんでいきます。
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単に、混ぜてバーっと流し込めばいい、という話ではないんですよ。
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投入タイミングかぁ。
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割り箸で混ぜながら、そのタイミングを見計らうのです。
こっちがホンモノ
✔ 作り方は前ページ「発泡ウレタンの使い方╱発泡させる前のコップ作りが重要」参照。
2液は、合わせたら「即」混ぜる
2つ目のコツは、この投入タイミング!
高さのあるモノを発泡ウレタンで造形する場合は…
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それと、今回は小さい箱で実験しているので1発で発泡させましたが……。
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ふむ。
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発泡ウレタンはいっぺんに分厚く流し込まない方が、キレイに発泡させやすいです。
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なるほど。
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だから、高さがほしいときは、段階を分けて発泡させるといいんですよ。
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それって、1回目のが固まったあとで、また注ぎ足すってこと?
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そうです。箱だけは最初から高く作っておいて、少し流し込んでは発泡させて、カリカリになったらまた付け足していけばいい。
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それでもくっつくんだ。
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発泡ウレタンはそれができます。実は車のワンオフ加工でも、フェンダーなど高さがあるパーツは、何段階かに分けて盛っているんですよ。
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いっぺんにたくさん入れれば大きく膨らむ、というわけでもないんです。
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なるほどね。
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1回当たりに流し込む発泡ウレタンは、なるべく薄く広く敷く。これもキレイに発泡させるコツのひとつです。
DIY Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工のスペシャリストだが、通常のエアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休
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