リアウイング取り付け・塗装講習(第3回)
リアウイング塗装前の足付けを、DIYで行うときのコツと心構え
リアウイング塗装をDIYでやる前に知っておきたいことを、板金塗装のプロに聞く。塗装前のFRP製リアウイングに、実際に足付けなどの施工をしながらのポイント解説だ。
FRP製リアウイングは、足付けだけでなくバリ取りも重要
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●レポーター:イルミちゃん
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前回は車にリアウイングの仮付けをして、問題ないことを確認したので、リアウイングを取り外して塗装の下準備に入ります。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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まずは何からするのでしょうか?
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リアウイング塗装前の足付けです。
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おさらいですが「足付け」とは、全体に傷を付けて塗料を密着させるための作業です。
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サンドペーパー(紙ヤスリ)でリアウイングの表面を削っていきますが、足付けと同時にもうひとつ重要なのがバリを取ることです。
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え。
バリなんてどこにある? -
注意して見るべきは、こういう箇所(↓)。FRPを貼り合わせているラインです。
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リアウイングに限らず、FRP製品は貼り合わせで作られているので、そのつなぎ目があります。
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FRPパーツがガラスマットの貼り合わせできているんだよ~っていうのは、以前にシャークアンテナ自作編で勉強しましたね。
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この製造上の都合から、FRPパーツの貼り合わせラインにはバリが出やすいのです。
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とはいえ、今回のリアウイングは、一見するとバリはなさそうですよ?
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そうですね。今回のリアウイングは製品クオリティが高くて、きちんと削るところまでは処理されています。
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ふむ。
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ただし、バリを削っているからこそ、こういう巣穴が出てくるんですね(↓)
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あ、ホントだ。
ポコポコと小さな穴が見える。 -
巣穴の正体はいってみれば気泡なので、バリになっている部分を削れば、巣穴が出てきます。
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なるほど。
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だから「バリをしっかり削ってあるFRP製リアウイング」でも巣穴はあるし、バリが残っている製品だとすれば、そのバリを削った段階で巣穴は出てくる。
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どっちにしても巣穴からは逃げられない。
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この巣穴はあとでパテで埋めますが、まずはリアウイング全体に足付けをするのが先です。
ガラス繊維のマットに樹脂の溶液を染み込ませて、強度を出しているのがFRP。
リアウイング足付けに使うペーパーの目は何番?
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リアウイングの足付け作業は何番のペーパーを使えばいいのでしょうか?
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今回のリアウイングは、320番スタートでいきます。
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「今回の」ということは、リアウイングによってペーパーの番目を変える?
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もしもFRPの貼り合わせ面にバリが多い状況なら、180番あたりでスタートしたほうがいいでしょう。
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より荒いペーパーを使うんだ。
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そうです。バリを取るのに320番では、作業がエンドレスになってしまいますので。
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時間がかかり過ぎてしまう。
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かといって全体を180番で足付けすると、目が荒すぎる。サフェーサーを吹いたあとに目が出てしまいます。180番で磨いてバリを全部取ってしまってから、320番に移行します。
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ナルホド。
リアウイングの足付け方法。DIYでもできる
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足付けをすると、テカテカしている面に傷がついてツヤがなくなります。だからテカっている箇所が残らないように、削っていきます。
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削ったところはマット調になっていくから、見れば分かりますね。
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ただ、ペーパーを平行に当てて磨くだけだと、テカテカが残っている場所が出てきたりします。
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平面に見える場所でも、キレイに平らな面とは限らない。ヘコんでいたりもするものです。
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凹みには傷が付かなくて、足付けができていないかもしれない。
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そうですね。だから丁寧に、目で確認しながら削っていかないとダメですね。
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ふむ。
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それからフチは特にちゃんと削りましょう。完全にバリを取っておきたいので。
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バリが残っていたりカドが立った部分があると、サフェーサーを吹いて色を塗っても、そのあとの磨き作業ですぐに下地が出てしまう状況になるので、要注意です。
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バリが残っているとけっこう怖いんですね……。
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ですから、FRPを貼り合わせてあるリアウイングのフチの部分は、なるべく丸みを付けておきたいところです。
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僕らプロは足付け作業に電動工具を使っていますが、機械だとどうしても、当たるところと当たらないところが出てくるので手作業も必要です。
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手磨きか。
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リアウイングの場合は、足の部分などは細かいので、ここは手作業で磨きます
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ちなみに特に電動工具を持たないDIYユーザーが、全面的に手磨きでやるのは、アリなんですよね?
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ハイ。大変だけど、手で全部丁寧にやるなら、それに越したことはないですよ。
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そうなんだ。
道具がいるのかと思ったけど…… -
電動工具を使う場合、平面はまあ、勝手に足が付いてくれるからラクだけど、リアウイングの面などは想像以上に「平面ではないところが多い」ので、どのみち手作業が重要です。
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手磨きは偉大なり。
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この足付け作業は、地味だけど一番重要な工程です。
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ほほう。
その理由は? -
足が付いていないと、サフェーサーが剥がれます。サフェーサーが剥がれる=色も剥がれますので。
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そう考えると、一番最初の工程にして、一番重要でもあるんだ。
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その通り。塗装の工程においては、とにかく「最初が肝心!」なのです。実際に色を塗る工程は、最終仕上げという感覚です。
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塗装のクオリティはここで決まる!と思って、磨き残しがないように、全面を足付けしましょう。
カドを丸めるように磨いている。
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DIY
Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工と塗装のスペシャリスト。エアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休 メールはこちら
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