缶スプレー塗装を学ぶ⑫
重ね塗りのタイミング(インターバル時間)は?
缶スプレーの重ね塗り。時間を置いて2回目を吹きにいくタイミングは、どう決めたらいいのか? 気温・湿度・1回目に吹いた塗装の厚み他いろいろな要素がからむため「何分」とは言えないが、重ね塗りのタイミングが、初心者でも簡単にわかる方法はある。
塗装を触ることができれば、重ね塗りのタイミングは測れるが……
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●レポーター:イルミちゃん
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垂れないように塗装するためには、時間をおきながら重ね塗りするのが重要だという話は前回した通りです。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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しかし難しいのは、1回目の塗装のあと、2回目の塗装に行くタイミング。
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見た目の判断材料は、前回言った通り「艶が引けたタイミング」が狙い目なんですが……
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それ以外にも、もっとカンタンな方法があるとか?
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DIYで確実に絶妙なタイミングで重ね塗りするために、実は「塗料を触ってみる」という手があります。
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なぬ? まさか、缶スプレーで吹いたところを指で触るの?
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そうそう。
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そんなことしたら、指の痕がついて塗装が汚くなるでしょうがッ!!
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ですよね。……もちろん、いま塗装しているパーツを触るわけにはいきません。
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……あん?
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塗装の下準備をしたときに、空き缶を用意しましたよね(↓)
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そうだ、忘れていた! 「あれはいったい何のため?」と思ったけど、もしかして……
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パーツを塗装するときに、横に空き缶などを置いておいて、同じように塗っていくんですよ。
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これはこれで真剣に、もう一個のパーツのつもりで、同じ塗り方をしてください。
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それで?
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いらない空き缶だったら、指で触ることができるじゃないですか。
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あー!
そういうことかぁ。 -
手で触れば、塗り重ねるタイミングが分かるんですよ。
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ナルホド。
時間では分からなくても、タイミングは測れる。
塗料を触って、糸を引く程度の粘着力が残っているタイミングで重ね塗り!
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それで、指で触ってみて、どのように判断するのでしょうか?
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触った感触として「ニュル」っとしていたら、まだ重ね塗りするのは早い。
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「ニュル」はまだ待て……と。
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もう少し時間をおいて、「ベタ」ぐらいのところで塗り重ねます。
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「ベタ」は重ね塗りしてヨシ……と。う~ん、分かるような分からないような。
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時間が開きすぎて塗料が乾いてしまえば、粘着力なんてなくなりますよね?
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そうでしょうね。
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このタイミングなら、重ね塗りする次の塗料も、馴染んでいきますよ。
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へー。
決め手は、粘着力か。 -
そうです。粘着の状態になる前、まだ明らかに濡れているタイミングでどんどん重ね塗りすれば、垂れます。
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それが、「見た目にも艶のある状態」ってことね。
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もしも艶どころか、まだ鏡面っぽく見える状態だったら、それはもう垂れる寸前と言えます。
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そんなタイミングで重ね塗りしたら、トドメになってしまうんだ。
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そうならないために、「艶が引ける」「触ってベタっとする」時間的タイミングを待ちましょう。
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重ね塗りの極意を授かった気がします。
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あとは同じように繰り返しタイミングを見計らって、重ね塗りしていくだけです。
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何回くらい繰り返すんでしょう?
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色にもよりますね。黒のようにトマリの良い色を塗るならば、3~4回ぐらい。
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1回目はふわーっと、まだ下地が透けて見えるレベルで、2回目で黒っぽくして、3~4回目で完全に黒にする、という具合。
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本当だ。少しずつ重ね塗りすれば、垂れそうな気配もなく、厚塗りできていく!
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最後にクリア塗装です。
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えー!?
まだ塗るの? -
仕上げのクリアは吹かないとダメでしょう。
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それも、何回も重ね塗りするんでしょうか?
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もちろん、そうですけど?
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とはいえ、今日はもう何回も黒を重ね塗りしてきたし……疲れたからクリアは明日にしませんか?
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……そんなノリでクリアを塗ったら、あとからパリパリ剥がれるでしょうね。
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クリアが剥がれる?
なんで???
塗料に粘着力があり、糸を引く程度のタイミングを狙って、次の重ね塗りにいくんですよ
2回目も、1回目と同様に塗りにくい場所からスタート。
2回目の重ね塗り後
今回は4回の重ね塗り
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