ウインカーポジション講習
ウインカーポジションキットはすぐ壊れる、故障する……というのは本当か!?
ウインカーポジション化に必要な、ウインカーポジションキットは故障しやすい……という話の真実。ウイポジキットが壊れる理由と原因を、設置環境や仕組みから改めて考えると、価格だけで選んではいけないこともわかる。
ウインカーポジションキットに壊れる話が多いのは事実
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ウインカーポジションキットを開発しているメーカーの人に、直接こんなこと聞くのはアレなんですけど……
●レポーター:イルミちゃん
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なんでしょうか?
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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ウインカーポジションキットといえば壊れる、すぐ故障する……というような話をよく聞くわけでして……
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あ~。
ユニット本体の故障の話ですね。 -
それって、本当の話なのでしょうか? どうか、真実をお答えください。
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一般論として言えば、ウインカーポジションキットは壊れやすい、これは事実かと。ただしIPF製につきましては……
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やっぱり、皆が言っている「ウイポジ☆壊れる」は本当だったのかッ!
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まあ、確かにウインカーポジションキットの故障の話はよく聞きますが……
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市川研究員、よくもダマしてくれましたね?
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え、なにが?
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「ウインカーポジションは車検に通る」(※)なんて言っていたけど……車検に通ったところで、壊れると分かっているモノを誰が付けるかッ!!
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人の話は最後まで聞きましょうね。
水がかかってウインカーポジションキットの本体が壊れる
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ウインカーポジションキットが壊れる、というのはいくつか原因があるのです。
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いくつも、あるのか。
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まずは水による故障。ウインカーポジションキットの本体ユニットは、エンジンルーム内に設置するのが基本です。
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車内に入れたらどうなの?
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しかし「ウインカーの配線を切って割り込ませるもの」ですから、現実的にはエンジンルームに設置することになるのです。
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わざわざ延長して室内に引き込むっていうのも、大変過ぎるか。
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で、エンジンルーム内はボンネットの下なので、水がかからないと思っている人も多いのですが……
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実際はそうでもない!?
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エンジンルーム内は水が入らないわけではないし、湿気も車内よりは多いので、防水対策は必要になります。
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ハダカのまま電装ユニットを置いておいたら、壊れるリスクが高い場所なんだ。
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IPF製のウインカーポジションキットは、防滴加工です。スイッチ自体も、ある程度、水に強いものを使っている。完全な防水性能とまではいきませんが、防滴性能は持っていますよ。
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……でもなぁ。
一般的にはそうではないんですよねェ。 -
普通のウインカーポジションキットは、非防水のものがほとんどだと思います。
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これは確かに、壊れる原因その①、ってところか。
ウインカーポジションキットは、そもそも壊れやすい!?
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それから、ウインカーポジションキットのユニットは突入電流が激しく、それによって内部の基板が壊れる……これもよくある話です。
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突入電流?
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ウインカー線に流れる電気は、その先にある21Wの電球を光らせることができる電力です。
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それを、ある意味では無理矢理絞って、例えば5W相当などに電力を落として、ウインカー球を減光点灯させていますので……
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そのぶん、ユニット本体に無理がかかっているんだ。
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そもそも壊れやすいことをやっている、とも言えます。寒いときなど、特に突入電流による負担が大きい。
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壊れる原因、その②か。
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3か月で切れた、1か月で切れた、なんていう声もよく聞きます。耐久性が低いと、あり得る。
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車検の心配をしていたら、車検が来る前に壊れたりして。
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IPFのウインカーポジションキットは耐久性をかなり重視して作っていますが、そうすることでコストがかかる、というデメリットが出てきます。
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ウインカーポジションキットも、安いものがいくらでも売ってますもんね。
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そうなんです。ちなみに、絶対に壊れないものを作ろうとすると、ものすごいコストがかかる話になってきます。今の時代に、それでは売れないでしょうね。
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う~ん、つまり、品質重視で勝負しにくい市場環境。これも原因のひとつと言えそうです。
✔ ウインカーの電球(白熱球)は21Wと、消費電力がかなり大きめ。
使い方によってウインカーポジションキットの故障リスクが増大
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そこへきて、さらにユニットの負荷を増大させる使い方をしてしまう例も少なからずある。
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……と言うと?
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ウインカーポジションキットでフロントウインカーだけではなく、サイドウインカー、あるいはリアウインカーまで分岐で光らせてしまうケースです。
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これは、ウインカーポジションキット本体の負荷をさらに増大させますので、故障する確率も高くなる。
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サイドウインカーポジションは車検には通らないし、ユニットの負担も増えるし……デメリットが多い技だ。
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そして最近の例でいうと、LEDウインカーバルブとの併用問題もあります。
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これは、どちらかというと、LEDウインカーバルブ側が壊れる、という話ですね?
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そうです。LEDウインカーバルブは、点滅での発熱を前提にした放熱機構しか持っていないことが多いので、それを常時点灯させたら熱で壊れるのは当然と言えます。
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基本的には、白熱球ウインカーでの使用を前提にしているのがウインカーポジションキット。
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そうですね。壊れるリスク無しで、LEDウインカーバルブと組み合わせて使えるケースは少ないと思います。
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IPFのような例はまれ、なんですね。
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ウインカーポジションキットとバルブがそれぞれ別メーカーだと、お互いにどんな制御になっているかが分からないので、組み合わせてちゃんと減光するのかどうか、といった心配も出てきます。
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LEDウインカーバルブが減光しなかったら、そっちが壊れるのは必定。
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というわけでウインカーポジションキットは、壊れる要因をいろいろなところで抱えているものではあるのです。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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