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LEDバックランプの選び方。ルーメンはアテにならない!?
LEDバックランプはどう選ぶ? 明るい方がいい=高いルーメンがよさそうだが、そのルーメン値が、点灯直後の一瞬のものだったとしたら「ルーメンにウソはない」としても「だまされた」感しかない。そんな思いをしないように、知識をもっておくべき。
LEDバックランプのルーメン競争に惑わされない選び方
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LEDバックランプの選び方について考えてみます。
●レポーター:イルミちゃん
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LEDポジションと同じで、LEDバックランプも数値上のルーメン競争が激化しています。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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そういうIPFのLEDバックランプも、いつの間にかパワーアップしていますよね。
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最新モデルのLEDバックランプは、800ルーメン(1灯あたり)に達しています。
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ちなみに一世代前の従来モデルは500ルーメンでした。
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前回登場した300ルーメンのLEDポジションバルブと同じ技術を用いて作ったのが、800ルーメンのバックランプですね。
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まあ、でも、ルーメンの話はどうでもいいんですよ。
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……え?
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だって、スペック上のルーメンだけなら、数百ルーメンどころか千ルーメン超のバックランプもたくさん出てきてますよね。
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それはそうですね。本当の意味で重要なのは、「体感できる明るさ」と「耐久性」です。
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ルーメン値が高くても、意外と明るくないこともあるし……
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それはよく聞く話。
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過負荷でルーメン値を上げるような作り方だと、明るくても短時間で切れてしまったりします。
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……ルーメンって、ぜんぜん意味なくない?
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しかし、バルブメーカーとして示せる明るさ指標はルーメンしかないので、どうしてもルーメンで明るさを表現するしかないんです。
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でもなあ。結果的にルーメン数値が一人歩きする、不毛なルーメン競争を生んでいる。
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そういう意味では、もっと注目してほしい性能のひとつに、「光束維持率」というものがあります。
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こうそく・いじ……りつ?
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ようするに、点灯直後のルーメン値ではなく「その明るさを維持し続ける」という意味での性能です。
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そんなの当たり前じゃないですか!
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……いやいや、ぜんぜん当たり前ではありません。
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そうなの?
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LEDバルブは、放熱が追いついていないと熱ダレを起こすので、どんどん暗くなるんですよ。
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それって、LEDヘッドライトだけの話じゃないんだ。
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ハイ。特にLEDバックランプに関しては「点灯直後に爆光を放つけれど、それを維持できないもの」も多いです。
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……ナニソレ?
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スペック上の「○○ルーメン」というのは、点灯直後の明るさに過ぎないわけですよ。
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……。
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電流をたくさん流せば、ルーメン値はすぐ上げられるのですが、放熱が追いついていないとどんどんルーメンが下がります。
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下がるって……どのくらい?
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それはバルブの放熱性能次第ですが、1分2分の短い時間で、ルーメン値が半減することも珍しくありません。
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ということは、パッケージ表記のルーメン値は「話半分以下」の可能性もある。
新型の800ルーメンシリーズ
※詳細は、各バルブタイプのAmazon販売ページを参照。
IPF LEDバックランプ T16 800ルーメン(503BL)
IPF LEDバックランプ T20 800ルーメン(501BL)
バックランプは点灯時間が短いから、多少無理して明るくしても大丈夫なのでは?
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LEDバルブの熱ダレの問題はバックランプに限った話ではないんですが、バックランプの場合は特にそういう傾向が強いですね。
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まあ、バックランプはそんなに長い時間点灯するものではないから多少無理しても大丈夫ってことかな?
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しかし、激しく熱ダレしているということは、放熱がぜんぜん追いついていないことを意味します。
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ふむ。
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過負荷がかかっているぶんだけ電子部品にダメージを与えているので、けっきょく寿命が縮むのです。
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熱で壊れたり、ソケットが溶けたり……。
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ですね。ハイパワーなLEDバルブが1ヶ月2ヶ月で切れた、という話はよく聞きますが、そういう理由なんです。
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IPFのバックランプも、800ルーメンより前モデルの500ルーメンにしておいたほうがいいかも?
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なんでそうなるの???
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だって! 同じIPF製品同士なら、500ルーメンより800ルーメンのほうが負荷が大きいはずでは?
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いいえ。そもそも新型のLEDバックランプは使っているLEDチップ自体が違いますので。
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発光効率のいいLEDチップを使って明るさを出しているのであって、過電流・高負荷でルーメン稼ぎをしているわけではないのです。
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ナルホド。
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5分後の明るさも、体感的にほとんど変わりません。
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5分後ルーメンを見よ、ですね。
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仮に点灯時間がそれ以上になっても壊れないよう、熱を持ってきたら電流を下げる保護機能も持っていますし。
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フムフム。
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……その試験、いる?
(゚-゚) -
どんな使い方をしても切れないよう、念のための耐久性テストです。それに、IPFのユーザーって四駆の人も多いんですよ。
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……それが何か?
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四駆だと山奥の林道にも行けますが、そこでドン突きに当たってしまったら、なんの明かりもない山中の一本道を、ひたすらバック走行しないといけない状況もあり得る。
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暗いよー、恐いよー。
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最近はアウトドアも人気ですし、キャンプとかでそういう状況に出くわす可能性もあります。
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……バックランプの明るさが命綱になりかねない。
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だから、5分間走っても熱ダレしないし、それ以上使い続けても問題ないように設計しているんです。
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800ルーメンより、そっちが真の性能ですよねぇ。
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スペック上の「ルーメン表記」の多くは、あくまでも点灯直後の明るさに過ぎない、という事実は理解しておきましょう。
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……驚愕の事実でした。
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LEDバックランプ選びの基準で。もうひとつ重要なのが「体感できる明るさ」。
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それもまた、単純にルーメンでは測れませんね。
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ハイ。
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(やっぱりルーメンって意味なくない?)
試験では、バックランプを24時間点灯しっぱなしでも壊れないのを確認しています
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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