ウインカーポジションは車検に通るの? それとも違法? 保安基準を分かりやすく解説
ウインカーポジションが車検に通るかどうかは、情報が交錯していたりする。保安基準は時おり「改定」されるものだし、一時的に正しかった認識も、変わることがあるからだ。そこで現状のウイポジの車検について、詳しく・わかりやすく解説しよう。
平成18年1月1日以降の車は、ウインカーポジションは違法で車検に通らない……という認識は誤解!?
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ウインカーポジション講習(※)の続きですが、ウイポジと聞いて一番気になるのは車検の問題。
※「ウインカーポジションキットとLEDウインカー併用のリスク」参照。
●レポーター:イルミちゃん
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そうですね。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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そもそも「ウインカーを常時点灯させる」なんて、いかにも怪しい技。それが車検に通るイメージが、持てない人も多いでしょうが……
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イメージで決めないでください。保安基準というルールの問題ですから。
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では、ウインカーポジションは車検に通るの? それとも違法?
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ウインカーポジションは車検に通るのです。条件を満たせば、ですけど。
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まあ、大手バルブメーカーであるIPFが、堂々と保安基準適合品としてウインカーポジションキットを売っていますからねぇ。
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しかし、ウインカーポジションキットが車検対応と言えるのは、平成17年12月31日までの車の話なのでは?
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お。
どうやら何か勉強したようですが……そこには誤解が…… -
ふふふ。
IPFの市川研究員に聞くまでもない。 -
……はあ。
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平成18年1月1日以降の車では、ウインカーポジションキットは違法で車検に通らないはずだッ!!
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なぜ、そう思ったのですか?
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平成18年1月1日以降は、ポジションランプ(車幅灯)の色が白色のみに限定されたからですよ!
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これは、市川研究員が教えてくれた話ですよ?
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そうでしたね。
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ウインカーポジションキットを付けるということは、すなわち、橙色(オレンジ)のポジションランプになりますよね。
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ですね。
ウインカーをポジション化するわけですから。 -
つまり、その段階で、車幅灯(ポジションランプ)の保安基準に引っかかるはず!?
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フムフム。
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ようするに、ウインカーポジションキットが車検対応と言えるのは平成17年12月31日までのはず!
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確かに、車業界にはその認識の人が多いかも知れません。
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……違うの?
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平成18年以降の車については、一時的にはウインカーポジションが車検NGになった時期がありましたので、その認識が広まったのは事実ですが……
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一時的?
では、現状は事情が変わったと? -
ハイ。実はその後、比較的早い段階で、車幅灯の保安基準が少し改定されているのです。ここが重要。
ウインカー兼用ポジションランプは橙色でもよい、という保安基準に注目
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実は、車幅灯の保安基準で、「平成18年1月1日以降の車は白のみ」となったその後に、少し改定フォローが入りました。
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……ほう。
どんな? -
保安基準の中の、車幅灯の色に関してのルールを定めた部分なんですが……現在はこうなっています。
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え~……。
つまりカタピラ及びそりを有する軽自動車は…… -
そこじゃない!!
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だって!
相変わらず表現が長くて分かりにくくて……。 -
では、重要なところだけ、もういちど抜粋します。
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普通のポジションランプは、白色以外はNG。しかしウインカーと一体型または兼用になっているポジションランプは、橙色(オレンジ)でもOK、という表現になっているのです。
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なにィ!!
いつの間に!! -
この「ただし~」の表記自体は、もう何年も前からありますよ。最初になかった、というだけのことで。
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そうだったのか〜。
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IPFのウインカーポジションキットも、一時は「平成17年12月31日までの車に限って車検対応」としていましたが、この改定を受けて、数年前からは、平成18年1月1日以降の車も含めて、車検対応で販売しているのです。
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これは知らなかった……という人も、多いのではないでしょうか。
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ただし、ウインカーポジションが何でも車検に通るという意味ではありません。いくつか、条件を満たす必要があります。
第34条 車幅灯
車幅灯の灯光の色は、白色であること。ただし、方向指示器、非常点滅表示灯又は側方灯と構造上一体となっているもの又は兼用のもの及び二輪自動車、側車付二輪自動車並びにカタピラ及びそりを有する軽自動車に備えるものにあっては、橙色(とうしょく)であってもよい。
※原文は国土交通省がHPで公開している、道路運送車両の保安基準「第34条」の(第2節)第123条を参照。
車幅灯の灯光の色は、白色であること。
ただし、方向指示器、非常点滅表示灯又は側方灯と構造上一体となっているもの又は兼用のものは、橙色(とうしょく)であってもよい。
(※一部中略)
✔ IPFのデモカー(現行のジムニー)にもウインカーポジションキットが付いているが、これで合法の状態なのだ。
ウインカーポジションを車検に通すための条件は、年式で変わる!?
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車幅灯のルール(保安基準)が、「平成17年12月31日以前の車」と「平成18年1月1日以降の車」では異なるので、ウインカーポジションを車検に通すための条件も、少し変わってきます。
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年式で、条件が切り替わる。
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そうなんです。まず、色ですが、冒頭で話に出たように、「平成17年12月31日以前の車」のポジションランプは白色、黄色または橙色が認められています。
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だからこそ、もともとウインカーポジション化できたわけですね。
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しかし、「その全てが同一であること」という条件がありまして……
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む。
それは、つまり…… -
ポジションランプが橙色(オレンジ)でもいいけれど、色が混在がするのはダメ、ということです。
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フムフム。
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ウインカーポジションキットでウインカー部をオレンジポジション化した場合には、元々の純正ポジションランプが白だと、色が混在することになりますよね。
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「平成17年12月31日以前の車」では、この状態はNGとなるのです。上の車は、現行ジムニーなのでOKですけど。
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では、どうやって車検に通るようにするの?
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この場合は、元々の純正ポジションランプのバルブを交換して、橙色(オレンジ)で統一しないといけません。
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あー、なるほどぉ。
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そうすれば、保安基準の「全ての色が同一であること」の条件を満たせます。
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いっぽう、現行世代の車ではどうなりますか?
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「平成18年1月1日以降の車」は、もともとの純正ポジションランプの色は白色のみ、です。
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つまり、ポジションランプの色変えはしなくていいんだ。
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というより、むしろポジションランプの色を白から変えたらダメですね。
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ということは、ウインカーポジションキットを付けた場合……
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ウインカーと兼用のポジションランプは「橙色」で、純正ポジションランプは「白色」という、2色が混在することになります。
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ポジションランプの色が混在していますが……これはいいの?
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この場合、むしろ、混在せざるを得ないルールです。
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でも、ポジションランプの色は「全ての色が同一」であるのが条件なのでは?
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それは、「平成17年12月31日以前の車」のルールです。「平成18年1月1日以降の車」には、色を統一しなさいというルールは存在しないのです。
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そっか! 現行世代の車は、ポジションランプは白色のみになったから、「統一ルール」は必要なくなったんだ。
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そうですね。だから結果的に、ウインカーポジションキットを付けると、橙色と白色が混在することになりますが……
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この状態で、保安基準に適合するのです。
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ちなみに、ポジションランプが4個になってしまいますが、それはいいの?
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「平成18年1月1日以降の車」の場合、車幅灯の数は2個または4個、と保安基準で定めているので問題ないです。それ以前の車は、数の規定そのものがありません。
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なるほど~。条件を満たせば、どの年式でもウインカーポジションを合法状態にはできるんだ。
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なお、車検に通すための条件は「色」だけではない。まだ他にもありますよ。
ウインカーポジション部が、ウインカー点滅するときのルール(保安基準)
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もうひとつ、「平成18年1月1日以降の車」の車幅灯には、こんな規定もあります。
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んん~!?
これはどういう意味? -
ウインカーポジションキットを付けると、ウインカーが減光点灯することになりますが……
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ウインカー点滅時は、ポジションランプとしては消灯していないといけない、ということです。
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普通に考えて、ウインカー点滅させようとする時点で、ポジションとしては消灯することになると思いますけど?
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ですよね。ここでのポイントは、方向指示側とは反対側の点灯をどうするのか、という問題です。
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反対側はどうすればいいの?
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保安基準では、「方向指示している側」または「両端のもの」が消灯する構造……となっていますから、反対側については点灯・非点灯どちらでもよいとも取れますが、IPFとしては反対側は消灯を推奨しています。
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なんで? IPFの見解、厳しすぎませんか?
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ディーラー等の見解によっては、反対側が消灯でないとNGと判断される場合があるためです。
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うーむ。……まあ、反対側は消灯しておくほうが、誤認されにくいのは確かですけどね。ウインカー点滅時だけ見たら、純正とまったく同じってことになるし。
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なお、もともと付いている純正ポジションランプは、この間も、白色で点灯し続けていないとダメです。
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そっちは、通常の車幅灯ルールですね。
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ここまでは「平成18年1月1日以降の車」の話ですが……
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それより古い車の場合は、条件が変わるの?
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「平成17年12月31日以前の車」でウインカーポジション化したら、ウインカー点滅時に、反対側のウインカーポジションは点灯していないとNGだったんです。
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なんで逆の話になってしまうの?
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なぜなら、昔のルールでは、反対側が消灯してしまうと車幅灯としての条件を満たせなかったからです。
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そうか。
車幅灯として考えたら、消灯するのはおかしい。 -
それが「平成18年1月1日以降の車」では、「方向指示器と兼用の車幅灯」についての特例みたいなものが出来て、反対側は消灯できるようになったんですよ。
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そういうことかー。
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結果的に、ここも「年式による条件の違い」となってしまっている部分です。
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……これは確かに注意点だ。
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しかし、いずれにせよ、ウインカーポジションは年式にかかわらず、保安基準適合の状態を作ることはできます。
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つまり、ウインカーポジションは車検に通る!
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逆に、「車検に通らないウインカーポジション」とはどういうものかを、次回整理しましょう。
✔ 方向指示器と兼用の車幅灯は、方向指示器を作動させている場合、方向指示している側のもの、または、両端のものが消灯する構造であること。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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