ウインカーに使われるバルブの種類。T20とS25の違い
ウインカーバルブの種類を押さえておこう。まずは、T20とS25の違いから。「純正の電球ウインカーをLED化する」または「切れた電球を交換する」ときに、必ず必要になる知識だ。
ウインカーに使われる白熱球、S25とT20の違いは?
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ウインカーをLED化したり、切れて電球交換するときに必要なのが、バルブの種類(バルブタイプ)の知識です。
●レポーター:イルミちゃん
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国産車のウインカーで使われているバルブは、T20とS25。2種類の白熱球ですね。(※輸入車の場合は事情がまた別)
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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このどちらかが、純正で付いている。
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消費電力はどちらも同じで21W。アンバー(オレンジ)色の場合で、明るさは280ルーメンです。
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サイズはS25よりT20のほうが小さめだけど、明るさは同じなんですね?
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そうなんです。
T20は後から出てきた、進化版モデルですからね。 -
そういうことか。
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だから最近の車種で、ウインカーがLEDではなく電球だった場合は、T20が圧倒的に多いです。
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S25タイプの電球は、ちょっと年式の古い車に多いですね。新しい車でS25が採用されることは、まずありませんので。
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なるほどね。
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だから、社外品のLEDウインカーバルブでも、メーカーによっては「T20のみ適合」というケースもありますよ。
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S25の車の場合は、LEDバルブが対応しているかどうか注意しないといけないんだ。
T20とS25それぞれに、クリアとアンバー(オレンジ)の2種類が出てくるウインカーバルブ事情
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ウインカーバルブの場合、形状が2種類しか出てこないなら話はカンタンですね。
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……。
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LEDバルブを買うにしても電球交換するにしても、T20とS25の違いだけ注意すればいいんでしょ?
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実はそう単純ではない。
注意点もありますよ。 -
と言うと?
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ウインカーバルブって、実は4種類あるんですよ。
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意味不明過ぎるッ!! 2種類って言ったばっかり……
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バルブタイプとしてはT20とS25の2種類ですが、その中で色がクリアとアンバー(オレンジ)に分かれますので。
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クリアのウインカー電球? ウインカーはアンバー(オレンジ)に光らないとダメでしょう?
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ランプ側にオレンジ色のレンズが付いていて、中のバルブはクリアが使われている車種もありますよね。
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ああ、そういうことか~!
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最近の車種では少ないですが、T20に関しては今でもときどきありまして……現行型の車でいうと、例えばジムニーがそうです。
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このオレンジカバーの中身は、オレンジ色の電球じゃないんだ。
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そんなことする必要がないですから。より一般的なクリア電球のほうが安いし。
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オレンジカバーにオレンジの電球を入れれば、濃いオレンジになりそうですけど?
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……そうはなりません。同じ色味だと、波長が同じですから、濃くはならないんです。
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そういうもんなのかー。
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というわけでバルブ形状は2種類なんですけど、実際にはウインカーバルブには4種類あります。
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それは分かりましたけど、それの何が注意なの?
T20タイプのクリア電球例
同じT20の電球でも、クリアとアンバー(オレンジ)ではツメ形状が違う
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まずはT20バルブを例に説明すると、クリアとアンバー(オレンジ)では、誤組(誤挿入)防止のために、ツメの形状が微妙に違うんですよ。
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ということは、T20クリアが付いていたソケットに、T20アンバーは差し込めない?
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電球同士だと、そういうことになります。
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単に色が違うっていうだけじゃないのかー。
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ただ、IPFのLEDウインカーバルブについては、互換性を持たせてあって、どっちのタイプのソケットでも差し込めます。
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ではさきほどのジムニーのような、オレンジカバーにクリア電球が入っている車種の場合でも……
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そのまま、IPFのT20のアンバーLEDバルブを差し込むことができます。
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しかし、LEDバルブ側に互換性がなかったら、付かないかも知れない。
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それと、交換する目的がLED化ではなくて、単に切れた電球の補修交換だとすると……
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元の色と同じ電球じゃないと付かない。
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そうです。つまり、オレンジカバーの中のクリア電球を、アンバー電球にしようとしても、そもそも付きません。
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もしかして、S25の電球にも同じような仕組みが……
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あります。
そして問題としては、こちらのほうが大きい。
T20のクリアとアンバー・引っかかりのツメ比較
S25タイプのクリアとアンバー(オレンジ)は、ピン角が違う点に注意!
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S25の場合は、クリアとオレンジ(アンバー)では、ピン角が違うんです。
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ピンカク?
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S25はバルブをソケットに差し込んだあとに、回すとロックされますが、その機構のためのピン(出っ張り)があります。
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このピンが、バルブの口金の2点に付いていますが、クリアとアンバーではピンの位置が違うんですよ。
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ほー。
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クリアのS25電球には、180度対称の位置に2つのピンがあります。でもアンバーだと角度が違います。
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ホントだ。
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で、この構造上の違いから、IPFのLEDウインカーバルブ(S25タイプ)も、クリアのS25電球が付いていたソケットには付きません。
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なにぃ!
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T20なら両方に対応できるんですが、S25はアンバー電球のみ適合する、ということです。
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あのー、S25のクリア電球が使われている車種っていうのは……?
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ほとんど出てきません。例を挙げると古いランクルとか、古いジムニーなど一部車種です。
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今となっては特殊なケースなんでしょうが、S25のクリア電球が出てきたら、「S25のLEDウインカーバルブが付く」と考えるのは早計なんですね。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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