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ハイフラ防止抵抗の温度は、何度くらいまで上がるのか? 熱対策の知識
ハイフラ防止抵抗は熱を持つとよく言われるが、具体的には何度まで上がるのか。ここでハイフラ防止抵抗のサーモグラフィ写真(↑)を実際に見てみよう。このように高熱を発するハイフラ防止抵抗の取り扱いには、熱対策の知識が不可欠だ。
一般的なハイフラ防止抵抗の温度は、何度?
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「ハイフラ防止に使うメタルクラッド抵抗とは? セメント抵抗との違いは?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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ここからは実際にハイフラ防止抵抗を取り付けるにあたって、知っておいてほしい知識を紹介していきます。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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すんごい熱を持つ、というイメージだけは広く知られるようになりましたが……
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まず一般的なLEDウインカー用として売られているハイフラ防止抵抗だと、150度前後か、あるいはそれ以上の温度まで上がっていることが多いようです。
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そんなに温度が上がるとは。
……ちょっと引きますねぇ。 -
ちなみに「メタルクラッド抵抗の耐熱温度」は、メーカーによって多少差はありますが、200度と書かれているケースが多いですね。
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ホホウ。さすがは熱に強いメタルクラッド抵抗。では、150度を超えても許容範囲なんだ。
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そうですね。150度だとしても、耐熱温度200度のメタルクラッド抵抗が壊れることはありません。
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よしよし。
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しかし、そこまで高温になっている物体をどこに設置するのか、というのは非常に重要な問題です。
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確かに抵抗だけ大丈夫……でも意味がない。
抵抗自体がヒートシンクに覆われた、メタルクラッド抵抗。
最悪の付け方は、ハイフラ防止抵抗が宙ぶらりんの状態
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さきほど「一般的なハイフラ防止抵抗は、150度くらいまで上がっている」と言いましたが、これはもちろん、付け方によっても変わってくる話です。
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フムフム。
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まず、いちばん最悪の付け方は、ハイフラ防止抵抗が宙ぶらりんの状態です。
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ただ、細かいことを言うと、「メタルクラッド抵抗の使い方」という意味では、宙ぶらりんでも使用が可能な抵抗ではあるんですよ。
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抵抗自体が、ヒートシンクと一体型になっているから?
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そうです。
だから空中でもいちおう、放熱はしますよ。 -
でも「ハイフラ防止抵抗の付け方」としては、最悪の付け方なのね?
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ハイ。実際に測定してみても、宙ぶらりんだと熱が周囲に逃げていないのが分かります。
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この状態だと、メタルクラッド抵抗の放熱性能は、半分くらいに落ちてしまう。『おおよそ半分くらいになる』、とハイフラ防止抵抗のスペックシートにも表記されていたりします。
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ホー。
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メタルクラッド抵抗のスペックシートに書かれた値(放熱性能)は、正しく設置されている状態のときに、はじめて発揮される性能なんです。
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宙ぶらりんでは、本来の放熱性能の半分になってしまうんだ。
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そうです。ただし、IPFとしては、メタルクラッド抵抗の性能確認試験をするにあたり、わざと宙ぶらりんの状態でもテストしていますが。
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IPFは自虐的な試験をするのが好きだから。
サーモグラフィで測定した温度の分布。
IPFのハイフラ防止抵抗は宙ぶらりんでも100度の温度に収まるが……
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IPFが採用するハイフラ防止抵抗の場合は、宙ぶらりんの状態だとしても、100度を超えないぐらいのレベルに収めているんですよ(※)
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ほー。では一般的なハイフラ防止抵抗より、50度以上も低い。
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メタルクラッド抵抗は200度ぐらいまで耐えられると言いましたが、100度程度に収めておけば、抵抗自体にはぜんぜん負荷がかかっていませんから。
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しかし、なぜIPFだけそんなに温度を下げられるのか?
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電流を絞れば温度は下がるので、温度を押さえること自体は難しくはありません。「絞った電流値で、どのくらい明るくできるのか」が問題になってきますが。
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そういうことか。いろいろな意味で過負荷になるのを避けつつ、明るいLEDウインカーバルブを作ったってことなんですね~。
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え~っと、では、このIPFのLEDウインカーと専用のハイフラ防止抵抗の組み合わせなら、宙ぶらりんでもいいってこと?
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ダメです!!
だから最悪の付け方だと言ってるのに。 -
だって、宙ぶらりんでも100度に収まるんでしょ?
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150度まで上がってしまうよりは安全性も高まるのは確かですが、100度でも危険な温度には変わりません。
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そうか。少なくとも火傷するほど熱いのは同じだ。
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宙ぶらりんは、何であれ、ハイフラ防止抵抗の付け方としてはまったくもってNGですから。
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では、安全性を重視したハイフラ防止抵抗の付け方ってどんな付け方なの?
※ 13.2Vの電圧をかけて、24時間放置し、温度が飽和した状態(それ以上は上がらない状態)で測定。
Amazonでも販売されているIPF ハイフラッシャー防止キャンセラー抵抗 WA-19(2個入)
AmazonのIPFストアではハイフラ防止抵抗(2個入)とLEDウインカーバルブ(T20)のセット品も販売されている。※S25の場合はそれぞれ単品での販売。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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