ウインカーLED化講習
おすすめできる「LEDウインカー」の条件
LEDウインカーのおすすめ条件は、明確に2つある。おすすめというより、この条件を満たさないLEDウインカーバルブに交換すること自体がリスキー。車にとって非常に重要な灯火であるLEDウインカー選びは、慎重さが必要なのだ。「LED化=純正電球より優れている」という考えはいったん捨てよう。
おすすめ条件①:純正ウインカーよりも視認性が上がるLEDウインカー
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「安易なウインカーのLED化に潜むリスクを再確認」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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これまでの話で、IPFがウインカーのLED化について慎重姿勢だった理由が分かってもらえたと思います。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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確かにウインカーバルブの交換は、ある意味で、もっとも慎重であるべきです。
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そうなんです。ウインカーは車にとって、非常に重要な灯火ですから。
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ここからは、おすすめできるLEDウインカーの条件を整理していきます。
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まず、ウインカーで一番危ないのは、昼間ハッキリ見えないようなもの。純正よりあきらかに暗いLEDに交換するのは事故を誘発する危険もあります。
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LEDだから純正の電球より明るいだろう、というイメージで選ぶのはマズイ。
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そうですね。純正が使っているT20やS25のアンバー白熱球は280ルーメンと、意外と明るいですから。
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まずは「明るいこと」が、おすすめLEDウインカーの最低条件と言えそうです。
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IPFのLEDウインカーは550ルーメンの明るさがあるので、その点はまったく問題ありませんが……
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実は単にルーメン値が高いだけではなく、視認性を上げるための工夫があります。
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と言うと?
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トップの部分に、集光レンズを採用しました。
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この方式は、LEDバックランプでもやっていましたよね。
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そうなんですが、目的が違います。バックランプの場合は、後方を照らすために集光レンズを使っていました。
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ウインカーの場合は、遠くからでも相手にハッキリ認識してもらうための集光レンズです。
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純正の電球と比較すると、直接的に飛ぶ光の量はこんなに違う(↓)
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しかし、もともとのルーメン値が純正の明るさを上回っているんだから……そこまでムキにならなくても、問題ない気もしますが?
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ウインカーが、一番見えづらくなるタイミングってご存じですか?
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え~っと、それはやっぱり、日中の一番明るいときかな。
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西日が灯体(ランプ)に直接当たるような場面が、非常に見えづらくなるんですよ。
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あー。
西日のオレンジ色がウインカー色とカブるから! -
そうなんです。そういう状況下だと、純正の白熱球でも見づらいときがあります。
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うーむ。
確かにそうかも。 -
そういう見えづらい環境でもハッキリ見えるように、集光レンズを使ったということですね。
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純正ウインカーより、確実に視認性が上がっているようです。そうでないと安心しておすすめもできませんけど。
✔ 純正の電球についての知識は、「ウインカーに使われるバルブの種類。T20とS25の違い」参照。
Amazonでも販売されているIPF LEDウインカーバルブ T20タイプとS25タイプがある。
おすすめ条件②:熱ダレしない放熱設計のしっかりしたLEDウインカー
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LEDウインカーは明るさが重要と言いましたが、だからといってルーメンが高ければいいわけでもない。
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……まあ、そうですね。放熱が追いつかないのでは、意味がありません。
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IPFのLEDウインカーは純正の2倍の明るさですが、放熱面は大丈夫なのか?
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今回のLEDウインカーバルブは、先に登場した800ルーメンのLEDバックランプと同じ放熱システムを使っているんですよ。
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LEDウインカーは550ルーメンで、しかも点滅なのに、対800ルーメン用の放熱システムを持ち出して来た……と。
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ハイ。そのおかげで、ウインカーポジションとして常時点灯させることも可能になったのです。
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これは、無茶な電流で明るさを稼ぐ設計をしているようなLEDウインカーだと、熱に耐えられない話ですね。
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IPFのウインカーポジションとLEDウインカーの組み合わせでは、半年以上動かし続けるテストを行っていますが、問題ない結果になっています。
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IPFのお家芸ともいえる、「自虐的に過酷なテスト」もクリアした、ということで。
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ちなみに、熱問題については、もうひとつ保険をかけてあるんですよ。
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ほう。
…と言いますと? -
異常発熱したら電流値を下げる保護機能、「サーマルシャットダウン」も付いています。
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それって、ハザードランプで長時間駐車の場面とかを想定してのこと?
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いえいえ。その程度の使い方で働くことはありません。IPFの放熱設計なら、十分間に合います。
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じゃあ、そのサーマルナントカはいつ発動するの?
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この機能は、事故を起こしたり、車側のリレーが壊れたりといった、何かしらのトラブルでウインカーが常時点灯してしまったような場合を想定したものなんです。
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LEDウインカーが常時点灯状態……?
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ウインカーポジションのような減光点灯ではなく、100%の常時点灯が起きてしまったとして……
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点滅信号だから、放熱はそこそこで大丈夫なんていうバルブ設計だと……
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燃えるリスクが高まります。
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ふーむ。
切れてくれたほうが、まだマシっていう。 -
最悪そんな状態になっても車両火災の原因になったりしないよう、緊急事態モードとしてサーマルシャットダウンを入れているのです。
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保険中の保険ってわけか。
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そういうことですね。でも、明るいLEDウインカーを作る以上は、その裏にあるリスクには万全な備えが必要、というのがIPFの考え方です。
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明るくないLEDウインカーはもちろん危険だけど、明るいLEDウインカーなら安全……とは言えない。
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そうなんですよ。LEDウインカーの設計というのは、なかなかに難しいものがあります。
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明るさと放熱対策、両方の面で安心できるのが、おすすめできるLEDウインカー、ということですね。
✔ LEDチップはアンバー色だが、ボディの構造はLEDバックランプとよく似ている。
✔ IPFのウインカーポジションユニットと、組み合わせて使うのが条件。
✔ ウイポジ時は、自動的に減光点灯する仕組みを備える。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
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