ウインカーLED化講習
ハイフラ防止に使うメタルクラッド抵抗とは? セメント抵抗との違いは?
メタルクラッド抵抗は、ハイフラ防止に使う抵抗。同じくハイフラ対策に使われてきた抵抗に、セメント抵抗もあるが、メタルクラッド抵抗はどう違うのか。LEDウインカーバルブを検討中の人も、すでにウインカーのLED化を済ませた人も、わかっておきたい。
セメント抵抗より、メタルクラッド抵抗のほうがハイフラ防止に向いている!?
-
「ハイフラ防止抵抗内蔵LEDウインカーバルブを、IPFが作らなかった理由」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
-
ハイフラ対策に使う抵抗の種類について、解説しておきましょう。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
-
抵抗にもいろいろありますからね。
-
そうなんですよね。耐熱性が高くて、消費電力の高い抵抗を選ぶとなると、昔から定番的に使われているのが、セメント抵抗なんですが……
-
フムフム。
-
しかしセメント抵抗は、一般的には最大でも15W前後くらいまでの消費電力なんです。
-
そうなの?
-
定格では20Wの抵抗でも、使い続けていると抵抗自身の熱で消費電力が下がるので、継続して消費できるのは15W前後まで、といったところですね。
-
ウインカーをLED化した場合に起こる、ハイフラ対策に必要な消費電力というのは……
-
ウインカーに使われる電球(白熱球)の消費電力が21Wですから、20W近い電気を消費させなければいけないケースもあります。これは、付け替えたLEDウインカーバルブの消費電力にもよりますが。
-
ふむふむ。
-
そう考えると、ウインカーをLED化した場合に消費させたい電力は、セメント抵抗ではちょっと不足しているんですよ。
-
確かに。
-
セメント抵抗で確実に20W近くを消費させようとすると、複数のセメント抵抗を並列につないで熱を分散させるか、セメント抵抗を金属カバーで囲って、熱を積極的に逃がす構造を取らないと、熱に耐えられなくなります。
-
けっきょく抵抗も、熱に耐えられなくなるんだ。
-
そうなんです。熱を持つと、消費電力が下がる問題もある。そこで登場するのが、メタルクラッド抵抗です。
-
IPFのLEDウインカーバルブ用のハイフラ防止抵抗にも、メタルクラッド抵抗を採用しました。
-
名前の通り金属っぽい。
-
内部にスプリングのような巻き線が入っていて、それを封止材で埋めてあり、周囲をアルミのヒートシンクで覆っているのが、メタルクラッド抵抗です。
-
最初から、ヒートシンクに覆われているんだ。
-
そうです。
それゆえに、熱を逃がしやすい抵抗と言えます。 -
つまりこっちのほうが、ハイフラ防止に使う抵抗として向いているってことね。
-
ですね。だからIPFに限らず、メタルクラッド防止抵抗を使っているLEDウインカーバルブは多いのです。
Amazonでも販売されているIPF ハイフラッシャー防止キャンセラー抵抗 WA-19(2個入)
他社製ハイフラ防止抵抗(メタルクラッド抵抗)の流用は問題ないのか?
-
「セメント抵抗よりメタルクラッド抵抗のほうがいい」というのは分かりましたが……
-
はい。
-
メタルクラッド抵抗も、今ではそんなに珍しい存在ではないんですよね。
-
ハイフラ防止のための抵抗としては、スタンダードな存在になりましたね。
-
……ということは、今までに付けていたLEDウインカーバルブの抵抗が、メタルクラッド抵抗であった可能性もあるわけで。
-
……また、なにか余計なことを考えているみたいですね。
-
すでにウインカーをLED化している人が、IPFのLEDウインカーバルブに付け替える場合は、ハイフラ防止抵抗は流用してもいいでしょうか?
-
言うと思った。
-
だって……正直、抵抗だけ見るぶんには、どのメーカーのメタルクラッド抵抗も似ているし。
-
見た目は似ていても、中身には違いが……
-
抵抗値が違うのか!
おしいな〜。 -
それもありますね。IPFの抵抗値は10Ωなんですが、これは一般的なハイフラ防止抵抗より高めです。
-
ほほう。
つまり、それだけバルブ側には電流が流れない。 -
そうですね。電流を抑えつつも明るさは出せているのが、IPFのLEDウインカーのコダワリですので。
-
そういうことか。……でも、10Ωのメタルクラッド抵抗ならば、他社の抵抗を流用してもいいですね?
-
なぜ、あくまでも抵抗だけ他社品を流用しようとするのでしょうか?
-
そこはホラ、IPFがLEDウインカーバルブを出すのが遅かったから。
-
……。
-
すでにウインカーをLED化している人も多い。IPFに乗り換えを検討する人がいても、「ハイフラ防止抵抗はそのまま流用でいいよね」と考えるのは、普通のコトでしょ?
-
なるほどね。
-
そのようなケースに対する、IPFの回答は?
-
まあ、抵抗は基本的には抵抗値が合っていれば、同じだけの電流が流れるはずなので、「ハイフラをキャンセルする」部分に関して言えば、使うのは可能なんですが……
-
OKと思いきや……歯切れが悪いですね。
-
IPFの場合は、抵抗も、単に電気を消費させればいいという考え方ではないんですよ。
-
…と言いますと?
-
安全であることが大前提で、製品作りをしています。ですから採用するメタルクラッド抵抗にしても、厳しいテストをしているんですよ。
-
抵抗のテストってどんなテスト?
-
車で使いますから、まずは振動試験。それから耐水試験、さらに衝撃試験なども行います。
-
そのテスト、ハイフラ防止抵抗にいる???
-
必要ですよ。なぜなら実際のところ、抵抗から出ている金属の端子が振動試験でもげたり、内部の巻き線が断線するケースも少なくないからです。
-
……粗悪品も多いってことか。
-
どんなにいいLEDウインカーバルブを作っても、抵抗が壊れたら台無しです。だからどんどん壊す試験をする。そういう試験をクリアしたものを、選んで採用しますので。
-
抵抗値と品質は、また別問題なんですね。
-
その意味では、IPFとして厳しいテストをして性能確認できている、IPFのメタルクラッド抵抗を使ってもらいたい、と思います。
AmazonのIPFストアではハイフラ防止抵抗(2個入)とLEDウインカーバルブ(T20)のセット品も販売されている。※S25の場合はそれぞれ単品での販売。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。
関連記事
- LEDウインカーバルブの本命となるか!? ついにIPFが投入
- LEDウインカーバルブをIPFが今まで出さなかった理由が興味深い
- 安易なウインカーのLED化に潜むリスクを再確認しておこう
- おすすめできる「LEDウインカー」の条件
- ハイフラ防止抵抗内蔵LEDウインカーバルブの問題点
- ハイフラ防止抵抗の温度は、何度くらいまで上がる? 熱対策の知識
- ハイフラ防止抵抗の正しい取り付け方法╱両面テープは避けたい
- ウインカーバルブの交換方法╱外し方と、取り付け時の注意点
- ハイフラ防止抵抗の配線方法╱並列につなぐってどういうこと?
- リアウインカーまでLED化するときの、ハイフラ防止抵抗の付け方は?
- ウインカーポジションキットとLEDウインカーを併用するリスク
- ウインカーポジションは車検に通る? 保安基準を分かりやすく解説
- ウインカーポジションキットの「車検対応」と「非対応」の違いは?
- リアウインカーポジションは車検に通る? 通らない?
- ドアミラーウインカーポジションは車検に通る?
- ウインカーポジションキットはすぐ壊れる、というのは本当か!?
- ウインカーポジションの意味と効果。似合う車って、どんな車?
- ウインカーに使われるバルブの種類。T20とS25の違い
- T20 LEDバックランプバルブのウインカー流用はアリか、ナシか!?
- LEDバックランプの選び方。ルーメンはアテにならない!?
- LEDバックランプのおすすめは「体感的に明るいもの」
- シーケンシャルウインカー自作教室(第1回)
ウインカーLED化講習
ウインカーポジション講習
その他