アクリルヘッドライト加工方法(第19回)
シーケンシャルウインカー(純正風の流れるウインカー)の作り方╱LED基板作成
アウディに続いてレクサス、直近ではC-HRと注目度の高い車が続々と純正採用したシーケンシャルウインカー(ウインカー)。これをDIYで再現する。ショーカー的な流れるウインカーとはひと味違う、純正風の流れるウインカーだ。まずはLED基板の作成から。
基板の型取り
純正基板の形に合わせて切り出す
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前回の記事で材料の準備ができたので、シーケンシャルウインカーの作成スタートです。
●レポーター:イルミちゃん
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まずは基板の型取り。今回の86前期の場合、純正のポジションランプ部分に、純正LED基板が入っています。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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こういう場合は、純正基板を型取りして、同じ形にLED基板を作ることで、差し替えが可能です。
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何もない空間に、オリジナル基板を入れ込むのとはちょっと違う。
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そうですね。純正基板をなぞって、同じ位置にLEDを配置すれば、純正リフレクターがきっちり光る、というパターンです。
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それは賢いやり方ですね〜。
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まずは純正基板をベースに型取りします。
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これをベースに、LEDを付けていきます。
リフレクター上側に、純正LED基板が挟まっている。
マジックで外周に沿ってマーキングする
チョキチョキと切り出す
純正基板と同じ形になった
純正基板の形状、ネジ位置のマーキング
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次は、純正基板の固定用のネジ位置や、ツメ(ガイド)がかかる穴などをマーキングします。
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純正基板と同じように穴を開けないと、元通りの場所に収めることができませんからね。
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ということは……。
つまり純正のネジで付け直せるってこと? -
そうなんです。
基板の固定に悩まずに済むのがメリット。 -
コーキング固定とか、やらなくていいんだ。
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マーキングができたら、穴を開けます。
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あれ?
見えない場所なのにヤスリで整える? -
んー、まあ気分的な問題ですが。バリが出ている状態のままで、「後から振動でバリが取れたら嫌」っていうのもありますね。
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なるほど。
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これで後付け基板が、純正位置で固定できるようになりました。
ネジ位置に穴開け
ツメ(ガイド)位置も切って開ける
超音波カッターを使って切っている。
棒ヤスリで穴を整える
純正LED位置のマーキング
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基板のネジ位置やガイドを写したので、結果的に純正LED位置も正確にトレースできる、ということになります。
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ホホウ!
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通常の、電球ウインカーのLED化だとすると、基板の角度などいろいろ試行錯誤するのですが、今回はそういうのもいらない。
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純正基板をなぞって作るのは、面倒なようで……こっちのほうがラクとも言えるか。
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ですね。
次は純正LED位置のマーキングです。 -
ちなみに、ユニバーサル基板のランドのピッチの問題で、LED位置が微妙には純正位置からはズレますが、その程度のズレはまあ仕方ないし、問題ないです。
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ところで、純正LED位置をトレースすると分かりますが、純正LEDも均等に配置されているとは限りません。
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え?
どういうことですか? -
微妙に位置をズラしながら配置してある。リフレクターも湾曲しているわけですから。
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なるほどね〜。
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純正LED位置をトレースするのは、実践的な意味があるといえます。
通常はLEDの中央になる部分1点のマーキングで十分だが、ここ(↑)では見やすいようにLED(4本足)の形にマーキングした。
LEDのハンダ付け
基板にシートを貼る
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LEDの位置が決まったら、LEDを付ける前に、カッティングシートを貼ります。
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カッティングシート?
なんのため、ですか? -
基板をそのまま置くと、基板の色がリフレクターに写り込んでしまうんですよ。
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ああ〜!
ホントだ! -
これは見栄えがイマイチ。白いシートを貼っておくと、映り込んでもキレイというか、問題ないです。
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状況によっては黒でもいいと思います。基板の設置場所に応じて、メッキシートを貼ったりもしますね。
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いずれにしても基板色そのまま、ではないんですね。
こんなカンジに黄色が見えたり…
カッティングシートを切り出す
基板のオモテ面が「白」になった
シートに穴を開け直す
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シートで基板の穴も塞がってしまったので、LEDの足の位置に合わせて、針で穴を開けます。
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こうすると、シートを貼った基板に、LEDを差し込めるようになるんだ。
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LED用の穴ができたら、基板ウラのマーキングの線は消しておきましょう。
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……ところで。消す理由ってあるんですか? コレも気分の問題?
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ハンダ付けするときに、マジックの油分がジャマをして、キレイに付かなかったりするからですよ。
穴の部分をくりぬく
基板のオモテ側
オモテからも針を入れる
シリコンオフやパーツクリーナーで…
拭けばマジック線でも消える
LEDを基板に差し込む
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このとき、LEDの向きは?
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自分ルールでいいんですけど、ポイントはあります。
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フムフム。
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今回は、流れる回路にする。この場合は、「LEDのプラス側は合流させるけれど、マイナス側は独立させる」という組み方になります。
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プラス側はすべて合流させるので、「プラスが合流させやすい向き」でLEDを並べておくのがオススメ。
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今回のLEDでは写真(↓)下側を、プラスで揃えました。
オモテ面にLEDを差し込む
✔ ひとくちメモ
●流れるウインカーリレーユニットは、マイナスコントロール(※マイナス側を独立させてつなぐことで、独立制御する方式)●全ての製品がマイナスコントロールというわけではないが、プラスコントロールはかなり珍しい。
この記事の実践アドバイザー
球屋・田中宏信サン。森田研究員に輪をかけたドM。働き者。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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