ホイールバランスの知識
ホイールバランスとはそもそも何か? 狂うと何が問題なのか?
自分でタイヤの組み付けまで行うパワーDIYユーザーを別にすれば、「ホイールバランスなんて、考えたこともない」人は多いはず。しかし、ショップで付けてもらったホイールバランス用のオモリ(上写真)が吹っ飛んでしまうことはあり得るし、ホイールバランスが狂うと何が起こるのかは、初心者も知っておいていい話だ。
ホイールバランスとは何かを初心者向きにおさらい
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ホイール用語の「ホイールバランス調整」について勉強します。ホイールアライメント調整と、どう違うんでしょうか?
●レポーター:イルミちゃん
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いや。
ぜんぜん、違いますから。●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
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……そもそもホイールバランスってなんでしたっけ?
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ホイールは円形ですけど、重さは360度均等ではないんですよ。
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……と言うと?
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重たいポイントがあったり、軽いポイントがあったり……重量バランスにバラつきがあります。
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た、高かったんですけど……まさかのハズレ!?
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そうじゃなくて、多少の重量のバラつきというのはあるものなんです。製造上の限界ですよね。
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そうなのか。
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これってホイールだけの話ではなく、タイヤも同じです。
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へー!
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タイヤの場合はゴムの合わせ面もあるし、完全に均一な重さでは製造できないんです。
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じゃあ、タイヤだけを交換したときもホイールバランス調整はいるってこと?
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いるってことです。だから、タイヤのサイドウォールに黄色いマークとか赤いマークが付いているんですよ。
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新品タイヤには、こんなマーキングがあります。
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えー!!
せっかくの新品になんてことするんだ。 -
マーキングは、走っているうちにすぐ消えるから大丈夫ですよ。これは、あくまでもセットアップ用の目印なんですね。
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なんの目印ですか?
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「黄色」が一番軽いポイントで、「赤」が一番重いポイントなんです。
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ホホウ。
そんな暗号だったとは! -
まず、昔ながらの基本形を言うと、「ホイールのバルブの位置」に、「タイヤの黄色ポイント」を合わせて組み付けます。
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それはなぜ?
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「タイヤの軽い部分」を、「ホイールの重い部分」と組み合わせてバランスを取るわけですね。
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ああ、なるほど。
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でも、これはあくまでも基本系であって、最近はちょっと事情が違います。
ホイールバランスが狂うと、どんな挙動が出るのか?
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最近は、海外製のホイールが増えましたけど、バランスが酷く悪いホイールもけっこう多いんですよ。
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あー。
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その意味では、以前よりホイールバランスの精度が悪いホイールも多く出回っています。
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そういうのも、時代の流れと言うんでしょうか。
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となると、ホイールのバルブのポイントに、タイヤの黄色ポイント(一番軽い)を組み合わせるのが正解とは限らなくなってくる。
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もっと別のところが重いかもしれない?
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そうなんです。こうなってくるともうケースバイケース。鉄ちんホイールだったらまだ、昔の常識も通用するんですけどね。
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ところで、ホイールバランスが狂うと、何が起こるんでしょう?
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タイヤ&ホイールの「円」が、均等な重さではない状態で転がるわけですから、回転ブレが起こります。それによって、ハンドルに振動が伝わってきます。
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そんなの気づけるのかな。僅かな差でしょう?
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ふむふむ。
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高速道路に乗ったら、「ダァァァ」という振動がハンドルに伝わって来ます。……だいたい70~100km/hあたりの速度域で、特にブレと振動がひどくなる傾向ですね。
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ずっとブレと振動が続くの?
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それ以上の速度になると、逆に収まってきたりすることも多いですが……
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なんとか、ダマしダマし乗れなくもない?
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バーストでもするのか!? っていう位の振動が来ますよ。安心して乗れたもんじゃないです。
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なるほど。
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だから、タイヤ&ホイールの重量を均一にしないといけないっていう話になるのです。これがホイールバランス調整です。
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でも、重量を均等にするって……どうやるの?
街乗りしている分には、気づかないレベルかも知れませんが……
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
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