ホイールバランスの知識
ホイールバランス調整ってどんな作業?
ホイールバランスの知識の連載。前回、ホイールバランス調整の必要性を知ったところで、今回はホイールバランスの調整作業の流れを解説。専用機械を使うのだが、理屈はシンプルでわかりやすい。
リムにオモリを貼り付けてホイールバランスを取る
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「ホイールバランスとはそもそも何か? 狂うと何が問題なのか?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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今回は「ホイールバランス調整」という作業内容について解説します。
●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
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ホイールバランス調整が必要なのは分かりましたが、どうやって重さを揃えるんでしょうか?
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ホイールに「重たい部分」と「軽い部分」があるといっても、「重たい部分」を削ったりはできませんよね。
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そりゃそうだ。
新品に傷つけないで。 -
となると、「足す」ことでバランスを取る他ない。
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なるほど、なるほど。
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だから、オモリをホイールに貼るのです。
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ホイールの裏側のリムに貼るのか~。シールみたい。
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オモリには、打ち付けと貼り付けがありまして、シールみたいのは貼り付けタイプですね。
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「打ち付け」ってなに?
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リムに対してオモリを打ち付けて噛ませるんです。鉄ちんホイールの場合は、基本的に打ち付けを使います。
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ふむふむ。
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しかし、社外のアルミホイールでそれをやると傷付くので、貼り付ける。
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なるほどね。
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打ち付けだと、オモリは5グラム単位であって、5/10/15/20/25/30/35/40……と種類があります。
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細かい。
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貼り付けタイプだと、あまり重いのはない。5グラムと10グラムなどを組み合わせて、必要量を貼り付けます。
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ところで、コレ、どこに何グラム貼ればいいんだ?
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それを調べるのが、ホイールバランサーという機械ですね。
ホイールバランス調整作業の流れ
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ショップのピットでよく見る、くるくるタイヤ回しているやつ、これかぁ。
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回転させながら測定して、「オモリを貼るポイント」を探します。
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実際にやってみると……
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「25」と「20」という数値が出ていますよね。これが、ホイールバランスの狂いをグラム数で示したものです。
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む?
なんで、2つ出てくるの? -
ホイールと内側と外側ですね。ホイールバランスって、360度方向だけではなく、左右方向のバランスの問題もあるので。
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そっか。
立体的に狂っているんねぇ。 -
どこにオモリを貼ればいいかは、ホイールバランサーで調べるとわかる。ホイールを回転させていくと、「20」の数値が点滅しながらピーピー鳴るポイントが来るので……
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そのポイントで、20グラムのオモリを貼ります。
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貼る場所は、バランサーが正確に教えてくれるんだ。
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そうです。「ココに貼ると、一番少ない量でバランスが取れますよ」というポイントを教えてくれます。
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じゃあ、あんまりウマイ・ヘタは関係ないのかな。
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う~んでも、やっぱりやり方によって多少差は出ますよ。
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ホホウ。
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たとえば、今回のケースでも最初は左側が「25」、右側が「20」って出てましたけど、いっぺんに両側とも処理しないほうがいいんですよ。
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それはなぜ?
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例えば右側に20グラムを貼ったあとで、もういちどタイヤ&ホイールを回転させて測定してみると……
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右側は「0」になりましたね~! バランスが取れた!
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そして左側は、「20」と出ていますよね。最初は「25」だったのに。
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……あれぇ?
けっこうアバウト? -
というか、最初のオモリを貼ることによって、また全体のバランスが変わりますので。
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あ〜!
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だから片側ずつ処理して、もう1回測定したほうが、無駄なく貼れますね。
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なるほど。
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いっぺんに両方のオモリを貼る、というやり方だと、最終的に使うオモリ量が多くなってしまいがち。
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そっか。
使うオモリの量は、少ない方がいいのか。 -
そりゃそうですね。できるだけ少ない量で、ホイールバランスが取れるのが理想の調整ですよ。
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丁寧にやるのが大切なんだ。
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最後に、もう一度まわして……「ゼロ」「ゼロ」を確認します。
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これでホイールバランスが取れた状態!
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ちなみに、まれにオモリを付ける前の状態からホイールバランスが取れていることもあります。
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へー!
それは「当たり」ですね。 -
そんなときは、とても気持ちがいいものですが、4輪とも全部ピッタリっていうのはまずあり得ませんので、ホイールバランス調整は必須なんですよ。
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自分の車のホイールのリムを確認してみて、もしオモリがなかったら「当たり」だったってことか。
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……いや、しかしその場合は、「貼り付けたオモリが飛んでいってしまった」可能性もあるな。
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へ?
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貼り付けタイプは、両面テープで貼っているだけですから、そういうこともあります。
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……おいおい。
どうなるんだソレ。 -
そのあたりは、ホイールバランス調整後の注意点として、改めてお話しましょう。
タイヤをホイールに組んだら、まずホイールバランサーを使って、重量バランスを調べます
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
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