アクリルヘッドライト加工方法(第14回)
LEDをキレイに面発光させる秘訣は、アクリル板の裏にある
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アクリル板をキレイに面発光させるには、ただ単に裏側(側面など)にLEDを仕込むのではなく、白の反射板を使って、裏に逃げている光をアクリル板に戻すのが効果的。この集光テクをマスターすれば、グラデーション面発光も思い通りにコントロールできる。
厚紙を型にして、基板を切り出す
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前回は、紙を使ってLEDの光を反射させることで、アクリル面発光を強める方法を紹介しました。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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最終的にヘッドライトに埋め込んだアクリル板の裏は、こんな状況に……。
●レポーター:イルミちゃん
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今回は白LEDと青LEDのグラデーションなので、手間がかかるパターンです。
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なお、向かって上側が青いLEDテープ側です。
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白に負けやすい青LED側を、重点的に囲って光をアクリルに集めています。
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青と白のパワーバランスが整って……、
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ひとまず、紙の段階ではベースができました。
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でも、この紙は「型紙」に過ぎないって言ってましたよね。
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そうです。
今日はこの形を、基板などで再現し直します。 -
なるほど。
基板を使うのか。 -
球屋ではポリカーボネート板などを使ったりもするんですが、基板でもできるので。
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今回はDIYユーザーに馴染みのある、基板でやることにします。
型紙に沿って基板を切り出す
今回の反射板の全貌はこんな感じ
基板に白いカッティングシートを貼る
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基板はそのままでは反射板になりませんので、表面に白いカッティングシートを貼ります。
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白は、一番光を反射する色なんですよね〜。
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このようにどうせ白いシートを貼るので、もともとの基板の色自体は、何色でも(緑でも)関係ないですね。
基板に合わせてカッティングシートを切り出す
基板にカッティングシートを貼り付ける
余分なシートを切り取る
基板でLEDテープを囲い直す
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あとは基板で、さっきの形に貼り直していくわけか〜。
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そうなんですが、ここはまだ「仮付け」ですので、マスキングテープなどを使っています。
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一回バラして基板で作り直しているので、状況も少し変わってくる。改めてここでLEDテープを仮点灯させて、アクリルの光り方を見ながら微調整していくんです。
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こっちが本番ですもんね。
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そうです。この段階ではまだまだ固まっていなくて、微調整を繰り返していますよ。
LED光源の位置を変更することもある
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ところで、一番最初のLEDテープを設置したときも、あくまでも仮付けって言いましたよね
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そういえばそうでしたね。
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つまりこの段階ではまだ、LEDテープも反射板も全てが仮付けで、動かせるようになっています。
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フムフム。
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というのも、反射板の入れ方だけでは無理があるときは、LED光源の位置も見直したりしますので。
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そういうことか〜。
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今回でいうと、短いほうのアクリルフィンに入れた白LEDテープは、実は途中でいったん外しました。
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あらま。
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短いアクリル板は距離が取れず、どうしても白いLEDの光が強く出てしまう。まずはしっかり青くアクリル板が光る状態を作って、あとから白LEDを入れ直すことにします。
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白のほうが発光させやすいから、後からでもどうにでもなるってとこか。
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そんな感じですね。
反射板・遮光板の組み合わせで光をコントロールする
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アクリルを明るく面発光させるだけなら、反射板でいいわけですが……今回はその応用です。
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青と白のグラデーション発光ですからね。
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こういう場合は反射板だけでなく、必要なら遮光板も作ります。
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それも基板で、同じように作れるんだ。
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そうですね。
やり方は同じで、向きが違う。 -
差し色に対して、どうしても白いLEDが強すぎる、というときは遮光板が効果的です。
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な〜んにもしなかったら、なんだか白っぽくしか光らなかったのに、ここまで変えられるとは。
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しかし今度は、最初と逆に青が強くなりすぎましたね。青が強くなりすぎたら、青LED側の反射板を少し短くすると、青が薄くなります。
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ほえ〜。そんな風に、面発光具合を自由にコントロールできるとは!
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けっこうアナログな作業ですが、面白いですよね♪
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アクリル面発光って、アクリル板の裏にLEDを仕込むだけかと思ってましたが……オドロキです。
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LEDの粒々感を出さず、できるだけ明るく面発光、というのを実現しようとすると、ただ単に裏にLEDを貼るだけではダメなんですよ。
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今回はさらに、キレイな青×白グラデーション発光という条件まで加わってますもんね。
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そうですね。そのために、一番長いアクリルフィン以外は、遮光板を入れました。
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そして短いほうのアクリルフィンは、横から白LEDを入れると(遮光板を入れても)強すぎたので、上から(裏から)照らす向きに変更しました。
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つまり青に影響が出にくい向きに、白を変更したわけか。
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それにしてもこの作業……ずいぶん時間をかけて、試行錯誤するんですねぇ。
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アクリル板をキレイに光らせるキモ、とも言える仕掛けなので、ここは時間かけるところですね。
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LED光源の粒々感を出さずに、きれいにグラデーション面発光させる秘訣、そのものでした。
例えばこんな風にタテ方向に“仕切りの壁”を入れると…
ここまで青LEDを強くすることもできる
最終的なアクリル裏の囲い状況
直角に差してあるのが遮光板
中央付近に仕切りの板を入れ、白の光が青のほうに行かないようにしている。
基板で屋根を作ってLEDテープを貼っている
最終的な面発光はこんな感じ!
この記事の実践アドバイザー
球屋・田中宏信サン。森田研究員に輪をかけたドM。働き者。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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