車のライトスイッチの使い方が変わる!? オートライト義務化の時代を見すえた新方式
車のライトスイッチの使い方が、今までとは大きく変わっていくのかも知れない。そんな気にさせるのが新型タントの新方式。2020年4月以降の新車からはオートライトが義務化されることもあり、ライトの制御は新しい時代を迎えようとしている。
ライトスイッチの制御を革新的に変えた新型タント
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「新型タントを電装面からレビューすると注目に値する1台」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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新型タントを電気的に見ると、今までの車と大きく違うのが、まずライトスイッチの構造です。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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……地味なところから入りました。
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これが、すごく面白いんです。革新的と言ってもいい。
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……なにが?
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これまでの車は、オートライト付き車の場合で、「オフ」「スモール」「ヘッド」「オート」の4つの接点があったわけですよ。
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ふむふむ。
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ところが新型タントは「スモール」がないから接点が3つだし、「オフ」も今までのようなオフではないんです。
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どゆこと?
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「オフ」の接点は自動戻りになっていて……オフにしても「プルン」と戻って、自動的に「オート」の位置になるんですよ。
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なんだこれ。
それじゃあ、ライト消せないじゃん。 -
「オフ」に1回入れることでライトは消せますが、そのあと「オート」に戻るところが斬新なんです。
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え~っと、ということは……
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ヘッドライトを消したら「オートライト」に戻りますから、暗くなったら自動的に点灯します。
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つまり、ヘッドライトをオフの状態で固定できないってことか。
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ハイ。ですから「ライトが消せないんですけど?」と疑問に思うユーザーもたくさん出てくると思います。実際、オートライトが働く夜間は、ヘッドライトを(カンタンには)消せません。
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……なんか違和感あるな。
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でも、この制御方法なら、夕暮れ時に確実にヘッドライトを点灯させることができますよね。
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……そっか。
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今まではオートライト付き車であっても、「オート」にしておくことが前提でしたから、オートライトを使わない人は「付け忘れ」は起こるんですね。
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ヘッドライトを消したら、オートになるから、付け忘れは起こらない……ナルホド。
停車時にヘッドライトを消しても、走り出せば自動点灯
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ここで少し話が逸れますが……コムエンタープライズに「アイドリングライト」という電装品があります。
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ふむふむ。
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どういうものかと言いますと、停車中にヘッドライトのみを消す機能でして……
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走り出すと自動的に点灯します。
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あ~。
「付け忘れ防止機能」のひとつと言えますね。 -
この「アイドリングライト」に近い動きが、新型タントでは標準で純正採用されています。これはビックリしました。
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へぇ~。
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それが、説明したライトスイッチの「オフの自動戻り」とセットになってきます。
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ええっと、どういうこと?
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まず、新型タントでは、オートライトで走っていて、停車時にライトを消したいからと「オフ」にしても、ヘッドライトだけが消えてスモールランプは消えないんです。
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そうなんだ。手動で「ヘッド」から「スモール」に動かしたような動き。
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で、走り出すと自動的にヘッドライトが点灯します。
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よく出来てるなァ。
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スモールランプはずっと付いていて、普通の操作では基本的に消すことはできない仕組みなんです。
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そういえば、そもそもライトスイッチに「スモール」の位置がないって話でしたよね。
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そうなんです。ライトスイッチのレバーは「オフ」「オート」「ヘッド」の3つだけ。
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じゃあ、「スモールランプを手動操作する」概念がないんだ。
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そうなんですよ。オフ状態で長押しするとスモールを消すこともできるんですけど、普通はやらない操作でしょうね。
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へー。
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これはずいぶん、大きく変えてきたなー、と思いました。
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何が何でも付け忘れを防止しようとしてますね。
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ようするにこれは、2020年からオートライトが義務化される動きを見こしてのことだと思うんですね。
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あ~。
そういえばそんな話がありましたね。 -
でもオートライト義務化は、装備する義務に過ぎない話では?
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でもメーカーとしては、安全装備という意味からもオートライトを積極的に使ってほしいし、それによって「付け忘れ」を根底からなくそうとしているのでしょう。
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なるほど。
もうライトスイッチには触らない時代が来そうですね。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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