アース不良の調べ方・アースポイントの探し方
車のアース不良の調べ方・実践編。まずは「どこでアース不良が起こっているか」を絞り込む方法。さらにアース不良の起きない、確実なアースポイントの探し方を解説。アース不良がなくなれば、電装DIYの未来は明るい。
アース不良の調べ方。導通チェックで原因を絞り込む
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アース不良撲滅キャンペーン・3日目。
●レポーター:イルミちゃん
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前回解説した、「テスターでの導通確認方法」を使えば、アース不良がどこで起こっているか絞り込めます。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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どうやるんでしょう?
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例えば、「DIYで取り付けた電装品が動かない」という場合に、試すといい方法。
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本当にアースが取れているのか、怪しい時ですね。
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そうです。この場合はまず、電装品側に一番近いところのアース線に、テスターの棒を当てます。
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そしてテスターのもう1本の棒を、車体金属に当てます。
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ここでは、アース線をボディアースした鉄板付近に当てています(↑)
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え〜っと、これで何が分かるんだ?
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まず、この段階で「導通していない」場合は、アースポイントから電装品の間で、接触不良や断線が起きているということです。
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そうなるのか。
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よくあるのが、間でギボシ端子を使った場合などの接触不良とか、アースポイントのクワ型端子の接触不良とか。
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あー。確かに配線コードの断線よりも、確率的に高そうですね。作業したポイントだけに。
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まあ、配線コードの断線もあり得ますが、もし端子が怪しそうだな、と思うなら、端子の前後のポイントで導通確認すればすぐ分かることです。
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そうか。
導通チェックする範囲を絞り込んでいけば…… -
おのずと原因が絞り込まれていきますね。
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犯人をどんどん追い込むイメージか!
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問題は、「問題なく導通している」場合。
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……その場合は、アースは取れていることになりますね。
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いえ。そうとは限らないのです。犯人は別の場所にいる可能性が……。
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どういうコト?
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そもそも、ボディアースしたポイントが、本当にアースポイントとして使える場所だったのかという問題が残っています。
アース不良撲滅キャンペーン・1日目と2日目(↓)
✔ 写真は、コムエンタープライズのユニットにつながるハーネスをいったん抜いた状態で、アース線(黒)の端子にテスターを当てている。
アース不良の起きない、確実なアースポイントの探し方
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アースポイントを探す?
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通常は皆さん、鉄板のネジにボディアースして、「ボディアースした」と認識していると思いますが……
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でしょうね。
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正確には、鉄板だからOKというリクツではなく、その鉄板がバッテリーのマイナスターミナルとつながっているから、アースポイントになるのです。
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そういえば、ドアの鉄板は不安定という話でしたね。車体と直接つながっていないから。
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そうなんです。
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室内の鉄板でも、車体金属とつながっていない、部分的なステーの類いだったら、アースポイントにはならない。
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それを調べるのにも、導通チェックが使えるわけです。
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どうやるんだ?
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リクツの面から理想的なのは、バッテリーのマイナスターミナルと導通しているかを調べる方法です。
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おお。
そういうコトか。 -
この方法は、エンジンルームでアースポイントを探すときにはやりやすい。
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バッテリーのマイナスターミナルと導通していれば、そこはアースポイントとして使える、ということです。
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なるほど、なるほど。
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ただ、この調べ方は、室内側のボルトを調べるのには……ちょっとアレですよね。
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テスターを当てるために、わざわざバッテリーのマイナスから延長コードを引く必要がある?
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そういう話になりますよね。なので、もう少し現実的なチェック方法を紹介します。
導通チェックができると、アースポイントを探すこともできるようになります
室内側での、確実なアースポイントの探し方
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室内側で、自分がボディアースしようとしているボルトが問題ないかを調べたいときは?
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この場合は、まず、確実にアースポイントとして機能している場所に、テスターの片側を当てたいのです。
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どこそれ?
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そうか、なるほど。
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純正アースポイントに、テスターの片方を当てて……
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反対側を、調べたいボルトに当てるんです。
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一見すると樹脂パーツに囲まれたネジでも、奥で鉄板とつながっていて導通しているなら、アースポイントとして使える、ということです。
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深いな〜。なんというリクツっぽい、アースポイントの探し方でしょうか。
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まあ、そもそも、純正アースポイントにボディアースすればいい、という話でもありますが……
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確かに。
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しかし、電装品の近くにそういったポイントがなくても、純正アースと導通確認すれば、確実なアースポイントは探せるのです。
それは、純正配線がボディアースされている場所ですね
電装品を取り付けたときにアース不良で動かない!というのは超定番。アース不良をなくすための方法論については、DIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しています。ボディアースの基礎知識のおさらいにも最適な動画です!
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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