ダイオードの使い方╱LEDルームランプのゴースト対策編
LEDルームランプを消したのに、うっすらと光っている……いわゆるゴースト点灯(現象)のことだが、これは「電装品の後付け」が原因で起こるケースもある。このパターンの場合は、ダイオード(整流ダイオード)ひとつで、消せるかも。
電装品を後付けしたせいで、LEDルームランプがうっすら点灯するゴースト現象
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ルームランプをLEDに換えていると、ゴースト現象(点灯)というのが起こる場合がありますよね。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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ルームランプはオフにしているのに、うっすら光るという……。
●レポーター:イルミちゃん
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そうそう。
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それだったら、怪奇現象ではないよ~と、教わったことありますよ。
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しかし、今回の話はちょっと違うケースでして。
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むむむ……。
まさか、今度こそ本当の……。 -
「後付けの電装品を取り付けたせいで、ゴースト現象が起こる」というケースがあるのです。
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あん?
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LEDルームランプにしただけならゴースト現象は起きてなかったのに、電装品を取り付けたせいで、うっすら光るようになった……とか。
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……どういうことでしょうか?
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ここではまず、ルームランプの配線の仕組みを、おさらい解説しておく必要があります。
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ふむ。
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ルームランプの配線は、常時電源、強制オンスイッチ用のアース、マイナスコントロールの3本線になっていることが多いです。
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ちなみに、LEDなどをドア連動にしたいときに使うのが、マイナスコントロール線ですね。単に「ルームランプ線」と呼ばれることもあります。
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そうですね。同様に、後付け電装品が「ルームランプが点灯するタイミングを検知したい」ときにも、この線を取ります。
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探し方は前に教わりました。
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で、このマイナスコントロール線に、エレクトロタップなどをかませて信号を取り出す。配線図は、こうなります。
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ところが、取り付けた電装品の内部の回路を介して、アースにつながってしまい、僅かだけど電流が流れてしまうケースがあります。
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これが原因で、LEDルームランプが微弱に点灯してしまうことがあるんですよ。
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後付けした電装品経由で、電気が流れてしまうのか。
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そうです。ドアが閉まっていて電気は流れないはずなのに、回り込んで流れてしまうのです。
ルームランプの配線
ルームランプユニットにつながっている配線。車種によっては2本(常時電源とマイナスコントロールのみ)の場合もある。
✔ サーキットテスターを使うとカンタンに探せる。「サーキットテスターの使い方例╱マイナスコントロール線を探す」参照。
✔ もともと、常時電源がルームランプにつながっている。そのためアースがつながると、電気が流れてしまう。
ゴースト現象(点灯)対策でダイオードを入れるときの「向き」
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ホホウ。
またしてもダイオードの出番ですか。 -
この線に、こういう向き(↓)で、ダイオードを入れるんです。
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そうすると、回り込む電気の流れはカットできますので、LEDルームランプのゴースト点灯は防げます。
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このダイオードを入れたせいで、電装品が拾いたかった信号を拾えなくなったりしないのでしょうか?
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ダイオードを逆向きに付けたらそうなりますが、上の図の向きなら大丈夫です。
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今回はルームランプを例にしましたが、この手のゴースト現象は他でも起こりうることです。
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ルームランプだけの話じゃないの?
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例えばスイッチに付いているLEDのインジケーターランプとか……。
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そのLEDが光るのと同じタイミングで電気がほしい、という場合にそのLEDの線から信号を取ることはありますよね。
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フムフム。
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しかし電装品をつなぐと、電気が回り込んで、そのLEDがうっすらと光ってしまったりするのです。
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その場合も、ダイオードの出番なんだ。
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そうです。電装品を追加したことでLEDがゴースト点灯するようになった場合は、今回の方法が役立ちます。
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ダイオードの解説だけで何話もやっていますが、ダイオードの知識は、車に電装品を付ける人には重要です!
このパターンでゴースト現象が起こった場合は、ダイオード(整流ダイオード)で消せます
コムエンタープライズで販売している、1アンペアの線付きダイオード
✔ ここでは電装品のマイナス信号を検知するのが目的。 電装品からみると「マイナス入力」となるので、ダイオードの向きは上の図の通り。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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- 検電テスターでマイナス線を調べるときに便利なゼムクリップ
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