抵抗計算のQ&A
デイライトやLEDの減光用の抵抗は、どう計算して抵抗値を決めるの?
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LEDデイライトをDIYで取り付けて、スモール連動で減光させたいが、減光用の抵抗の選び方で迷う読者からの質問。60パーセントくらいまで減光させるために、どう計算したらいいの?
LED製品の減光用抵抗は、計算では選べない!?
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読者の方から頂いた、LEDデイライト減光用の抵抗の選び方の質問です。
●レポーター:イルミちゃん
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ちなみにカミケイさんは「デイライトをスモール連動で減光させる方法」を見て、挑戦しようとしているのですが、抵抗値や容量選びで困っています。
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減光用の抵抗の選び方についての質問はエルパラにもよく寄せられるのですが、説明するのが難しい話なんですよね。
●アドバイザー:エルパラ 平川研究員
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ふむ。ショップの現場でもそこは感覚的に行っていることが多い気がします。
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まず「60パーセントのくらいの明るさ」自体が感覚的なもので、計算で出すのは難しいですからね。
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え~っと、例えば電流を60パーセントくらいに落とせばいいのではないかと考える人も多そうですが……
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LEDの場合は電流を半分にして、明るさが半分になるわけではありませんので。
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そっか。
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今回の質問にあるスポットライトの回路が、LEDと抵抗で電流制限されていて、内部の抵抗値が分かる場合には、テール/ストップダブル球の計算方法のように、電流値を半分程度に設定して抵抗値のアタリを付けることは可能ですが……
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LEDテール作成時の、スモール減光抵抗の選び方ならやりましたね~。
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ただ、そのやり方が通用するのは、あくまでもスポットライトの抵抗値が分かる場合です。
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うーん。
そこは分からないとしたら? -
スポットライトの回路が不明、または(抵抗ではなく)定電流ドライバを使用しているような場合、減光の抵抗値を計算で出すのは難しいです。
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……なるほど。減光用抵抗は、やっぱり感覚的にやるしかなさそうですが、それにしても「とりあえずどのへんの抵抗を選んだらいいのか」ヒントはほしいところ。
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ひとつの考え方ですが、電源電圧13.8Vとして、スポットライトが1.5Wの場合、以下の計算が成り立ちます。
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この、126.96Ωというのが、現状の抵抗値(の予想)ですね。
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……ここから電流値を半分にしてみるとして、抵抗値を倍程度の目安で選びます。
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ふむふむ。
今が130Ω弱なんだから…… -
減光用抵抗としてさらに130Ωの抵抗を付けてみて、あとは実際の明るさを見ながら、「明るければ抵抗値を増やす」「暗ければ抵抗値を低くする」などの調整が必要かと思います。
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なるほどぉ。
考え方は分かったぞー。 -
ただし、そもそも製品がスペックとしてうたっている1.5Wは実際の消費電力と異なり、電流値によってLEDの順方向電圧(VF)も異なるため、誤差はとても大きいものと思われます。
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今回の計算は気休め程度ですよ、ってことね。
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そうです。色々理屈は言いましたけど、無理やり計算してもあまり意味が無いです。そのことを実際に実験してみましょうか。
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…ほう?
■ 質問
デイライト減光用の抵抗の選定方法に困っていまして、アドバイス頂けたら幸いです。 LED(スポットライト)1個当たり1.5ワットの商品を12個(計18ワット)車に取り付ける予定です。
デイライトとして使用し、ライトオンの時に60パーセントくらいまで減光させたいのですが、何ワット・何オームの抵抗が理想でしょうか?
質問者╱カミケイさん
1.5W LEDに減光用抵抗を付け、計算通りにいくのか実験してみた
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ここではエルパラで販売している1.5W LEDイーグルアイで実験してみました。
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1.5WのパワーLEDを使っているという点で、今回の質問に出てきたスポットライトと似たようなスペックですね。
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で、13.75V時の電流値を測定すると、0.0906Aとなりました。
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13.75V×0.0906Aで、消費電力は1.245Wということになります。
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リアルな消費電力ですね。
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なお抵抗値は「13.75V÷0.0906A=151.766Ω」と計算できます。
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オームの法則の、「抵抗=電圧÷電流」の計算ですね。
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抵抗値を倍にすれば電流値は半分になるので、ここで実際に150Ωの抵抗を付けてテストしてみます。
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おお、なるほど。
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しかし、実際に150Ωの抵抗を付けると、実測の電流値は27.39mAまで下がってしまいました。
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最初の電流値は90mA(0.0906A)だったから、1/3になってしまった計算!
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電流が下がりすぎたので、抵抗値を低くして調整した結果、62Ωでおおよそ半分の46.9mAとなりました。
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このように、実際に測定してみても、計算値とはかなり離れているのが分かりますね。
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確かになァ。
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そもそも電流を半分にしたところで、LEDやデイライトの明るさが半分になるわけではありませんので、ちょうど良い明るさまで抵抗値を変えて調整するのがベストかと思います。
電 圧
電 流
デイライトやLEDの減光用抵抗の、容量の計算方法は?
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最終的には、アナログ的なやり方で抵抗を探すしかないっていうのは分かりましたけど、容量についてもアタリを付けるための計算は知りたいところです。
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抵抗のW数を求める計算は、別記事でもやりましたよね。
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抵抗値と電流値が分かっていれば、計算できるんですよね。
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今回のスポットライトの例は、減光用として電流値の約半分を目安にしているため、まず0.1086A÷2=0.0543Aという計算をします。
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フムフム。
0.0543Aが電流値ね。 -
そして抵抗値が130Ωですので、以下の計算で、抵抗の容量が求められます。
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つまり抵抗の消費電力は0.3833W。
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1/2W以上の抵抗……マージンも考えると、できれば1W抵抗が安心ですね。
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結論。1.5Wのスポットライトの減光用抵抗としては、1W・130Ωあたりの抵抗から試してみるのがよいのではないでしょうか。
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ただし、今回の話はあくまでも、抵抗を選ぶ上でのスタート地点のアタリを付けたに過ぎません。
抵抗の容量(ワット数)を求める計算式
抵抗値×電流値の二乗
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