抵抗の知識シリーズ
抵抗の容量(ワット数)の選び方。抵抗計算のおさらいを兼ねて
抵抗の容量(ワット数)は、計算で出せる。これは抵抗値を求める抵抗計算の延長で、計算式さえわかっていれば難しくはない。「抵抗計算ってどうやるんだっけ?」という人も理解しやすいように、基本をおさらいしながら解説。
抵抗の容量(ワット数)の計算式
-
「抵抗を選ぶ」というと、抵抗値を求める抵抗計算のことかと思う人が多いと思いますが……
●レポーター:イルミちゃん
-
ここでは、抵抗の容量(ワット数)の選び方について解説したいと思います。
●アドバイザー:エルパラ 平川研究員
-
そもそも抵抗の容量ってなに? っていう人もいますよね。
-
抵抗には、抵抗値の違いだけではなく、容量(ワット数)の違いで種類があります。
-
1/2W抵抗とか、1/4W抵抗とか言ったりするのは、容量(ワット数)を差しているんですね~。
-
1/2Wは、1Wの1/2。
つまり0.5Wになります。 -
では、1/4Wは……
-
1Wの1/4なので、0.25Wってことですね。
-
なるほど。……抵抗のワット数の違いは分かりましたが、どうやって選ぶのか?
-
抵抗の容量を選ぶときには、このような計算式(↓)があります。
-
ハイ。
難しいの、出てきましたぁ! -
ぜんぜん難しくはありませんので大丈夫です。抵抗計算の延長です。
-
ていうか、抵抗値ってどうやって計算するんだっけ? それが分からないと容量も計算できないんだね。
-
では、おさらいを兼ねて、LEDを光らせるときの例で実際に計算してみましょう。
抵抗の容量(ワット数)を求める計算式
抵抗値×電流値の二乗
まず抵抗値を計算してから、容量(ワット数)を計算する
-
ここでは、明るいLEDの例として、3チップの帽子型LEDを光らせるとしましょう。
-
これを12Vの電源電圧で、1個だけ単独で光らせます。
-
フムフム。
-
この3チップ帽子型LEDの白色は3Vで、電流値は最大で60ミリアンペア流せます。
-
普通の砲弾型LEDなどと比べると、3倍も流せるんですね。3チップだから。
-
ここでは最大の60ミリアンペアを流します。単をアンペアに直すと0.06アンペアです。
-
実際に使用するときの「マージンを取って電流を抑えたほうがいい」という話は、横においておきます。
-
この場合はまず、このような計算で抵抗値を求めます。
-
電源が12Vで、このLEDを1個のみで光らせる場合は、150Ωの抵抗が必要になる。
-
マックスの60ミリアンペア流すならば、そうなります。
-
抵抗値は分かったところで、ここからが今日の本題。抵抗の容量の計算ですね。
-
LEDに流す電流が60ミリアンペアということは、単位を直すと0.06アンペアですから、抵抗の消費電力は以下のように計算できます。
-
抵抗が消費する電力は、0.54ワットなんですね。
-
ということは1/2ワット抵抗(※0.5W)では、容量が足りません。
-
惜しいなぁ。
計算上、ほぼ0.5Wなのに。 -
…いや、抵抗の容量を選ぶ時は、倍ぐらいのマージンを見たほうがいいので、ぜんぜん惜しくはありません。
-
そんなに余裕を見るのか。0.54Wの2倍だと、ほとんど1Wですね。
-
ですので、この場合は1ワットの抵抗を使います。
-
マージンを取って容量を選ぶのは整流ダイオードのときにも習いましたが、抵抗も同じなんだ。
-
そうですね。というか、電子部品の場合は、だいたいみんなそうなんですよ。
-
ふむ。
-
理由は、電子部品は誤差というか個体差がけっこう大きいから。カーボン抵抗でも10パーセントの誤差は普通にあるので、例えば1/4W抵抗=0.25Wという数値にも、誤差があります。
-
実際は0.25Wの容量は、ないかもしれない。
-
もちろん逆の場合もあるでしょうけど、不利な方向にブレたときにも問題が起こらぬよう余裕をみておきましょう、ということなんです。
-
なるほど。
-
容量ギリギリで抵抗を使うとかなり熱くなりますが、余裕を持ってワット数の大きめの抵抗を選ぶと、発熱も減らせます。
-
そこ、重要ですね。
-
しかし、いっぽうで容量の大きい抵抗はサイズが大きくなって、高さも出てきますので、車のLED加工などでは扱いにくくもなってきます。
-
そこも、重要だ。
-
そういう場合には、ワット数の小さい抵抗を並列に接続して容量を稼ぐ方法などもありますね。
-
抵抗を並列につなぐですと?
-
以前に整流ダイオードの並列と直列について解説しましたが、抵抗にも同じように直列接続や並列接続というものがあります。
-
抵抗を直列とか並列につなぐと、なにが起こるというのでしょうか?
エルパラで販売している3チップ4.8ミリ帽子型LEDを使用。
※車の場合は、2割増しの14.4Vを基準に計算するのもオススメ
エルパラで販売している1Wのメタル抵抗。このクラスの容量になるとカーボン抵抗ではなくなる。
関連記事
- 抵抗を直列に接続するとなにが起こるのか?
- 抵抗を並列に接続するとなにが起こるのか? 直列との違いは?
- 抵抗を並列に接続することで抵抗の熱を下げる、という発想
- 抵抗を並列に接続することで熱を下げられるのか、実験してみた
- デイライトやLEDの減光用の抵抗は、どう計算して抵抗値を決めるの?
- デイライトやLEDの減光用の抵抗を、ひとつにまとめるときの計算方法
- LEDテールランプ(ダブル球)の抵抗計算方法を教えて!╱スモール抵抗の容量(W数)の選び方編
- LEDテールランプ(ダブル球)の抵抗計算方法を教えて!
- LEDテールランプ(ダブル球)の抵抗計算方法╱スモール抵抗編
- デイライトをスモール(ポジション)連動で「減光」させる方法(後編)
- 流れるウインカー自作の抵抗値はこう決める!
- シーケンシャルウインカー自作教室(第1回)
- ハイフラ防止に使うメタルクラッド抵抗とは? セメント抵抗との違いは?
- ハイフラ防止抵抗の温度は、何度くらいまで上がる? 熱対策の知識
- ハイフラ防止抵抗の正しい取り付け方法╱両面テープは避けたい
- LED打ち替えのとき、「抵抗」は打ち替えなくていいの?
- 抵抗計算のいらないLED、「CRLED」とは何者なのか?
- CRD(定電流ダイオード)が2個合体した「2回路CRD」とは?
- 整流ダイオードの電圧降下を利用して、電圧を下げるテクニックと、その使い道
- 整流ダイオードを直列接続する意味は…?
- 整流ダイオードを並列接続する意味は…?
- 整流ダイオードを使うときは容量の選び方にも注意