抵抗の知識シリーズ
抵抗を並列に接続するとなにが起こるのか? 直列との違いは?
抵抗を並列に接続すると、抵抗値や容量(ワット数)はどうなるのかを解説。知っておくと、実用的に使えるテクニックだ。また、前回学んだ「抵抗を直列に接続」したときとの違いもわかる。
抵抗を並列に接続すると、抵抗値はどうなる?
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●レポーター:イルミちゃん
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今回は、抵抗の並列接続についてです。
●アドバイザー:エルパラ 平川研究員
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直列と並列の違いは、見た目にはこういうことです(↓)
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直列の場合は、抵抗値が合算されて増えましたが……並列だと?
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並列の場合は、たとえば100Ωと100Ωの抵抗を並列につなぐと、抵抗値は50Ωになります。
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直列のときとは逆で、抵抗値が減るのか!
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そうなんです。実際に測定してみると……ほぼ理論通りの結果になりました。
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ホントだ~。しかし、100Ω2本が50Ωになってしまうとは、なんだか損した気がします。
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そういうことではありません。これだって手元に100Ωしかない状況で、すぐに50Ωの抵抗を作れるという意味で、直列と同じようにメリットがありますので。
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そっか。
それもそうだ。 -
前回解説した直列と同じで、これもまた合成抵抗です。
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なるほど。手持ちの抵抗が100Ωしかなくても、直列で200Ωにしたり並列で50Ωにしたりできるんですね~。
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さらに、同じ100Ωの抵抗を3本用意して並列に接続するとどうなるか。
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100Ωの抵抗が3本で、35Ωになった!
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理論上は1/3の33.3Ωになりますが、誤差もあるので、だいたい1/3の数値になっています。
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2本並列にすると抵抗値が1/2になり、3本並列なら1/3になる。
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同じ抵抗値の並列の場合は、そういうことになります。
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……抵抗値の異なる抵抗を、並列に接続してもいいの?
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できますよ。ただし、その場合は抵抗値の計算がちょっと難しくなります。「和分の積」の公式で計算するのですが……
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わ……わわわ……なんだって?
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初心者の人には混乱の元なので、異なる抵抗値の並列接続の計算は、あとで解説しましょうか。それよりも、ここではもっと実用的なことの説明を優先したいので。
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難しい計算方法はとりあえず後回しにするとして……もっと実用的な話題とは?
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一般的には抵抗を直列や並列で接続する一番の目的は、この合成抵抗が挙げられると思いますが、並列の場合はそれ以外の意味もあります。
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……ほほう?
まだ何か効果があるんですね。
100Ωと100Ωの抵抗を並列接続して、抵抗値を測定。
100Ωの抵抗を3つ並列接続して、抵抗値を測定。
※異なる抵抗値の並列については、連載の後半に解説予定。
直列と違い、抵抗を並列接続することで容量(ワット数)を稼げる
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抵抗を並列に接続することで、容量(抵抗のワット数)を増やすことができます。
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……ああ、それは整流ダイオードの並列のときと同じような話だ。
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そうなんです。ここは直列との大きな違いです。
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確かに。
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一例ですが、1/4W抵抗を並列に2個接続すると、1/2W抵抗として使えます。
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では、消費電力的に1/4Wでは足りないけれど、手持ちに1/2W抵抗がないよ~というときは、並列接続すれば解決できる。
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そうですね。でも実際には、それとは異なる視点で重宝することが多いと思います。特に車のLED加工では。
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異なる視点って?
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例えば、容量的に1Wの抵抗が必要だったとしましょう。
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フムフム。
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でも、1Wの抵抗というのは、サイズも大きいじゃないですか。
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1W抵抗を普通のユニバーサル基板に付けると、かなり大きさが気になると思います。
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ゴロンと出っ張りますね。
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高さが出てしまうので、場所によっては干渉するケースも出てくるはずです。
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う~ん、車のLED加工だと薄っぺらい箇所も多いしな。
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で、スペース的に高さを抑えたいなら、抵抗を並列接続すれば、1/2Wの抵抗に替えることができます。
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1/2Wの抵抗を並列接続して、1W抵抗として使うんだ!
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そうです。1/2W抵抗の場合には、小型1/2W抵抗という選択肢になるのでかなり小さくなるし。
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サイズがぜんぜん違います(↓)
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そうなんですよ。1Wひとつより、小型1/2Wの抵抗を2個並列につなぐほうが省スペースになります。
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なるほどね~。
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ただ、最初に説明した通り、同じ抵抗値の抵抗を並列に接続すると抵抗値は半分になりますから、この点も考慮しないといけません。
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え~っと、つまり……
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1Wの1キロΩ(1000Ω)の抵抗が必要であれば、1/2Wの2キロΩ(2000Ω)を2個、並列接続すればいいわけです。
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容量半分で、抵抗値2倍の抵抗を、ふたつ用意すればいいんですね。
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ハイ。そうすることで省スペースになります。
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ふむ、これは確かに実用的なテクニックだ。
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そして、狭い場所にLEDを敷き詰める車のLED加工では、もうひとつ実用的なのが並列による熱の分散なのです。これも直列との違いですね。
容量が大きい抵抗は、サイズもそれなりに大きい。
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