LED自作の知識
整流ダイオードの電圧降下を利用して、電圧を下げるテクニックと、その使い道
整流ダイオードの裏技的な使い方「電圧を下げる」を学ぶ。DC12VのLEDテープを車に付けるなら、本当は知っておきたいテクニックだ。ここでは実際に整流ダイオードをつなぎ、電圧降下を起こして電圧を測定。どのくらい電圧を下げられるのか実験してみた。
DC12V仕様のLEDテープを車に付ける場合、少し電圧を下げるのが理想的だが、どうやるのか?
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一般的なLEDテープライトは、その多くがDC12V仕様ですので、車から直接電源を取って取り付けている人が多いと思いますが……それはそれとして、今日の話題。
●レポーター:イルミちゃん
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厳密にいうとDC12VのLEDテープは、車用ということではありません。
●アドバイザー:エルパラ 平川研究員
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エルパラが車用LEDダウンライトを作ったときにも、そんな話をしていました(↓)が、初耳の人も多そう。
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厳密に車用のLED製品を作るのであれば、DC13.8V仕様あたりで作らないといけません。
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車はDC12Vじゃなかったの? って思う人も多いことでしょうが……
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バッテリー電圧は12Vですが、車のエンジンがかかっている状態ではそれよりも高い電圧がかかります。
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オルタネーターは12Vよりも高い電圧でないと、12Vのバッテリーには充電できないから、考えてみれば当然のことではあります。
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ですからエンジンオン時の電圧は、12Vよりも高いです。車の電源電圧は変動するのが難しいところですが、一般的に言う「車の充電電圧」は13.8Vあたり。
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つまり、そこに合わせた13.8V仕様のLED製品こそが、真の意味での車用だと。
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そういうことですね。
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寝耳に水というか「聞いてないよ」の声が聞こえるようだ。
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……まあ、そうはいっても、世の中の多くのLEDテープはDC12Vですので、それをそのまま車に付けて使っています。今回の話題はあくまでも厳密論です。
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ただ、車の電源にそのままつなげた場合には、LEDテープにとってはやや過電流気味になるってこと?
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電圧が変化する車においては、やや過電流になりがちな場面も多いので、それがけっきょく寿命に跳ね返る面はあると思います。
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とすると、そのあたり、厳密にやりたい人にとっては対応策を取りたいところではありますが……
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今日はその対応策を解説していきましょう。
整流ダイオードの電圧降下を利用して、電圧を下げる
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両者(車とLEDテープ)の電圧差をどうやって埋めるのか? ちなみに、13.8Vを12Vに変換するデコデコがあれば保護回路として役立ちそうですが……
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そんなデコデコ(DC/DCコンバーター)は聞いたことないですね。
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ではどうするの?
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カンタンにやる方法としては「整流ダイオードを付けて、電圧降下させる」手があります。
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整流ダイオード?
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一般的には、電気の流れを一方通行化して逆流を防ぐ目的で使われる電子部品です。
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そして整流ダイオードを付けることで、電圧降下が起こります。
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ほほう。
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なので、この場合は意図的に電圧を下げるために整流ダイオードを付ける、ということです。
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そんな裏技的な使い方かあるのか…。
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一般的によく使われる、容量1アンペアの整流ダイオード「1N4007」で、0.6~0.8Vの電圧降下が見込めます。
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これをどうやってLEDテープにつなぐのでしょうか?
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このようにLEDテープの配線に割り込ませます。
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ちょっと整流ダイオードが小さくて見えにくいので、拡大(↓)すると……
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なお整流ダイオードには極性(向き)があるので、付けるときには向きに注意しましょう。
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整流ダイオードで、どのくらい電圧を下げる効果がありますか?
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実際に実験してみましょう。
整流ダイオード
LED工作ではよく登場する電子部品のひとつ。
エルパラでも販売されている1アンペアの整流用ダイオード 1N4007
※写真は見やすくするために絶縁していない状態だが、実際の使用では足も含めて絶縁処理するのは必須。
✔ 整流ダイオードのカソードマークを、電気が流れていく方向へ向ける。
✔ プラス線につけるときは、カソードマークが(電源側ではなく)LED側になる。
整流ダイオードでどのくらい電圧を下げられるのか?
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まずは整流ダイオード無しの状態で、実際に13.5Vの電圧でLEDテープに電気を流します。
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車の電源電圧に見立てた13.5Vが流れています。
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次に、LEDテープのプラス線に整流ダイオードを割り込ませて測定します。
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LEDテープにかかっている電圧が12.6V台まで下がった!
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この差が、整流ダイオードによる電圧降下分なのです。
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なるほどォ!
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ちなみに、整流ダイオードの前後の足にテスターをあてて、整流ダイオード前後の電位差(電圧の差)を測れば、直接的に、整流ダイオードの電圧降下分が測れます。
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ここで出てきた0.874Vが、整流ダイオードの電圧降下分です。個体差は当然ながらありますけどね。
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平川研究員が言うとおり、0.8V程度の電圧降下が起きている。
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これによって、LEDテープにかかる電圧を、落とせるわけです。
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ただ、車側の電圧が13.8Vだとすると、0.8V下げてもまだ足りないけど……。
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そこで、整流ダイオードを2本使います。
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ほう…? 整流ダイオードで電圧を下げる方法には、まだなにか裏技がある!?
整流ダイオード無し
LEDテープのプラス線とマイナス線にテスターをあてて、電圧を測定。
整流ダイオードあり
整流ダイオードを付けることでLEDテープにかかる電圧が下がる(電圧降下が起こっている)
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