流れるウインカー自作特集╱連載【第2回】
流れるウインカー自作の抵抗値はこう決める!
今や抵抗計算ができなくても、抵抗値をネットで調べることが可能な時代。しかし『自分で抵抗計算ができる』というスキル、この機会に身につけるのも悪くない。
抵抗計算できなくても抵抗値は決められる!
-
流れるウインカー自作にかぎった話ではなく、『抵抗計算ができないよ〜』という人は多いと思いますが…
●レポーター:イルミちゃん
-
計算できなくてもエルパラHPには「LEDごと、直列数ごとの抵抗値」が公開されていますので、それを見れば答えが分かります。
●アドバイザー:イルミスタ・野本研究員
-
もはや、抵抗計算は不要?
-
ただし、エルパラHPで公開されている抵抗値はあくまでも、「LEDをなるべく明るく光らせたい人向き」の抵抗値です。
-
ん? 明るく光らせたいに決まってますよね?
-
そうなんですけど、流す電流を少なくするほうが「LEDが劇的に切れにくくなる」んです。
-
しかしそれでは暗くなるのでは?
-
厳密に言えばそうですね。でも少々電流を抑えても、目で見た明るさはほとんど変わりません。というか、わからないでしょうねぇ。
-
ふ〜む。そういうものなのか〜。
-
ウインカーはヘッドライト内なので高温にさらされますし、LEDが切れたら再度殻割りが必要です。少しでも発熱を抑え、LEDの寿命を延ばすためにも流す電流を減らすのがオススメです。
-
なるほど、プロはそういう組み方をしているんですね。で、どうやって電流を減らせばいいんですか?
-
抵抗計算が分からないよ〜という人向けの一番簡単な方法は、指定されている抵抗値より、抵抗値の大きいものを選べばいいのです。
-
今回使う「4.8ミリ帽子型イエローオレンジ」の場合は、5個直列なら「1/4W 220オーム」、4個直列なら「1/4W 330オーム」、3個直列なら「1/W 430オーム」って書いてありますが…
-
ウインカーは4個直列で組むのがオススメです。理由は後述しますが。
-
ならば公開値は、「330オーム」と書いてあります。
-
それより少し抵抗値を大きめにするぶんには問題ありません。逆にそれより抵抗値を下げると電流が流れすぎるのでNGです。
-
では、例えば340オームにすれば流れる電流が減って寿命が延びる?
-
そうなんですが、抵抗値はそこまで細かい刻みでは用意されていません。330オームの次は360オーム、390オーム……という具合です。このラインナップは「1/4Wカーボン抵抗」のページを見ると確認できます。
-
なるほど。じゃあ360オームとか390オームを使うと、安全マージンが取れるんだ。
-
ちなみに僕は今回、430オームの抵抗を用意しました。
-
え、そんなに大きい抵抗値を使う? その根拠は?
-
僕の場合は、「流したい電流値」に合わせて抵抗計算して出してます。
-
ムムム……流したい電流ってなんのこっちゃ。
今回使うのは「4.8ミリ帽子型イエローオレンジ」。イエローよりも濃い目のオレンジ寄りの色のほうがウインカー用として人気があるため。
今回のLEDでは抵抗値は1/4W 430オームを使う
その根拠が知りたい人は読み進んでね
抵抗計算はこう考えれば分かりやすい!
▲乱入・DIYラボ別館のユキマちゃん。
-
今回使う抵抗は430オーム。答えはすでに出ていますが、ここからはその数字が出てきた根拠。気になります!
-
まずLEDのスペックを見て、「電流値」を確認。これはLEDごとにいろいろですが、砲弾型は一般的に20ミリアンペアです。
-
使用する「4.8mm帽子型LED イエローオレンジ」も、20ミリアンペアと書いてありますね。
-
ハイ。ただしそれはあくまでも「最大20ミリアンペア」なので、実際に流す電流はマージンを取って6〜7割に抑えたほうがいい。僕だったら15ミリアンペアにします。
-
流したい電流ってそういうことかぁ。
-
次にLEDの電圧を確認します。「Vf」と表記されているところの数値です。
-
2.1Vって書いてありますね。
-
今回は「直列4個で組む」ので、4個分を合計したLED電圧を出します。1個2.1Vなので、4個なら8.4Vです。
-
単純にかけ算しただけですね。
-
次は、車の電圧である14.4Vから、8.4Vを引き算しますよ。
-
ちょっと待った! 車の電圧は12Vでしょ?
-
電圧の変動を考慮して、2割増しの14.4Vで計算するのが常識的なんです。でないと電圧が高めになったときにLEDが切れやすくなるから。
-
そっかー。2割増しの14.4Vね。
-
14.4Vから8.4Vを引き算すると、6Vという数値が出てきますよね。これが「抵抗のぶん」だと考えてください。
-
でもまだオーム(抵抗値)が出てきませんね。
-
あとは簡単。
6Vから「流したい電流値」を割り算するだけ。 -
つまり6V÷15ミリアンペア?
-
いや15ミリアンペアから単位をアンペアに戻して、0.015アンペアとして計算します。
-
6V÷0.015アンペア=400となりました。
-
つまり「400オームの抵抗を選べば15ミリアンペア流れるよ!」ということです。
-
え? さっきは430オームって言ってましたけど!
-
400オームの抵抗がないからですよ。近いのは390オームですが、ここでも念のため大きいほうに転んで430オームを選んだのです。
-
そっかー。計算してピッタリのがなくても、近いのを選べばいいわけですね。
-
そうです。390オームでもほぼ問題はないですが、厳密には計算上15ミリアンペアより流れてしまいますから、上に転ぶのがオススメ。
-
以上が、430オームが出てきた根拠でした。
流れるウインカー自作は4個直列で組むのがオススメ
-
ところで野本研究員、さきほどの抵抗値は「LEDを直列に並べる数」によっても変わってきますよね?
-
そうです。だからエルパラHPのLEDのページにも、直列数に応じてそれぞれの抵抗値が書いてあるんですよ。
-
今回使うイエローオレンジは、さきほど4個直列で組むのがオススメと言いましたよね? エルパラHPには5個直列の抵抗値も載っていますが……?
-
1個あたりの電圧が2.1Vですので、計算上は5個直列で組んでも車の電圧を超えるわけではありませんので。
-
それなら、野本さんはなぜ4個直列に?
-
それもマージンのひとつですね。車の電圧は一般的に12V〜14.4V(2割増し)を想定していますが、実際にはそれより電圧が下がることもあります。
-
車の電源はとにかく不安定なんですねぇ。
-
そうなんです。たとえば今回使うLEDは1個あたりの電圧が2.1Vですので5個直列だと10.5Vになります。
-
車の電圧は12Vだから10.5Vなら足りてますが…
-
でも電圧差が2V以下でぜんぜん余裕がない。そういう組み方だと、通常は普通に光っていても、ちょっと電圧が下がったときに暗くなりやすい。
-
ウインカーが暗くなったら危険ですね。
-
そうなんです。ウインカーは「どんな状況でも明るく光ることが大切」なので、電圧に余裕を見ることをオススメします。電圧降下したときでも、その差を吸収して明るさが変わるのを防げます。
-
というわけでウインカー自作には4個直列で組むのが、イルミスタの野本研究員流なのです。
関連記事