LED自作のQ&A
LED打ち替えのとき、「抵抗」は打ち替えなくていいの?
読者の方から頂いた、LED打ち替えの疑問に答えていきたいと思います
■ 質問
LED打ち替えをDIYでやろうとして疑問に思ったのですが、LEDだけでなく、抵抗も打ち替えをしなくてもいいのでしょうか? 純正の照明がオレンジLEDなのを、白色や青色のLEDに打ち替えすると、LEDの電圧が変わりますが、この場合は抵抗値が変わりますよね?
質問╱塩むすび
基本的にはLEDだけ打ち替えればOK。その理由は?
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光ドレスアップ専門店の、LED打ち替え職人に聞いてみましょう。
●レポーター:イルミちゃん
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あ〜、これはDIYユーザーの人に、ときどき聞かれる質問ですね。
●アドバイザー:イルミスタ 野本研究員
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以前、野本研究員にLED打ち替え方法を教わったときも、打ち替えているのはLEDだけで、抵抗は純正を流用していましたね。
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そうですね。
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しかし、考えてみると妙な話です。質問者の方が言っている通り、色が変わると、電圧が変わるはずですから……
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確かに、通常のLEDパーツ自作の考え方でいけば、赤やオレンジLEDと白LEDでは電圧が違うので、抵抗値も変わってきますよね。
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LED打ち替えのときだって、抵抗値は変わってくるはず。
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もともとオレンジLEDに合わせた抵抗が付いている回路上で、LEDだけを白や青に打ち替えたら、LEDの電圧が上がるから暗くなる、ということですよね。
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ウンウン。
そうなるはず! -
しかし、実際はほとんどの車種で問題なく光ります。
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なんで、そうなる? 流れている電流は、少し減っているはずでは?
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まず、そもそも純正LEDはわずかな電流しか流していないという事情があります。
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ほお?
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例えば、DIYでゼロからLEDパーツを自作する場合。20ミリアンペア流せるLEDだとしたら、15ミリアンペア位流れるような抵抗を使うのがセオリーです。
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マックスの20ミリアンペア流してしまうと、LEDの寿命が縮むからですね。
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そうです。ところが純正LEDの場合は、もっと極端で、5ミリアンペア前後しか流れていないようなものが多い。
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えー!
もったいない。 -
いやいや、それで十分LEDは光るし、切れるリスクが極限まで下がる。だからそういう組み方をしているはず。
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なるほど。純正らしい光らせ方と言える。学ぶべきかも。
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だから抵抗値も、普段の自作ではあまり登場しないような抵抗値、例えば1500オームとかが使われていることが多いです。
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へ〜。
大きい抵抗で、思いっきり電流制限してるんだ。 -
純正の回路設計は同じオレンジ色でも、3個直列だったり2個直列だったり。組み方は車種によってバラバラですが、大きめの抵抗値を使って、数ミリアンペアしか流さない、という考え方は同じです。
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でも、もともと5〜6ミリアンペアしか流れていなくても「白LEDに打ち替えて、電流が下がったら暗くなる」というリクツは同じでしょう?
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しかし、その差は、アンペア数でいうとごく僅かです。LEDに流れる電流を僅かに変えても、肉眼では分かりませんよ?
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ああ、そうか。
もともと少ないんだから、差も僅か。 -
それと、打ち替えに使うLEDのほうが高輝度なパターンが多いので、「打ち替えて暗くなる」というのは実際はほとんど起こりません。
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そういう事情もあるんですね〜。
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抵抗は純正のままで、LEDだけ打ち替えた時点で純正状態より明るくなることがほとんどです。
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しかし、明るくなりすぎると、運転していて照明の光が目に入ってくるのは眩しくてジャマです。
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その意味でもオレンジから白に打ち替えて、抵抗まで換える必要はなさそうだ。
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LED打ち替えはむしろ、「明るくなりすぎる」ことのほうが心配ですね。
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じゃあ、LEDだけ打ち替えた結果、明るくなりすぎたら?
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そのときは、抵抗も打ち替えます。
具体的なやり方は「LED打ち替え方法╱エアコンパネル編」参照。
✔ ひとくちメモ
LEDは色によって電圧が異なる。大きく分けると「3V前後のグループ」と「2V前後のグループ」がある。
つまり色によって、選ぶべき抵抗値も変わってくる。
3V前後 | 白、青、スカイ、電球色、ピンク、緑など |
---|---|
2V前後 | 赤、オレンジ、イエローなど |
純正のオレンジLED
白LEDに換えても問題ない
打ち替える場合は、どうやって抵抗を選ぶのか?
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抵抗を打ち替えることがあるとすれば、「打ち替え後の白LEDが眩しすぎる」というケースがほとんどです。
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明るくなりすぎたから、抵抗値を上げる。
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そうですね。純正より抵抗値の大きいチップLEDに打ち替えて、明るさを抑えます。
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なるほど、なるほど。
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まずはLEDだけ打ち替えてみて、そのままいければラッキー。だめなら抵抗を変える、という感じですね。
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そのときはチップ抵抗の出番ですね〜。
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ただ、注意点として、スイッチの照明はパネルを通しての光を見ているので、基板上では判断できません。
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そっか。
どうしたらいい? -
まずLEDを打ち替えて、車体に付けて点灯させてみて判断するのが大切です。
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ひと手間かかるけれど、いちど車に付けてみないとわからない。
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それで明るすぎるな〜と思ったら、抵抗値を変えて(つまり抵抗も打ち替えて)明るさを抑えます。
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抵抗まで打ち替える場合は、どうやって使う抵抗を決めているんですか?
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まず回路をたどっていって、何個直列でLEDが組まれているのかを見ます。
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何個直列なのかは、基板によってマチマチって話でしたね。
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そうなんです。それで、2個直列だとしたら、2個直列として抵抗計算して、5ミリアンペア位とかかなり控えめな電流で抵抗計算します。
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純正の考え方を、なぞるわけですね。
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そうです。結果的に2000Ωなど、かなり大きな抵抗値が出てきたりもします。
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なるほどね〜。それにしても、控えめな電流しか流さない純正の回路設計というのは、「改造」の参考にもなりそうです。
LED通販エルパラなどでも販売されているチップ抵抗
DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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