LED自作のQ&A
LEDテールランプ(ダブル球)の抵抗計算方法を教えて!╱スモール抵抗の容量(W数)の選び方編
LEDテールランプ(ダブル球)の抵抗計算で、スモール回路の抵抗値が判明したので、次は抵抗のW数(容量)を求める計算方法。実際にスモール用の抵抗を選ぶ前の、重要な注意点もあり。
抵抗の容量(消費電力)の選び方
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「LEDテールランプ(ダブル球)の抵抗計算方法╱スモール抵抗編」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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前回までで、ダブル球仕様のスモール回路の抵抗値は分かりました。
●アドバイザー:イルミスタ 野本研究員
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抵抗計算は、あれで終わりではないの?
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抵抗の消費電力(W数)の選び方についても、解説しておこうかと。
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抵抗の消費電力とは?
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ようするに抵抗の容量のことですね。抵抗値の違いだけではなく、容量の違いでこのように種類があります(↓)
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よく、1/2Wカーボン抵抗・1/4Wカーボン抵抗などという言い方をしますが、1/2というのは0.5Wで、1/4は0.25Wっていう意味です。
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ようするに「1Wの何分の一なのか」っていう呼び方なんだ。
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そうです。もっと容量の大きい抵抗が必要になると、1W・2W・3Wのメタル抵抗などを使います。
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それで、抵抗のW数ってのは、どうやって選ぶのでしょうか?
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そこも計算で出せるんですよ。
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ホホウ。
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今回の例だと、スモール回路の抵抗計算をするにあたり、5ミリアンペア(0.05アンペア)流す想定で計算しましたよね。
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はい。
ブレーキの1/10にしました。 -
で、スモール回路の抵抗は、10列まとめて減光する場合の抵抗値として「68Ω」と出ました。
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そこまでは、前回の抵抗計算を参照してください。
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ただ、この5ミリアンペアというのは、LEDの直列回路の1列あたりの電流値です。
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1列に5ミリアンペア流れる、っていう意味ですね。
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仮にLEDテールランプ全体で、直列回路が10列あったとしましょう。
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4個直列×10列なら、40発のLEDテールですね。
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この場合は、5ミリアンペア×10列ですから、スモール減光時の回路全体に流れる電流は約50ミリアンペアとなります。
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今回の例だと、スモール減光時の電流が、トータルで50ミリアンペアだ。
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そこまで分かったら、消費電力(W)=抵抗値(R)×電流(I)2乗で、抵抗のW数を求めることができます。
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へー。
そんな計算式もあるのか。 -
今回は、抵抗値68Ωですので、このようになりますね。50ミリアンペアは単位をアンペアに戻して計算します。
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答えが出ました!
0.17Wです。 -
ただし、実際に抵抗のW数を選ぶときは、さらに倍ぐらいの余裕を見て選びます。
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2倍?
そんなにマージンがいるの? -
というのも、容量ギリギリだとかなり発熱するんですよ。容量に余裕があれば熱を抑えられます。
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なるほどね。……0.17Wを倍にすると0.34Wになりますね。
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ということは、今回のケースでは、1/2W(0.5W)抵抗で大丈夫ですね。
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ホー。
抵抗のW数(容量)ってそうやって選ぶのかー。 -
今回は1/2W抵抗で収まりましたが、LEDの総数が多いLEDテールランプだと、列の数も増えますから、もっと大きな抵抗が必要になるケースが多いです。
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仮に20列だとしたら、さっきの計算でも、0.68Wまで増えますね。倍のマージンを見たら、1.36Wにもなる。
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そうなってきたら、1Wのメタル抵抗でも熱くなり過ぎるので、2Wのメタル抵抗を選ぶのが無難です。
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なるほど、なるほど。
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スモールの減光用の抵抗は、回路全体の電流がまとめて流れるので、注意しないと抵抗の容量オーバーになりやすいのです。
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だからブレーキ用の抵抗より、大きい容量がいるんだ。
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もしLEDテールランプの直列回路が30列・40列になってくると、1W・2Wクラスの抵抗を使っても容量オーバーになります。スモール用の抵抗を1個でまとめるのも、無理が出てきますね。
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どうするの、その場合は?
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10列あたりに1個といった使い方になるように、振り分けたりするんです。その場合は、回路も複数に分けておかないといけませんが。
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そういうことか。
1個ではなく、2~3個使ったりするんだ。 -
それと、机上の計算だけではなく、最後は実際に付けた状態でテストしてみましょう。
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抵抗の容量のテスト?
どうやるの?
LED通販大手のエルパラで購入できる抵抗のラインナップ
ブルーの抵抗は、カーボンではなく金属皮膜抵抗。
スモール用の抵抗は、容量不足になりやすくて危ない
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LEDテールランプ用の基板まで出来た段階で、スモール点灯状態でしばらく放置して様子を見てみるんです。
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ふむ。
それで? -
しばらく放置してみて、抵抗の熱がどのくらいまで上がるかをチェックしてみます。
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あー、なるほどね!
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抵抗のキャパがギリギリだと、発熱量も増えます。触れないほど熱くなってしまうとしたら、容量的にマズイという判断ですね。
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発熱具合で判断するんだ。
触るときは火傷に注意ですね。 -
手で触れるレベルの温度なら、問題ないと言えます。1Wあたりを使ってみて、熱くなりすぎるなら2Wにしておく、といった具合です。
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なるほどね~。
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ただ、抵抗の容量が大きくなると、どんどんサイズも大きくなるので……3Wクラスになるとあまり使いません。
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それなら1Wとか2Wクラスを複数使って、分散させるってことか。
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そういうことです。いずれにしても、1/2W・1/4Wほどのカーボン抵抗が1個では、容量的に厳しいことが多いと思います。
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それにしても、この抵抗の容量問題までは、あまり気にしていない人も多そう気がする……。
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そうですね。自作に限らず社外LEDテールランプの修理などをしていても、スモール回路の抵抗が焦げてパンクしているような例を何度も見ていますから。
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……それはちょっと、どうかと思いますが。
DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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