抵抗の知識シリーズ
チップ抵抗と、リード付き抵抗(足付き)の違いは、見た目以外にもあるのか?
抵抗にはチップ抵抗とリード付き(足付き)抵抗があるが、違いは形状だけなのか? 抵抗値が同じなら、どっちを使ってもいいのか? 「一般的な電子工作で抵抗を使うなら」という視点でいうと……
リード付き抵抗と、チップ抵抗の違いとは何か?
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抵抗の知識シリーズ、今日は前から思っていた私の疑問を、LED通販のエルパラにぶつけてみたいと思います。
●レポーター:イルミちゃん
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なんでしょうか?
●アドバイザー:エルパラ 平川研究員
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抵抗には、カーボン抵抗のようなリード付き抵抗(足付きの抵抗)のほかに……
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最近だと、チップ型をしたチップ抵抗というのがよく出てきます。
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これって、カタチ以外にも違いがあるのでしょうか? それとも抵抗値が同じなら同じと考えてよいのか?
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多少特性の違いはありますけど、実際に電子工作や車のLED加工で使う上では、ほぼ同じモノだと考えて問題ありません。
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……では、好みでどっちを使ってもいいってことになるの?
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どっちを使っても大丈夫です。
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チップLEDに使うならチップ抵抗でないとダメとか、足付きの砲弾型LEDを光らせるのにチップ抵抗ではダメ……などの制限はない?
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そういうしばりはまったく無いです。チップLEDに、リード付きのカーボン抵抗を使っても(電気的には)まったく問題ありません。
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そうなんだ。
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しかし、電気的には問題なくても、実際にやろうとすると物理的な制約が出てきますよね。
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と言うと…?
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一般的な電子工作やLED加工では、ユニバーサル基板を使いますよね。
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逆に、こういうプリント基板を使うってことはあまりないですよね?
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これはチップLEDの種類に合わせて作られた専用基板です。この手の基板だと、自由に加工はできません。
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ちょうど専用基板が入るスペースなら別ですが、普通は好きなサイズに切り出せるユニーバサル基板を使うでしょうね。
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となると、ユニーバサル基板に対しては、抵抗に足がないと付けられない、っていう話です。
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そういうことか。チップ抵抗じゃムリですね。
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ハイ。ユニーバサル基板を使った一般的な電子工作では、リード付き抵抗を使うのがよろしいかと思います。
こういうことも可能
※シール基板を使ってチップLEDをユニバーサル基板に載せている特殊な例。
ユニバーサル基板
プリント基板
あらかじめ導体の配線が通った状態なので、決められた場所にLEDや抵抗をハンダ付けするだけで、回路が出来上がるようになっている。
足を曲げて…
基板のランドに付ける
一般的な電子工作ではチップ抵抗よりリード付き抵抗がよく使われる
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でも、だとするとチップ抵抗を使う場面は、かなり限られるのでは?
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そうですね。電子工作で使う場面はあまりないと思いますが、さきほど言ったようなプリント基板であればチップ抵抗を使います。
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上のはエルパラで販売されている3528チップLED用の専用基板です。
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これらの基板では、抵抗もチップ抵抗を使うのを前提に設計されています。
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同じ1/4W抵抗でも、チップ抵抗ならリード付き抵抗よりかなり小さくなりますので、省スペースに設計できるメリットがあります。
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なるほどね~。とはいえ専用基板なんて、普通は選択肢にないですもんねぇ。
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自分で基板を設計してウェブ上でお願いすると自宅に基板が届く、みたいなサービスもあって、プリント基板を作るハードルはかなり下がってきているとは言えますが……
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そんなマニアックなやり方もあるのか~。
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そういう方法を使える人なら、チップ抵抗のほうが逆に付けやすいでしょうけどね。
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とはいえ、そういうのは一部の上級者の話よね。
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というわけで、抵抗に関しては、今でもリード付き抵抗のほうがよく売れています。
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なるほどね。
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なお、チップ抵抗は1/2Wと1/4Wのみエルパラでも売っています。
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1Wはないんだ? リード付きなら1W・2W・3Wの抵抗も売っているのに。
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1Wのチップ抵抗は大きいし、普通に流通しているようなモノでもないんです。
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そうなんですね~。
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ちなみにチップ抵抗だと、並列に2個、3個とならべて抵抗値を変えたり容量を稼いだりする付け方を、製品の基板などでもよくやっているのを見かけますよ。
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先日勉強した、抵抗の並列使いだ。
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チップ抵抗は、リード付き抵抗に比べて小さいので、並列使いもしやすいです。
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なるほど、なるほど。
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でも、それは製品の基板の例。エルパラの場合はDIYユーザーさんや加工屋さんが主なお客さんですので、売れているのは圧倒的にリード付き抵抗のほうです。
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製品の基板ではチップ抵抗がよく使われているけれど、DIYで使うのは今でもリード付き抵抗のほうが主役ってことですね。
小さいのでピンセットで掴みながらハンダ付けする。チップLEDと同じ付け方だ。
大容量のリード付き抵抗
カーボン抵抗ではなく、金属被膜のメタル抵抗
>>> 次回に続く
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