缶スプレー塗装を学ぶ⑩
塗装前の準備で、地味に大切なのは「置き方」と「両面テープ」
塗装前(直前)の準備。塗装するパーツの置き方は、特に重要。また、塗装後の固定に両面テープを使うパーツに関しては、事前にやっておきたいことがある。やる・やらないで、作業のしやすさにも仕上がりにも、明確に差が出る。
塗装前の準備①╱固定に両面テープを使うなら、先に貼っておく
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「サフェーサーの回数は何回? 1回でいいのか、2回もあり得るのか?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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いよいよ、本番の色を缶スプレーで塗装します。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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ここまでが長い道のりだった〜〜。
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今日は、塗装前の準備について。
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準備って……?
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まずは、両面テープを貼ります。
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両面テープ???
なぜ、そんなの貼るの? -
塗装するのが車のスポイラー等だとすると、塗装後の取り付けは両面テープで行う場合もありますよね。
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……ふむ。リップスポイラーとか、ハーフスポイラーとか?
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そうそう。
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しかし、両面テープを使うのは、塗装後に車に取り付けるときでしょう?
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そうなんですが、ほんだ塗装の場合は、塗装する前の準備として、先に両面テープを貼っておくのです。
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え? そんなことをしたら、塗料が付いてしまうのでは?
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まさにソレ。両面テープの側面(断面)にも色がついていたほうがいいから。
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……へぇ。
なんでまた? -
例えば、製品が黒で、両面テープも黒なら別にいいんですけど、白いパーツだとすると、両面テープのグレーとか黒の線が意外と目立つんです。
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だから両面テープの断面まで、同色塗装しておこうっていうのか!
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そうです。ちょっとしたことではありますが、「両面テープ付いてない感」に影響します。
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そのきめ細かさ、さすがドレスアップカー業界の板金屋と言いましょうか……。
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製品付属の両面テープも、あとから付けると、目立つのはすごい目立つ。モノにもよりますが、白などは特に!
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メーカーは、そこまでは考えていないんでしょうね。
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全体的にキレイで真っ直ぐな両面テープはまだいいけど、ヘロヘロしているやつは、くっつくところと浮くところができて、テープがすごい目立つ!
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あんまりそういう両面テープで貼りたくないなァ。
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そうなんだけど、それが付属品だったら、普通はそれを使って貼るでしょう?
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そりゃあそうだ。
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先に両面テープを貼っておけば、そういうアラも見えにくくなりますよ。
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なるほどね!
ボディ同色の両面テープになるから。 -
それからフチギリギリまで両面テープを貼らずに、1ミリから1.5ミリくらいは内側に逃して、見えにくいようにします。
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そういう意味では、使用する両面テープの幅を、のりしろより少し細いものにするといった方法もあります。
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両面テープで、まさかそこまでこだわっているとは……ね。
塗装前の準備②╱対象物の置き方
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それから、塗装直前の準備で重要なのが、対象物の置き方です。
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それはかなり重要ですね。
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まず、台や地面にポンっと置くだけでは、下側のカドの部分をキレイに塗れません。
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普通に置いた時点で、下側のカドは、地面に接してしまいますからねぇ。
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カドまでキレイに塗るためには、やっぱり浮かせたいわけです。
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本多研究員はプロだから、設備や小道具がいろいろありますが……DIYだとしたら、どうやって浮かせるか。
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小物パーツを浮かせる方法なんて、いくらでもありますよ。空き缶なども使えるし。
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大きめの缶や箱(↓)なども組み合わせて、高さを稼ぎましょう。
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しかし、ただ浮かせればいいという発想で準備すると、塗り始めてから後悔することもあります。
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というと?
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例えば、こんな置き方をしたケース。
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これだって浮いているし、高さもいい感じですけど、なにか?
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ところが、塗り始めてみると、下の棒が邪魔。これでは塗りにくい。
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ウッ。そういえば、ナナメ下から塗装しようとしたときに、棒が間に来てしまう。
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そうなんです。フチを塗りやすくするために浮かせているのに、フチが塗りにくいという……。
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まだ改善が必要ですね。
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「単に浮かせるだけ」ではダメ。できるだけ「間になにもなく、フリーで塗料を吹ける」状態にしたいのです。
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その点を踏まえて、少々改善した置き方がこちらです(↓)
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やり方はいろいろですけど、塗装する対象物の置き方を考える上で重要なことは、塗りにくいところが、塗りやすくなる置き方にすることです。
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フムフム。
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塗りやすいところは放っておいていいのです。塗りにくいところ優先で置き方を考えると、キレイに塗装しやすくなりますよ。
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……クオリティの高い塗装は、準備の段階から始まっているもよう。
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そうだ! 塗装になれていない人は、こんなふうに空き缶なども準備しておくといいですよ。
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何ですかコレ? ……この上にも、何かを設置するの?
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いいえ。土台ではなくて、この空き缶もいっしょに塗装するんです。
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あー、分かった!
まずは空き缶で缶スプレー塗装の練習をするのか。 -
いいえ。空き缶を先に塗ってみるのではなく、同時に塗っていきます。
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んん?
それじゃあ、練習にならないんじゃ……? -
練習用ではなくて、空き缶もホンモノのパーツと同じように塗っていくのがポイント。
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意味がワカラン???
まだ棒がジャマといえばジャマだが、この位なら問題ない。
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