電装DIYの知識
車の電源取り出しは容量オーバーに注意!!
電源取り出しの盲点&注意点。取りたい電源の種類を意識するのは当然だが、容量については『考えていなかった!』ということがけっこうある。容量を考慮に入れず、そのへんの配線から電源を取って、消費電力の大きい電装品を付けるのはNG!
電装品の消費電力、気にしてる?
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車の電源取り出しについては、DIYラボでもいろいろな方法を解説しているのですが……
●レポーター:イルミちゃん
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今日は、容量オーバーに注意!! という話題です。
●アドバイザー:CEP 岡本研究員
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確かに電源を取るときに、容量のことはあまり気にしていない人が多そうですね。
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付ける電装品が消費電力の小さいLEDとかなら、それでも別に問題はないと思います。
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消費電力が大きい場合だと?
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容量の大きい……つまり消費電力の大きい電装品を付ける場合は、注意したほうがいいですね。
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注意するべきは、どんな電装品なのでしょう?
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例えばCEPの電装品の中でいうと、キーレスなんかも意外と電気を使う電装品です。
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リモコンでドアロックするのって、そんなに電気を使うんですか?
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というよりもCEPのキーレスは、ハザードランプを光らせてアンサーバックさせるときに一番電気を喰うんです。
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ハザードランプの点灯は、4つのウインカー球を光らせるということ。1個あたり21Wの電球が4個だから、84Wも使います。
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なるほど。
言われてみれば。 -
サイドマーカーも左右で2個付いていたら、さらに5W×2個=10W増えますね。
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ムムム。
合計で94Wになりました。 -
それを車両の電圧である12Vで割り算すると、電流量が計算できます。94W÷12V=約7.8アンペアの電流が流れるわけですね。
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そうやって計算するのかー。
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一時的とはいえ、これだけ電流が流れます。同じ理屈で、ウインカーポジションなども電気を喰いますよ。
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う〜ん。
考えさせられる話ですね。 -
そこでこういうユニットのメインの電源(常時電源)を、どこから取るか……という問題になるのです。
ロック・アンロック時にハザードランプが点灯
ナビ裏からの電源取り出しは注意も必要
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常時電源ならナビ裏でもヒューズボックスでも、どこからでも取れそうですが……
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しかしナビ裏の常時電源は、もともとメモリー用のバックアップのための電源という役割りです。だから容量は7.5アンペア位しかなかったりします。
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ムムム。
……嫌な予感がしてきた。 -
そこに7.8アンペアの電流が流れたら、ヒューズが飛びますよね。
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そりゃそうですね。
ナビ裏は、常時電源もACC電源もイルミ電源も取れるが……
ヒューズから電源を取るときもアンペアを気にする
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さきほどの例は、ナビ裏の常時電源の話でしたが……
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容量を気にした方がいいのは、ヒューズボックスから電源を取るときも同じです。
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常時電源を取るぞー!となったら、エンジンオフの状態で、検電テスターを当てて調べていきますが……
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常時電源ヒューズならどれでもいいという感覚ではなく、容量の大きい電装品を付ける場合は取り出すアンペア数も気にしましょう。
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定番のエーモンのヒューズ電源にも、アンペア数のラインナップはいろいろありますからね〜。
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同じ常時電源の中でも、アンペア数が高めのヒューズから電源を取り出せばいいんだ。
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そうなんですけど、実際に取り出せる量は「ヒューズ電源自体に付いているヒューズのアンペア以内」なので、ここにも注意は必要です。
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例えばエーモンの10アンペアや15アンペアのヒューズ電源から取り出せるのは、5アンペアとなっていますね。
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そこからキーレスの電源などを取ると、さきほどの理屈で、5アンペアのヒューズが飛ぶわけですよ。
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やっぱり。
そうなりますね。 -
電装品を付けたけど動かない、というときにはありがちなパターンです。
エンジンオフでも反応するのが常時電源ヒューズだが…
ヒューズ電源のアンペア数もいろいろ
15アンペアヒューズから5アンペア取り出し
20アンペアヒューズから10アンペア取り出し
キーシリンダー裏なら大容量の電源が取り出せる
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容量のことを気にし出すと、どこから電源を取っていいのか分からなくなってきますね。
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消費電力の大きい電装品を付ける場合、キーシリンダー裏などはオススメと言えます(プッシュスタート車のぞく)
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キーシリンダー裏は、なぜオススメなんですか?
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おおもとの太い配線から、しっかりした電源を取れるからですよ。
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そうなんだー。
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キーシリンダー裏にはバッテリーから太い常時電源が来ています。キーを回すことで、それがスイッチになって、ACC電源やIG電源の各回路に電気を流す仕組みです。
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そこから、各電装品に流れていく。
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そうなんです。
分かれていく前の根元なんですね。 -
つまり支流に分かれる前の、本流から取るみたいな感じですね。
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だから他の場所よりも、太めの配線が通っています。
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キーシリンダー裏は常時電源、ACC電源、IG電源は必ず全部取れる場所になっています。
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なるほど。
そういう意味でも狙い目なのか。 -
容量の大きい電装品の場合は、オススメの場所ですね
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キーシリンダー裏から電源を取る方法は、「キーレス取り付け方法/常時電源の取り方」でも紹介しています。
キーシリンダー裏からも電源は取れる
キーシリンダー裏の電源線は太い
ヒューズから電源を取り出すのは定番ではありますが、定番だからといってデメリットがないわけではありません。はじめてヒューズから電源取り出ししようとしているなら、下の動画(YouTube)の内容もチェックしておくことを強くオススメします(DIYラボ編集部)
DIY Laboアドバイザー:岡本 亮
キーレスをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。工具大好き。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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