電源取り出しコラム
車のヒューズから取れる電源容量。限界は何アンペア?

車のヒューズボックスは、比較的アクセスしやすい所にあり、電源の取り出し先として超定番。ここでの必要アイテムはヒューズ電源だ。まずはヒューズ電源の取り出し容量について解説。そこがわかると「限界アンペア数」が、理論的にわかる。
ヒューズから取り出せる電源のアンペア数は明確
前回はシガーソケットからの電源取り出し容量を解説しましたが……

DIYラボ レポーター:イルミちゃん
今回はヒューズからの電源取り出しについてです

アドバイザー:DIYライフ 藤本研究員
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ヒューズボックスから電源を取る、というのは、シガーソケットの次に多い位の定番コースです。
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そうですね。余計なところをバラさなくても電源が取れるのが、ヒューズの利点ですからね。
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ここで必要になるのが「ヒューズ電源」と呼ばれるアイテムで、定番はエーモン製です。
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エーモン製のヒューズ電源の場合は、交換するヒューズが15アンペアまでなら、取り出す電源の量は5アンペア、となっています。
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15アンペアなら5アンペア? なんのこっちゃ?
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ヒューズ電源は、交換する純正ヒューズの容量に合わせて選ばないといけません。なのでおおもとのヒューズのアンペア数に合わせて、種類が用意されています。
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10アンペアヒューズから、10アンペア取るわけではないんですね。
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それは取り過ぎですよね。元の純正の電装品に供給する分もありますから。
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あ、そっか。
だから控えめな取り出し容量になってる。 -
そうなんです。

ヒューズボックスは、どんな車でもわりと簡単にアクセスできる場所にある。

ヒューズにはいろいろなアンペア数があるので…

ヒューズ電源にもいろいろなアンペア数がある

セレクトショップDIYライフでも販売している「エーモン製ヒューズ電源」
ヒューズ電源は、おおもとのヒューズのアンペア数に対して、それよりも少ない「マージンを取った電源取り出し容量」が設定されています

█ エーモン製ヒューズ電源で取り出せる電流量
交換するヒューズのアンペア | 電源として取り出せる量 |
---|---|
5アンペア | 3アンペア |
7.5アンペア | 5アンペア |
10アンペア | 5アンペア |
15アンペア | 5アンペア |
20アンペア以上 | 10アンペア |

ヒューズから取り出す電源量はどう決まっているのか?
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あれ?
ちょっと待った! だとすると…… -
なにか疑問でも?
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15アンペアのヒューズから、5アンペアの電気を取り出して、実際に5アンペア分使ったとするじゃないですか。
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ふむふむ。
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元々の純正の電装品の分と合わせたら、合計で20アンペアも流れてしまうことになりませんか?
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あー、その疑問ですね。そこは純正でマージンが取られているから、そうはならないんですよ。
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マージンって?
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ようは15アンペアのヒューズが入っている回路に、実際に15アンペア近い電気が流れているわけではないってことです。
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ほー。
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この場合は、実際に流れている電流は5アンペアかそこらという想定があります。
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その根拠は?
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回路設計的に、約3倍程度のマージンは見ているだろう、ということですね。そこからの逆算です。だから15アンペアヒューズから5アンペア取り出している。
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では10アンペアなら、実際に使っているのは3〜4アンペア程度だろう……という想定。
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そういった想定があるから、エーモンのヒューズ電源にしても、10アンペアヒューズから5アンペア取り出す仕様になっているんですね。
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そんな考え方で、取り出す電源の量を決めていたんだ〜。エーモン製品に詳しすぎる。藤本研究員、エーモンファン!?
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ということは、けっきょく、ヒューズから取り出せる電源の容量は……
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3〜10アンペアですね。これはヒューズ電源に付いている、後付けのヒューズのアンペア数とイコールです。
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つまり、ヒューズからなるべく大きい電源を取りたいのであれば、20アンペア以上のヒューズを狙って、ヒューズ電源と交換すればいいのです。
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そうすれば、最大10アンペアということになるのか〜。

純正回路はマージンがある。だから「その分はもらってもいいだろう」……というのがヒューズ電源の設計思想です


ヒューズから電源を取り出すのは定番ではありますが、定番だからといってデメリットがないわけではありません。はじめてヒューズから電源取り出ししようとしているなら、下の動画(YouTube)の内容もチェックしておくことを強くオススメします(DIYラボ編集部)

DIY Laboアドバイザー:藤本壮啓
某カー用品メーカーに長年勤務し、車業界にDIYを広めた伝説の広報マン。現在は独立して、DIY用品を扱うセレクトショップ「DIYライフ」を設立。単なる製品の宣伝トークではない、DIYユーザー側に立ったアドバイスが持ち味。通称「フジモン」。
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