電源取り出し隊
常時電源の取り出し場所として、キックパネル裏は狙い目

常時電源はいろいろな場所から取れるが、どこから取り出しても同じではない。ややマニアックな話だが、メインの電源で使うなら「しっかりした常時電源」を探すべき。常時電源の取り出しに適した場所・キックパネルについて、電装のプロが解説する。
常時電源が取れる場所はいろいろあるのに、プロがキックパネル裏を狙うのはなぜか?
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電源の取り出し場所は、DIYラボでもいろいろと紹介してきましたが、電装のプロがオススメスポットを教えてくれるそうです。
●レポーター:イルミちゃん
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「しっかりした常時電源を取りたい」という時に、狙い目の場所を紹介します。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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しっかりした常時電源?
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そうです。
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あのぉ。
隊長。 -
なんですか?
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常時電源にしっかりしてるとか、してないとか、あるんでしょーか? 不良っぽいジョージとか?
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……。ええっと、つまり、「容量的に安心感のある常時電源」という意味ですよ。
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ああ、そういう意味ですね。
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常時電源は、ナビ裏やヒューズボックスからも取れます。しかしヒューズ電源は、5アンペア取り出しのパターンが多いため、5アンペアを超えるとヒューズ電源自体のヒューズが飛んでしまいます。
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5アンペアでも足りない電装品って?
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例えば後付けキーレスエントリー、アンサーバック、セキュリティなどですね。ハザードランプを光らせる後付けユニットは、その瞬間には7〜8アンペアの電流を消費するので。
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では、どこから電源を取るのか?
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例えばキックパネル裏は狙い目です。ウチで取り付けを担当する場合は、定番的な取り方です。
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キックパネルとは……ココです(↓)
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こんなところに、狙い目の電源が通っているとは。
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どんな車でもだいたい、キックパネルの裏には中継カプラーのブロックがありますので。
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中継カプラー?
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キックパネルを外して見ればわかります。

ヒューズから取るなら、「常時電源をヒューズから取り出す方法」参照。
✔ ひとくちメモ
エーモンのヒューズ電源を例にすると、20アンペア以上のヒューズと交換するタイプなら、10アンペア取り出しができる。
運転席と助手席にある、足元の側面パネルが「キックパネル」

キックパネルの外し方
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まずは、初心者向きにキックパネルの外し方。
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キックパネルを外すときは、車種によりますが、まずステップのパネルを先に外すパターンが多いですね。
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ステップの前端がキックパネルの上側にカブっている場合は、こうやってステップを先に外します。
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これは上側に引っ張って外せますね。
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キックパネルは、側面を覗き込むとネジあるいはピンが1本使われていることが多いです。
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このピンを取れば、あとは手作業で引っ張って外せます。
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わりとカンタンにバラせることは、電源取り出しする上では重要ですね。
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そうですね。ヒューズほどラクではないけど、ナビ裏よりラクにアクセスできますよ。
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ここから先は、実際にキックパネル裏の配線を探索してみましょう。
固いときは内張りはがしでこじる

固定ピンが刺さっている。
手で上方に引っ張ってピン固定を抜く



ドア側に渡っていく配線のカプラーを探す
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これは80ヴォクシーの例ですが、キックパネル裏はこうなっています(↓)
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確かに配線がいっぱい集まっています。
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この場所を中継して、ドア側に渡っていく配線もあれば、車の後部へ向かっていく配線もあります。
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フムフム。
「配線の中継基地」みたいなものか。 -
ハイ。たくさんの配線が通過するスポットなのですよ。
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なるほど、なるほど。
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例えばもし、車のドアを外して整備するような場面があったときのために、この付近のコネクターを抜けば、外せるようになっているんです。
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だからコネクターがいっぱい並んでいるのか。
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そしてその中には、ドア側に渡っていく配線のカプラー(コネクター)もあります。
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このドアに渡っていく配線の中には、しっかりした常時電源があるし、ACC電源あるいはIG電源なども通っている可能性が高いです。
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なぜ、そう言えるんですか?
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ドア側には、ウインドウを上げ下げするためのモーターが付いていますが、モーターは、けっこう電気を喰う部品なのです。
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ほー。
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だから、そこそこ電流の流れる中太線の常時電源が、この付近を通過していることが多い。
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なるほどね!



つまようじクラスの中太線の常時電源を探す
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実際に80ヴォクシー(前期)の場合、調べてみるとこの線は常時電源でした。
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これがしっかり者のジョージ? 見た目には分かりませんが。
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いいえ。見た目である程度、分かるんです。それが配線の太さです。
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あー! 「細線、太線、中太線の違い。配線から電源取り出しするならどれ?」で教わったテクニックが、ここで使える。
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そうです。あのときに、つまようじと配線を比較する方法を紹介しましたが、実際にここでやってみると……
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ちょうど、つまようじと同じ位の太さですね。
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ハイ。で、この純正配線を調べると、根元には20アンペアのヒューズが入っていました。強力な常時電源線と言えます。
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ヒューズのアンペア数まで分かるの?
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それはまあ、配線図を見て調べたからなんですが。つまようじと同等かちょっと太いくらいの配線は、そこそこ電気が流れるのが前提の太さです。
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さすが。
配線図大好きの服部隊長。 -
80ヴォクシー前期の例だと、この桃色が常時電源で……これはいい常時電源です。
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隊長、うれしそうですね。(…配線見てニンマリって、ちょっとヘンタイ?)
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そこそこ電気を喰う電装品を取り付けるときは、「キックパネル裏の中太線の中から常時電源を探す」。これは我々がいつもやっているセオリーのひとつです。
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それはいいことを聞きました♪


この記事では配線からの電源取り出し方法を解説したが、よりリスクの低い常時電源の取り方(探し方)もある。それについてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しているので、ぜひ見てね。

DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL
079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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