電装DIYの知識
ヒューズボックスからの電源取り出しでヒューズを飛ばす例

ヒューズボックスから電源を取り出す時の注意点。ヒューズ電源を使った電源取りは、定番かつ便利。しかし取り付ける電装品によっては、ヒューズを飛ばす例がけっこう多い。これはヒューズからの電源取り出しを、もう一歩深く理解すると、未然に防げるトラブルだ。
アンサーバックやキーレスの取り付けでよくあるトラブル
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今日はヒューズボックスから電源取り出しするときの注意点について、お話しようと思います。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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ヒューズ電源を使った電源の取り方は、定番ですよね。
●レポーター:イルミちゃん
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そうですね。常時電源、ACC電源、IG電源といった電源は、ヒューズボックスから取る人が多いと思います。
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キホン的なやり方は、DIYラボでも紹介しています(↓)
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さっそく注意点ですが、取り付ける電装品の種類によっては、ヒューズ電源自体に付いているヒューズを飛ばすトラブルがけっこうあります。
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どういうことですか?
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よくあるのは、キーレスやアンサーバックの取り付けでのトラブル。
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フムフム。
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ハザード点滅させるハザードアンサーバック機能を後付けするようなユニットの場合は、純正の全てのウインカー球を光らせるために、それなりの電流量が流れます。
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ウインカーは、消費電力21Wの電球を使っている車種がほとんどですが、これが4個分。さらにサイドウインカーも含めると、5W×2個分。
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ええっと。
つまり合計すると、消費電力94W。 -
それを電流値に直すと、単純計算(94W÷12V)で7.8アンペアです。まあだいたい、7〜8アンペアの電流が流れます。
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……けっこういきますねぇ。
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そしてヒューズボックスから取り出せる電流量は? と言えば、交換するヒューズのアンペア数にもよりますが、5アンペア取り出しというのが多い。
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業界スタンダードのエーモン製ヒューズ電源を例にすると、下の表のようになっています。
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つまり、15アンペア以内の純正ヒューズと交換するタイプのヒューズ電源だとすると、取り出し量は5アンペアなので……
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ハザード点滅させたら、ヒューズ電源に付いている管ヒューズのほうが飛ぶんです。
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15アンペアヒューズと交換したら、15アンペア取り出せるわけではありませんからね〜。
ヒューズからの電源取り出し│関連記事
実はこの瞬間にはけっこう電気を使う!

✔ ひとくちメモ
消費電力(ワット)を、バッテリー電圧の12ボルトで割り算すれば、電流量(アンペア)が導き出せる。
電力(W)÷電圧(12V)=電流(A)
█ エーモン製ヒューズ電源を使って取り出せる電流量
交換するヒューズのアンペア | 電源として取り出せる量 |
---|---|
5アンペア | 3アンペア |
7.5アンペア | 5アンペア |
10アンペア | 5アンペア |
15アンペア | 5アンペア |
20アンペア以上 | 10アンペア |


飛んだヒューズは交換できる。「車のヒューズが切れた! 正しい交換方法は?」参照。ただし原因を突き止めないとまた飛ぶだけだ。
✔ ひとくちメモ
ここでいうヒューズは、車両側の純正ヒューズのことではなく、ヒューズ電源側に付いているヒューズが飛ぶ、ということ。
純正の電球を光らせるユニットや、モーターを駆動するユニットは要注意
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そもそもヒューズ電源にヒューズが付いている理由は、「ヒューズボックスから電源を取り過ぎないための、防御機能」なわけですが……
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そうなんですよね。しかし、5アンペア取り出しでは、全ウインカー球を光らせるには足りません。
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この場合は、20アンペア以上のヒューズ電源を使えば、取り出し量が10アンペアに増えますね。
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ハイ。それなら大丈夫です。しかし、15アンペアあたりのヒューズ電源を使って飛ばす、というのは非常によくある話です。
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なーるほど。
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同じことは、ウインカーポジションなどにも言えますね。
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これもウインカーに出力するため、けっこうな電気を必要とします。
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ほかに、意外と電気を喰う電装ユニットの例を挙げるとすれば、オートライトキットも注意が必要です。
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ヒューズ電源を使うときに、アンペアについてはあまり意識していなかった、という人が多いと思いますが……
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しかし「電球を光らせるユニット」や、「モーターを動かすユニット」はけっこう電気を喰うモノだ、と覚えておきましょう。

付け方は「ウインカーポジション取り付け方法」参照。


付け方は「オートライトをDIYで取り付ける方法」参照。
ヒューズから電源を取り出すのは定番ではありますが、定番だからといってデメリットがないわけではありません。はじめてヒューズから電源取り出ししようとしているなら、下の動画(YouTube)の内容もチェックしておくことを強くオススメします(DIYラボ編集部)

DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている勉強家。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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