塗装の悩みをプロに聞く
塗装はどこまで塗ればいいのか? 重ね塗りの止めどきはドコ?
塗装はどこまで・何回くらい重ね塗りをするのか。塗装の完成の判断材料として「塗装の肌」があるが、それはどういうものなのか。板金塗装のプロに聞いた。
塗装の肌を意識してみよう。…塗装の肌ってなに?
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これまで、塗装の「垂れ」とか「ムラ」について教わってきましたが、ようするに少しずつ「重ね塗り」するのが有効って話ですよね。
●レポーター:イルミちゃん
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そうですね。一気にベターっと塗らない、重ね塗りが基本中の基本です。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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……ただ、そこでちょっと疑問に思うことがありまして。
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なんでしょうか?
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ちょっとずつ重ね塗りするのはいいとして、いったいどこまで塗装すればいいんでしょう?
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あ~、ようするに塗装の止めドコロが分からないっていう話ですね。
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そうそう。インターバル(間隔)については前に教わりましたけど……。
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3回塗ったら止めるとか、5回塗ったら止めるとか、そういうハナシではないでしょう?
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回数は、色や塗り方によっても変わるので、何回とは言えませんね。
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では、何を目安にどこまで塗ればいいの?
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ひとつの目安になるのは塗装の「肌」ですよね。よく言う「ミカン肌」みたいな状態だと、もうちょっと塗りたいよね……とか。
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塗装の……ハダ?
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そうです。
塗装にも肌があるんですよ。 -
塗装の肌って、どういうこと???
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車のボディに、自分の顔を写り込ませてみれば分かりますよ。鏡みたいにキレイには映りませんから。
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ほう。
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ボディに写り込んだ周辺の風景にしても、ギザギザに写り込んでいますよね。
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これはつまり、塗装がツルツルの鏡面ではなくて「肌」があるから。車の純正塗装には、必ず肌があります。
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これが塗装の肌かー。
言われてみればツルツルではない。 -
そうなんです。ようは完全に真っ平らな面ではなくて、表面に凹凸があります。
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なるほど、なるほど。
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逆に、風景がギザギザせずに鏡みたいにキレイに写り込むとしたら……それは、塗りすぎです。
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キレイな鏡面ってことは……
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それはもう、「垂れる寸前」です。
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あぶねー。
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もちろん、そういうツルツル塗装にしたくて、わざとやっているならいいんですが……
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鏡面仕上げにしたい、とか!
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しかし、その場合は、一般的には塗装後の磨きで鏡面にします。「塗り」で鏡面にしようとするっていうのは、よほど腕がないと、あまりにもリスキーです。
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塗装が垂れる……ってことね。
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そうですね。だからいずれにしても、塗装面に肌がない「鏡面」の状態まで塗るのは、塗りすぎです。
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その手前で、塗るのを止めましょう、ということか。
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もともと車のボディの塗装には肌があるんだから、車に付けるパーツ単体だけ鏡面にしても、合わなくなります。
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そういう問題もあるか。
どこまで塗装するか? ひとつの判断材料としては…
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重ね塗りをどこまでするか、という話なら、ぜひ皆さんに伝えたいことがあります。
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ほう。
なんでしょうか? -
「あと1回塗りたいなぁ~」って思うところが、塗装の止めどきです。
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もう1回行くとどうなるの?
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そこでもう1回塗ると、塗った直後は、「よっしゃ!最高だぜ!」っていう状態にはなるんです。
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ふむ。
それなら、塗ってよかったんじゃないの? -
ところが、その後、ガンの掃除をして、それからブースに戻ると、垂れているわけですね。これ、ありがち。
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あーあ。
止めておけばヨカッタ。 -
そういうギリギリアウトの垂れっていうのは、時間差で襲ってくるんですよ。
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塗った直後は上手く塗れていたのに。
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そうなんです。そこから5分、10分の間に、重力で伸びて垂れるんです。
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車のパーツは平面の板ではありませんからねぇ。
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一番危ないのは、湾曲しているような箇所です。そういう場所は、塗料が集まって垂れやすい。
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鏡面に近づくほど、そのリスクが増大してしまう。
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そうです。だから塗装はどこまで塗るか、と聞かれたら、その手前で止めましょうとアドバイスしておきます。
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なるほど。
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ある程度、塗装の肌ができていれば、その先は磨きでいけますから。
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その「ある程度、肌ができている」っていうのが分からんけどね。
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例えば、純正塗装に比べて、写り込む景色のギザギザが細かすぎるとすれば、それは「ミカン肌」のような状態ですので、もうちょっと塗りたいところです。
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景色のギザギザが細かいのは、まだ早いんだ。
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そうですね。ミカン肌、あるいはもっと手前のバサバサした状態で塗装を止めてしまうと、乾いたあと触ってもザラザラです。
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それでも後から削ってツルツルの平らにはできるんでしょう?
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できるんですけど、ペーパーでならして凹凸の谷が浅くなっていったときに、「点」として残ってしまったりするんですよ。
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点……って、巣穴みたいな?
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極端に言うとそうですね。削っていくうちに、肌が肌ではなくなってテンテンテンテン……みたいな状況になってしまう。
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つまり「塗り足りない」のを磨きで解決するのは、無理なんですね。
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そもそも「もうちょっと塗っておきたかったよね」ということです。
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かといって「肌のない鏡面」までいったら塗りすぎ……と。
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そういうことです。
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考えたこともなかったけど、「自分の車の塗装の肌」っていうのを意識すると、クオリティを上げられそうな気がします。
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