板金塗装をもっと身近に
塗装に失敗したときの塗料の剥がし方(FRPパーツの場合)
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塗装に失敗したら、塗料を剥がして塗り直すしかない。そこで塗装の剥がし方を、板金塗装のプロに聞いた。もちろんかなり手間はかかるが、DIYでも不可能ではない。そして塗装の状況によっては、意外と効率よく剥がして、再塗装できるかも!?
320番の紙ヤスリで塗装を削り落とせれば話は早いが……
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中古パーツを買って、プロに塗装してもらうつもりなら、缶スプレー塗装品は避けたほうがいいよ~というアドバイスがありましたが……
●レポーター:イルミちゃん
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塗料の剥がしに、膨大な手間がかかってしまいますからね。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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しかしですね、本多研究員。
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はい。
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これから中古パーツを買う人は、単に「回避」すればいいけれど、世の中にはDIYで缶スプレー塗装しようとして失敗する人もたくさんいるんです。
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知ってますよ。
……ウチにもよく修正依頼が来ますから。 -
あ、やっぱりそうなんだ。
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自分で塗装して失敗した人達にとっては、塗料剥がしは回避できない問題ですから、頼まれたら剥離もやります。
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前回「塗装料金が倍になるかも」という話があったし、大変な手間がかかりそうだけど。
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溶剤を使って剥離しないとダメなのか、もしくは削り落とせるレベルなのか。状況によりけりですね。
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フムフム。
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缶スプレーによるFRPパーツの自家塗装は、削り落とせるケースも多いですよ。
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そうなんだ。
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未塗装のFRPパーツを買って、ちょっと塗ってみたら失敗して「ああ、オレには塗装は無理だな…」と、すぐに諦めた人の場合は、塗膜が薄いわけですよ。
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諦めの早さにはメリットもあるようです。
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その場合ベストなのは、320番のサンドペーパー(紙ヤスリ)で塗料が完全に削り取れること。
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320番という番手は、FPRパーツの足付けに使うのと同じです。
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ほう。……では320番で塗装を剥がせば、足付けも完了するってこと?
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そうなんです。そのままサフェーサーを吹けます。そのあと、すぐに本番の塗装ができますので……
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それなら効率よく修正作業が進みますね。
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もっと荒い番手で塗装を削り落とした場合は、番手を上げながら、その傷目を消さないといけないので手間が増えますね。
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あ~。そこは「ヘッドライトのクリア塗装をDIYでやるときの注意点」で教わったのと同じような話か。
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作業効率を考えると、320番で落としたいところではあります。しかし320番で削って、塗料が落とし切れていなかった場合はどうなるか。
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……どうなるの?
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サフェーサーを吹いた段階で、塗料が縮みます。このように(↓)
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ただ、この縮みは、缶スプレー塗装の上から、プロが使うウレタン系塗料で塗っているから起きている現象ですけどね。
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塗料が完全に剥がしきれていれば、こうはならずに済んだのに。
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新たに吹き直すサフェーサーの足付けをするための320番ではなく、まずは「失敗した塗料を完全に剥がしきる」という意味での320番だ、ということを忘れずに作業するのが大切です。
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しかし、この位で失敗塗装の修正ができるなら、まだ軽度と言えそうです。
DIY向けの紙ヤスリセットの中にも含まれている。
粗目の紙ヤスリを使っても塗料を剥がしきれないケース
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塗料を剥がすのが最も大変なのは、諦めずにがんばって何回も重ね塗りした人。それなりに塗膜が厚くなっていますからね。
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なんとかしようと頑張ったのは悪くないが……。
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ここで、実際にDIYラボ読者の方から依頼を受けた、DIY塗装の修正案件を紹介しましょう。
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サイドステップですね。
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そうですね。
ちなみにバンパーでなくて、まだヨカッタ……。 -
そこ、違いがあるんだ?
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バンパーとサイドステップでは、塗料剥がし作業をする面積がだいぶ違いますからね。工賃も数倍変わってくるかも知れません。
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……いきなり前後バンパーから自家塗装に挑戦するのは、止めておいた方がよさそう。
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で「まあ、サイドステップならまだなんとかなるだろう」と思って、塗料剥がしと再塗装を引き受けましたが……
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フムフム。
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さきほど言ったやり方で、まずは320番のペーパーで削ってみたものの……ぜんぜん下地が出てこない。
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塗膜が厚かったんですね。
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仕方ないので、もっと番手を下げて120番で削ってもラチがあかない。
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……どうなっている!?
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逆に、よく缶スプレー塗装でこんなに厚く塗れたものだなぁ……と不思議に思って、オーナーさんに事情を聞いてみたんですね。
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ふむ。
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そしたら、1年くらいかけて、3回ぐらい塗り直したんだそうです。
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……たいへんよく頑張りました。
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塗膜が1ミリか、それ以上あると思われ、削ってもキリがないから、シンナーで拭き取ろうとしましたが、手が真っ黒になるばかり。
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あらま。
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最終的にはペーパーの番手を60番まで下げて削り落としましたが……しかし、サイドステップの凹みの部分は機械も入らない。
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造形的に細かいところまで、完璧に落とすのは難しい。
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しかし、完璧に落とさなければ、ウレタン系のサフェーサーを吹いた時点で縮みます。
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うーむ……。
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こうなったら溶剤の力を借りるしかないのだが……
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おや? なにか別の手があるのでしょうか? あるならもっと早く、使えばよかったのでは???
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いろいろ事情があるんですよ。
FRPパーツの場合は。
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