板金塗装をもっと身近に
クリア塗装までに時間を空けすぎてしまったときの対処法は?
クリア塗装は色を塗ったあと、速やかに続けてやるべき。そうしないと塗料が密着せずに、剥がれる原因になってしまう。しかしそれを知らずに、クリア塗装までに時間を空け過ぎたら、どうすればいいのか。塗装のプロにとっても無理難題な案件だが……
クリア塗装は時間を空けすぎると剥がれるが、今さら言われても困るケースもある
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「クリア塗装だけはDIYでは難しいからプロに頼む……はアリかナシか?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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塗装後に、何日も時間を置いてからクリア塗装するのは、密着しないからダメだという話をしましたが……
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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そうはいっても、そんなこと知らなかった、という人もいるわけですよ。
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その点を踏まえて……今回の持ち込み塗装モデルを改めて紹介。お客さんが自分で塗装してから、何ヶ月も経過したブレーキキャリパー(↓)です。
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無理難題は、ほんだ塗装までどうぞ!
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……。
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さあ、どうしようか…?
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まず、下地の塗装は完全に乾いている。そのままクリアを塗装したら、剥がれます。
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こういうときは、足付けするしかない?
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いや。今回のブレーキキャリパーは、足付けもしたらダメ。これは足付けできない状況です。
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それはなぜ?
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だって、下地をメタリックで塗装しているんですよ。
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足付けでゴシゴシやったら、メタリックのキラキラがどんどん取れてしまいます。
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あ、そっか。
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だからこの場合はもう、接着剤(プライマー)を吹いて、クリアを密着させるほかないのです。
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そういう塗り方でもいいの?
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ベストな塗り方とは言えませんよね。後からクリアが剥がれる可能性も、通常よりも高くなってしまいます。そのへんは注意事項として伝えました。
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……まあでも、今となっては仕方ないか。
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問題点はそれだけではありません。
ラッカー系とウレタン系の塗料を混ぜるのが問題
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クリア塗装までに時間を空けすぎて、塗装が完全に乾いているのが問題なのは理解しましたが……
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ハイ。
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でもプライマー(接着剤)を使って何とかクリアが吹けるなら、それこそ「プロに助けてもらえる」希望が持てそうだったのに、他にも問題点があると?
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第2の問題は、塗料の違いです。缶スプレー塗装は基本的にはラッカー系の塗料を使うことが多いですよね。
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しかし僕らプロの板金屋がガンで吹くのは、ウレタン系の塗料です。
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ああ~!
もしかして「混ぜるな危険」的な話? -
まあそうですね。混ぜると反応して、塗料が縮んでしまう可能性があります。
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縮む……。
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メッキの上から塗装すると縮みやすい、という話をしましたよね。あれと似た状況です。
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塗料が、隙間から下に入り込んでいくようなイメージ?
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そうですね。
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そんな状況で、今回のブレーキキャリパー案件はどうやってクリア塗装を吹く気なのでしょう?
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ちょっと特殊な方法ですが……塗料が下に入り込まないように、「層」を作るイメージで塗ります。
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「層」を作るとは?
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上から塗装するときに、シンナーをかけずにミストだけかかるように、遠目にフワー〜っと吹く。わざとバサバサになるような塗り方をするというか……。
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そんな技もあるんですね。
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接着剤(プライマー)の段階から、そういう塗り方をします。次に吹くクリアも同じです。
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クリアを吹く回数は?
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通常だと、クリアは3回くらいで塗装しますが、様子見・様子見・様子見……で重ねていって、10回くらいやりました。
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やればできる、ということね!
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……いや。
そうじゃなくて……。 -
ほんだ塗装なら、自家塗装の上からでもクリア塗装できますよ~!
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…と言ってしまうのは、ビミョウでしょう。これはたまたま上手くいっただけ、と思ってもらったほうがよいかと。
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……そうなんだ。
そんなに難しいのか。 -
ただ、もしもクリア塗装しないまま月日が経ってしまったパーツが手元にあって、「あー、やっちゃったかも!?」というDIYラボ読者の人がいたら……
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とりあえずほんだ塗装に相談してみましょう。
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できるかどうかは分からないけど、何とかできるかもしれません。
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……とは言え、これからDIYで塗装する人は「そのままの勢いでクリアも吹かなきゃダメよ!」が結論です。
カー用品店で買った、一般的な缶スプレーによる塗装。
スプレーガンによる塗装。
無事にクリア塗装完了!
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DIY Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工と塗装のスペシャリスト。エアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休 メールはこちら
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