塗装の悩みをプロに聞く
塗装で色ムラになる原因と対策
塗装の色ムラの原因は何か。ムラにならない(またはムラが目立たない)ように塗装するには、どうしたらいいのか。まずは塗装ムラの原因を理解して、対策を学ぶ。
色ムラになる原因は……?
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塗装の悩みシリーズ。今回は「色ムラの原因」を取り上げます。
●レポーター:イルミちゃん
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色ムラになる原因は、大きく分けると2つあります。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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フムフム。
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まずひとつ目は、塗り方が悪いせいでできる色ムラ。つまり自分が悪いやつね。
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全部、塗り手のせいだと思っていたけど、違うのもあるんだ?
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そうではないムラもありますが、「塗り方が原因」のパターンからお話しましょう。
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なにが悪いのでしょう?
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ようは、カンタンに言ってしまえば均一に塗れていない。
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ふむ。
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例えばこの空き缶。順に
「サー」
「サー」
「サー」と、均一に吹いていければいいのですが…… -
距離が一定ではなくて
「サー」
「ドバー」
「サー」
「ドバー」という吹き方をすれば、当然ムラになります。 -
これは分かりやすい話です。そんなことしねーよ、って思うかも知れませんが……
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しかし、塗り始めは上手く塗れていても、だんだん腕も疲れてきますので。
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姿勢的にもキツくなる。
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で、吹きかける間隔も、最初のようには丁寧にできなくなったりする。
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ありそう。
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ラインがおおざっぱになってくると、線ができてしまい「ガンで吹いた痕が残る」みたいなムラになります。
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線になるの?
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塗れているところと、キチンと塗れていないところで、境界線的なものができる。
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ああ、なるほどね。
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あるいは、透けムラというのもあります。
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なにソレ?
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メタリックやパールなど、ギラギラ光る粒が入っている塗装の場合、ギラギラの分布が均一になっていないとムラになります。
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ギラギラの分布の差が原因なんだ。
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そうです。ギラギラの粒が少ないところは、下のベースの色が透けてしまうから。
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なるほど。
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反対にギラギラの粒が密集している部分は、黒っぽい斑点のように見えてしまいます。で、光が当たったときにモワンとしたムラが出る。
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メタリックやパールは、粒があるからよりシビア。
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ベターっといっぺんに厚塗りしすぎると、こういう色ムラになりやすいです。
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やはり薄く、重ね塗りすることが大切ですね。
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もうひとつ、どうにもならないことが色ムラの原因であるケースもありますよ。
色ムラが避けられないケースもある!?
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これはエアロパーツなどのFRP製品の塗装でありがちなんですが、そもそも平面であるべきところが、平面ではないケース。
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ど、どういうこと?
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ようは歪み(ひずみ)があるってことです。
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ちょっと凹んでいます、みたいな状況か。
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そうすると、メタリックの粒々はそこに溜まります。
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ムムム……。
例のギラギラ分布が乱れる。 -
そう。結果的にそこだけ黒っぽくなります。しかも歪みで影もできるから、なおさら黒っぽく見えやすいし。
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……なるほど。
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FRP製のエアロパーツでは、波打っているような歪みもよくありますよ。
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しかしこれは、物理的に凹んでいるんだからどうしようもない。塗装以前のモンダイだ。
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ただ、フォローしておくと、エアロパーツのように複雑な造形だと、色ムラは意外と目立ちにくいんです。
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そうなの?
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大きな平面ではなく、いろいろな角度の狭い面の集まりで構成されているでしょう。光の当たり方も面によって違うから、色ムラは分かりにくい。
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ではDIYの自家塗装で、歪みによる色ムラまで気にしすぎてもしょうがないか。
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そうですね。
その場合はドンマイです。 -
…なるほど。
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ただ、エアロパーツはいいけど、ボディとなると、屋根もトランクもツルっとした平面が多いですよね。
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そういう場所は色ムラがあると目立ちます。ドアもひとつの面だから、ムラが分かりやすい。
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広い面の塗装は、特に注意ですね。
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それから色によっても違いがある。黒などの濃い色はムラが目立ちにくいけど、シルバーやガンメタは色ムラがすごく目立つので、注意したほうがいいですよ。
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最後に色ムラ対策についても教わっておきます。
色ムラを出さないコツ、あるいは目立たなくする対策
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色ムラになる原因がいろいろあるのは分かりましたが、対策は?
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言葉でカンタンに言うと「どの面に対しても、同じ塗り方をしていきましょう」。
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ふむ……まあ、そういうことになりますね。
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塗り方が均一でないと、その差で線ができて色ムラになるので。
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塗装の最中に色ムラに気づいていれば、消せるのでしょうか?
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例えば横ラインで塗っていって線が出来てしまったら、タテ方向にも塗るとか。
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ほう……
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ようは、なるべく色ムラの線が目立たないようにするわけです。
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そうやって、途中からでも修正していけばいいんだ。
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それから、メタリックやパールの分布を均一にするという意味では、最後の「ムラきり」も対策と言えます。
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ムラきりとは?
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重ね塗りを繰り返していった最後の最後で、均一にのせるためにブワーっと全体に吹き付けて仕上げとするのです。
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塗りにくい場所など、完全に均一に吹くのは難しいですからね。メタリックの分布もバラついています。
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だから最後に均一な層をのせるイメージか。
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そうです。
それが塗装の最後の工程にやる「ムラきり」です。 -
そもそも均一に塗るが大切。そして途中の修正と最後の仕上げでできる、色ムラ対策もあるんですね~。
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