夏のメンテナンス
夏の長距離走行前に、タイヤの空気圧点検をする意味
夏期休暇に入ってやっておくべきは、タイヤの空気圧点検。扁平タイヤや引っ張りタイヤの車だけでなく、ノーマルサイズのタイヤを履く車でも、この重要性は変わらない。日頃からメンテナンスしている人には今さらの話だが、このタイミングでもう一度おさらい。
タイヤのバーストは夏の定番トラブル
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「ラジエーターキャップを点検する意味」の続き。ここまでは冷却系統メンテナンスのおさらいでしたが……
●レポーター:イルミちゃん
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あとは、夏のトラブルといえばタイヤです。夏はタイヤのバースト事故も多いですから。
●アドバイザー:シャルマン 岡田研究員
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タイヤのバーストは、なぜ夏に起こりがちなんだろう?
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猛暑だと路面温度はかなり高くなりますよね。タイヤのゴムは熱の影響を受けるので、劣化したタイヤにとどめをさすパターンが、夏場は多くなるからです。
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そういうことか。
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それから空気圧不足で走ればタイヤは熱を持ちます。いわゆるスタンディングウェーブ現象(※)が起こる。
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タイヤの空気圧が不足した状態で高速道路を長距離走行すると、バーストが起こりやすくなります。
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夏の長距離走行前に空気圧点検をしないと恐い、という意味がよく分かりました。
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バーストまではいかなくても、空気圧が減っているとそもそも燃費も落ちる。タイヤもへんな減り方をするし、経済的にもったいない面だってあります。
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デメリットのオンパレードですね。
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FFの車は、空気圧不足だとハンドルも重くなりますよ。
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気持ち良く走れていない、という意味でも損している。
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ちなみに、オートショップシャルマンでは、ノーマルの車もドレスアップした車も両方売っていますが……
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ウチでの傾向でいうと、インチアップして扁平タイヤを履いている車のお客さんだと、空気圧をちゃんと見ている人が多いです。
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ホー。
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例えば「20インチとかを履いている車なら、空気圧は高めをキープしておかないと危ない」というような意識は持っているオーナーが多い。
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「扁平タイヤの空気圧管理はシビア」という話は、浸透しているもよう。
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そうそう。僕も、そういう車を買うお客さんには、積極的にそれを言うしね。
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ふむ。
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しかしいっぽうで、普通のノーマル車を車検などで預かったときにチェックすると、たいていの車は空気圧不足の状態です。
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……なんとなく、分かる気がするよ。
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で「このタイヤ、空気入ってませんよ?」って言うと、「入れたことないです」って返されることも少なくありません。
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……ははは。
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「車検のときしか空気圧補充していない」っていう人も、います。
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あまりにもリスキー過ぎる……。
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車に興味がない人だと、オイル交換も空気圧補充も車検のときだけ、っていう人は少なくないので、これは本当に恐いなと思います。
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車はメンテナンスフリーという考え方が行き過ぎている……。
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そうなんですよ。
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それで言うと岡田研究員、DIYラボ読者の人は意識高い系が多いと思いますよ。間違いなく。
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でしょうね。だから今回の話はここでは言うまでもないことかも知れませんが、もし忘れていたら、夏の長距離走行前に空気圧の点検をしましょう。
※ スタンディングウェーブ現象とは?
本来、真円でコロコロ回っているべきタイヤが、空気圧不足によって「たわみ」が発生し、波打つように変形する現象のこと。タイヤ内部に大きな負担がかかり、異常発熱する。多少の誤差はあっても空気圧はマメに見ることが重要
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ところで岡田研究員は、DIYで空気圧点検する場合、どこでどのようにやったらいいと思います?
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普通にガソリンスタンドとかでいいんじゃないでしょうか。
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簡易的なエアゲージだと誤差も気になるところですが……そのあたりはどう思われます?
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うーん、ただそれを言い出すと、どこでやっても、何でやっても多少なりとも誤差はあると思う。
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確かに……ね。
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仮にですけど、0.1キロとか0.2キロの誤差が生じるのは、それこそ誤差なんで、気にしなくていいレベルです。
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フムフム。
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例えば2キロ入れるべきところが、2.1キロになっている、なんていうのは問題にはなりません。
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まあね…。
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それよりも、2キロ入れるべきタイヤに1.2キロちょっとしか入っていなかった、みたいな状態の車が現実問題として多いわけですよ。そっちの方が問題なわけです。
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ずーっと空気圧点検していなかったら、空気圧半減も冗談ではない話。
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多少の誤差の問題を気にするより、とにかく「空気圧をマメに見る」ことがなにより重要です。これが僕の考え。
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誤差を気にして、空気圧を点検する機会がむしろ減ってしまうとなると……
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それこそ本末転倒ですね。
ガソリンスタンドに置いてあるエアゲージとコンプレッサー。
>>> 次回に続く
DIY
Laboアドバイザー:岡田 健
シャルマンは車を買ったお客さんを後悔させないことを第一とする、心ある中古車店。購入時の整備も丁寧だし、古い車のトラブル対応にもめっぽう強い。●オートショップシャルマン TEL:0066-9709-8501 住所:大阪府摂津市鳥飼本町5-6-9 営業時間10:00〜20:00 火曜定休
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