夏のメンテナンス
ラジエーターキャップを点検する意味
ラジエーターキャップを点検する意味と点検方法。リザーブタンクのクーラント量をチェックしている人でも、ラジエーターキャップを開けたことがなかったりするもの。「危険」「警告」などと書いてあるので触ってはダメなのかと思いきや……
ラジエーターキャップは単なるフタではない
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「クーラント(冷却水)のリザーブタンク内の量を確認しておく意味」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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リザーブタンクのクーラント量はチェックしているよ~、という人でも、意外と気にしていないのがラジエーターキャップのほうです。
●アドバイザー:シャルマン 岡田研究員
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ラジエーターキャップの点検も重要なんだ?
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重要です。
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なぜフタの点検が重要なのでしょうか?
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まずラジエーターキャップは単なるフタではありません。
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そうなのか。
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ラジエーターキャップの裏側にはバルブ(弁)が付いていて、圧力がかかり過ぎるとクーラントをリザーブタンクに戻して圧を逃がしたり……といったことをしています。
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ようするにラジエーターキャップには、クーラント(冷却水)の圧力を調節する機能があります。
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単なるのぞき見用のフタではないのね。
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ラジエーターキャップが壊れたら、圧力も適切にかからなくなります。
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圧力が下がったら、クーラントの沸点も下がってしまう……。
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そういう問題もあるし、弁がちゃんと開かなかったり、開きっぱなしになってしまうこともあります。
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それはマズそうですねぇ。
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ごくまれにですけどラジエーターキャップの故障で、逆にリザーブタンクのほうに冷却水が戻り過ぎているパターンもあったりするし……
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それってつまりタンクはいっぱいに見えて、ラジエーター本体側では冷却水不足になっている!?
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そういうことです。だからラジエーターキャップが壊れているせいで、エンジンがオーバーヒートするケースもあります。
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リザーブタンクだけ見て「冷却水が入っているからオッケー!」とか思っていたらダメなのね。
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はい。そこはセットで見ないといけない。
冷却水に圧力をかけることで沸騰しにくくしている。「適切な圧がかかるように調節している部品」がラジエーターキャップ。
ラジエーターキャップの点検方法
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ラジエーターキャップの劣化具合は、目で見て分かるものなのでしょうか?
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それをチェックするためにはラジエーターキャップを開けますが……
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まずは開けるときの注意点。高温時に開けると吹き出してきて大やけどしますから、ラジエーターキャップを外すのは、エンジンが冷えている状態でないと絶対にダメです。
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ラジエーターキャップの点検は、車に乗る前に!
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で、ラジエーターキャップを開けたら裏を見ます。
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ラジエーターキャップはゴムパッキンとバネが使われているので、ゴム部分が劣化します。
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古い車だとゴム部品は劣化して当然ですね。
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そう。黒いゴムが変色していたり、欠けていたり。
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欠けていたら交換?
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もちろんそうです。そうなる前に交換しておきたいので、シャルマンのお客さんの車では3~4年に1回は交換しています。
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費用はどの位かかるのでしょうか?
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ラジエーターキャップは部品としては安いです。1000円しないものもあるし、高くても1000円を超える程度。
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重要な部品のわりには、値段は安いんだ。
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だから交換しておくに越したことはないんですよ。
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確かにそうだなァ。
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もちろん明らかに劣化していない状態だったら、僕だって交換はしないですけど。
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劣化しているようだったら、部品代を惜しむような話ではない。
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それからラジエーターキャップを開けたとき、正常であればラジエーター内のクーラントの水面が見えますが……
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開ける時に「ブシュ」って空気が漏れるような音がする場合は、エアーが噛んでいるということなんで、クーラントが減っていると思います。
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音がするのはヘン、ってこと?
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そうですね。ちゃんと上までクーラントが入っている車なら、ブシュっとはならないですから。
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フタを外す時は、その点も合わせてチェックですね。……で、フタを開けても水面が見えないなんていうことはありますか?
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仮にラジエーターキャップを開けても水面が上に見えない状況だったとしたら、リザーブタンクの冷却水はすでに空っぽに近いのではないでしょうか。
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む。相当深刻な状況かも。
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そういう意味ではやはり、前回言った通り、リザーブタンクの液量を確認しておくことがまずは大切です。
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リザーブタンクをチェックして、ハイとローの間くらいか、もしくはハイに近いところにあったら、ラジエーター本体側に冷却水が入っていない可能性は低いと思います。
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ただしそれも、ラジエーターキャップが正常に機能していれば、という条件での話ね。
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そうですね。ごくまれに、ラジエーターキャップが劣化していて、リザーブタンクに冷却水は入っているのに本体側で不足している状態が起こることはありますから。
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タンクとキャップの両方を見るべき理由と意味が、よくわかりました。
DIY
Laboアドバイザー:岡田 健
シャルマンは車を買ったお客さんを後悔させないことを第一とする、心ある中古車店。購入時の整備も丁寧だし、古い車のトラブル対応にもめっぽう強い。●オートショップシャルマン TEL:0066-9709-8501 住所:大阪府摂津市鳥飼本町5-6-9 営業時間10:00〜20:00 火曜定休
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