古い車のメンテナンス
長年オートマオイル(ATF)無交換の車は、今後どうしたらいい?
「そういえばオートマオイル(ATF)を交換したことがない」と気付いた古い車は、あわてて交換しない方がいいかも。オイル交換は、規定のサイクル通りにやるのが理想ではあるが、長年オートマオイル無交換の古い車だけは、交換すること自体にもリスクあり。
分かりにくいオートマオイル(ATF)の交換サイクル
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古い車のメンテナンスシリーズ。今日はオートマオイル(ATF)について取り上げます。
●レポーター:イルミちゃん
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オートマオイルは難しいんですよねぇ、扱いが。
●アドバイザー:シャルマン 岡田研究員
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難しい……というのは、DIYだと交換が難しいっていう意味?
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それももちろんありますが、それ以前の問題として、交換するべきか、しないでおくべきかの判断が難しいオイルなんですよ。
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ほえ!?
それって、どういうことなんでしょう。 -
最近の事情を言えば、オートマオイル(ATF)、あるいはCVTオイル(CVTF)は、無交換でいいとされている車も増えています。そもそもゲージも無かったりするしね。
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ようはメンテナンスフリーみたいな感じですね。外車などでも多いかと。
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ふむ。しかし、そういう新しい車は横においておくとして、昔ながらの車では、交換するものですよね?
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そこがね、難しいところではあるんですよ。絶対的な正解がない、とも言えます。
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でも、エンジンオイルみたいに、走行距離に応じた交換サイクルの目安はあるんでしょう?
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「メーカー指定の交換サイクル」という意味でいうなら、そこは車によってバラバラです。
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そうなんだ。
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中には走行2~3万キロでの交換を推奨している車もありますが、平均的にはだいたい走行5~10万キロぐらいだと思います。
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え。オートマオイルって、10万キロも交換しなくて良かったりするのか。
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シャルマンで扱っている古い高級セダンでも、10万キロ指定の車種はあります。
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しかし、そんなに長い交換サイクルだと、忘れそう。
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実際のところ「1回もオートマオイルを交換したことがない無交換の車」は、世の中にたくさんいるでしょうね。
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ふーむ。と言うことは……例えば、買おうとしている中古車がオートマオイル無交換の車である可能性は高いんだ?
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そうですね。中古車屋の立場から感覚的に言わせてもらうと、そこは半々かな、という気がしますが。
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きちんと交換している車もそれなりにはいる?
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ディーラーでメンテナンスを受け続けている車に関しては、車ごとの指定交換サイクルにのっとって交換されているはずですから。
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そっか。……でも、それ以外のケースだと、放置されていた可能性も高い。
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そうでしょうね。
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だとしたら、古い車を購入したタイミングで、1度は交換しておくとよい?
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交換すること自体にもリスクがあります。だからオートマオイルは扱いが難しいのです。
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リスク?
昔の車には、エンジンオイル同様にオートマオイルのゲージ(↑)があったが、世代が進むとゲージすら無くなっていたりする。
オートマオイル(ATF)を交換すること自体のリスク
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オートマオイル(ATF)やCVTオイル(CVTF)は、交換することでかえってトラブルを起こすケースもあります。
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な、なぜそんなことに?
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原因はいろいろありますが、まず基本的なことから言えば、交換作業のときに中にゴミが入るとか、あるいは適正量ではなかったりすると、かえって不具合が出るし。
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……シビアってことですね。
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そうですね。規定量も、エンジンオイルのようには分かりやすくない。アイドリングでエンジンを暖めてから量を測定しないといけない車もあれば、エンジンを切った状態で見る車もある。
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車種ごとに、やり方も違うんだ。
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問題がそれだけなら、そこを注意すればいいのですが……
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ふむ。
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難しいのは、これまで無交換だった古い車。うかつに交換すると、一気に汚れが剥がれて循環するようになり、それがコンバーターに詰まる……とかあり得るから。
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それ恐い。
完全に裏目ですね。 -
交換したらかえって車が壊れた……という話は決して都市伝説ではないです。僕もそういう例を見てきましたから。
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では、長年オートマオイル無交換できている車は、この先どうしたらいいんでしょうか?
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ひとつ言えるのは、現時点で不具合が何もないのであれば、無理に交換しなくていいのかな、という気はします。
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なるほど。
放置もひとつの策か……。 -
「シフトショックがある」「変速のタイミングですべりを感じる」「ダダダダダっていうジャダーが出る」など、そういう症状が何も出ていないのであれば、無理に交換しなくてもいいかと。
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逆にそういう症状が出ている車は、オートマオイル交換で改善される可能性もあるってこと?
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そんなケースもあります。ただ当然、交換作業には慎重さが求められる。
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……トドメをさすかも知れないんだもんね。
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シャルマンでの整備方法の例でいうと、そういう車はまず、下からオイルパンを外して掃除をします。
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まずオイルパン掃除から。
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それで状態が良くなったら、そのまま少し乗って様子をみて、それから改めて、今度は普通にオートマオイルを交換します。
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段階を踏むんですね。
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最初にオイルパンを掃除した過程では、一部のオートマオイルしか抜けませんので。
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一気に洗浄力が上がって汚れがグルグル回り出すリスクが減るってことか。
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そうなんです。古い車で不具合が出ている時は、そういう風に段階的にやって改善できるケースはあります。
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なるほど。
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ただし、一般ユーザーがDIYでオイルパンにまで手を出すのは止めたほうがいいと思います。普通のガスケットではなく液体ガスケットの車もあるし、うかつにやるとオイル漏れの原因になる。
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DIYではなおさら敷居が高そうなやり方ですねぇ。
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オートマオイルの交換自体、車に詳しい人を除けば、基本的にはDIYでやるような作業ではないと思います。
DIY Laboアドバイザー:岡田 健
シャルマンは車を買ったお客さんを後悔させないことを第一とする、心ある中古車店。購入時の整備も丁寧だし、古い車のトラブル対応にもめっぽう強い。●オートショップシャルマン TEL:0066-9709-8501 住所:大阪府摂津市鳥飼本町5-6-9 営業時間10:00〜20:00 火曜定休
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