古い車のメンテナンス
ブレーキオイルの交換時期は見た目で分かる?
ブレーキオイルの交換時期。どのオイルも経年劣化はしていくものだが、エンジンオイル以外のオイル交換時期に関してはあいまいな人も多いので、ここでブレーキオイル交換時期や判断方法などを学ぶ。
ブレーキオイルの交換時期は?
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今日は、放置系オイルシリーズ・第二弾。
●レポーター:イルミちゃん
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……。
●アドバイザー:シャルマン 岡田研究員
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エンジンオイルのことは気にしていても、ブレーキオイルについては気にしていない人も多いと思います。
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サーキットを走る人は別ですが、街乗りしかしない一般的な車だと、見落としがちですね。
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オートマオイル同様か。
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でもまあ……オートマオイルやCVTオイルに比べたら、まだ、ブレーキオイルの交換時期は分かりやすいとは思いますよ。
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そうなんだ。ブレーキオイルの交換サイクルはどの位なんですか?
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だいたい2年~4年と言われていますが、2年だとちょっと早いかな、と思いますね。
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確かに車検のたびにブレーキオイルを交換する、っていうイメージは正直ないですねぇ。
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ですから4年に1回、つまり車検2回に1回ぐらいの割合では、ブレーキオイル交換を意識しておけばいいかと。
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なるほど。……とはいえ、4年間の走行距離は人それぞれですが。
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そこですよね。だから、「時間」はあくまでも交換時期の目安にしかなりません。
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ふむ。
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ブレーキオイルの場合は特に、走り方によって劣化具合が変わってきますので。
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そうなんだ。
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極端な例を挙げると、サーキット走行ではブレーキオイルが沸いたりするから、走ったあとすぐ交換するのも普通のことですし。
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ブレーキオイルが沸く?
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ようはブレーキを酷使するからブレーキオイルが沸点に達して、気泡でブクブクになって、油圧がかからなくなり、ブレーキが効かなくなるんです。
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教習所でも習う現象だ!
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ベーパーロック現象ね。実際に起こったら、ムッチャ恐いですよ。僕もサーキットでは何回も経験しているけど。
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一般車でも坂道でフットブレーキをガンガン使っていると、ブレーキが効かなくなったりするんですよね。
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そうですね。熱でブレーキが効かなくなる、という点では「フェード現象」もあるけど、ブレーキオイル放置と関連するのは「ベーパーロック現象」のほうです。
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なぜ、ブレーキオイルが関係してくるの?
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水分を吸収して劣化したブレーキオイルは沸点も下がるので、ベーパーロック現象も起こりやすくなってしまう。
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そういう理屈か。
……なんか急に恐くなってきた。 -
ただ、負荷をかけるような走り方をしなければ、基本的には長持ちするオイルですけどね。
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街乗りだけの車なら、長年交換しなくてもいいわけか。
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ハイ。4年に1回交換が望ましいとは思いますが、実際には5年、6年と交換していない車もたくさんいるかと。
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……とはいえ、オイル自体は次第に劣化はしていきますよね?
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ですね。基本は密閉されているとはいえ、酸化もするからね。
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だとすると、マイルドな走り方しかしないから長年放置してもいい、と考えるのも恐い気がします。
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劣化具合を目視で確認する、という交換時期の判断方法もありますよ。
ブレーキオイルの交換時期は見た目でも判断できる?
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目視でブレーキオイルの交換時期の判断なんてできるの?
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ブレーキオイルの劣化具合は、目視でも判断しやすいのが特長です。色が変わっていくから。
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ホホウ。
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ブレーキオイルのもともとの色は、透明に近い黄色っぽい色なんです。
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上のブレーキオイルのリザーブタンクは20セルシオなんですが、長年きっちりメンテナンスされてきたと見えて、内装もキレイなら、ブレーキオイルもキレイな車でした。
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へぇー。いいなぁ、20セルシオとしては貴重な存在かも。
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そういう中古車はすぐに売れてしまいますね。
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ナルホド。……それでブレーキオイルに話を戻すと、放置を続けるとどう変化するのか!?
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焦げ茶色みたいな感じに変色していきます。
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汚れて色が変わるってことなのかな。
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基本的には酸化するのと、ブレーキオイルの場合は空気中の水分も吸収して、劣化していきます。
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フムフム。
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だから、ブレーキオイルをずーっと交換していない車だと、最終的に、コケが生えたみたいな感じになりますよ。
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コケ?
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このように(↓)緑色になったりする。
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本当だ。コケっぽい。
すごいなコケって。 -
水分のせいでこうなるんでしょうね。ちなみにこちらは20セルシオより一世代新しい30セルシオですが。
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古い車になるほど、日頃のメンテナンスの差が出てくる。
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しかし、ブレーキオイルのこの状態はありがちです。中古車屋をやっているともっとドロドロのも、実によく見かけます。
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沸点が下がるのもコワイが、見た目もコワイ。
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これだとブレーキオイルの交換時期としては、ちょっと遅いですね。こうなる前には交換しましょう。
DIY Laboアドバイザー:岡田 健
シャルマンは車を買ったお客さんを後悔させないことを第一とする、心ある中古車店。購入時の整備も丁寧だし、古い車のトラブル対応にもめっぽう強い。●オートショップシャルマン TEL:0066-9709-8501 住所:大阪府摂津市鳥飼本町5-6-9 営業時間10:00〜20:00 火曜定休
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