塗り分け塗装の知識
マスキングテープがキレイに剥がれない! 残る! ギザる! なんで?
マスキングテープがキレイに剥がれず、塗装した塗料の下に残る失敗例(↑)。なぜこんなことになってしまうのか。その原因と対処法をまとめておさらい。またすでに失敗例のような状態で、マスキングテープがギザギザになっている場合の緊急対処にも触れる。
マスキングテープが剥がれずに、塗料の下に残る…
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塗装する前にマスキングテープを貼るのは普通の話ですが……
●レポーター:イルミちゃん
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いざ、塗装後に剥がそうとすると、キレイに剥がれないことがあります。
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なんか、上の方のラインがギザギザになって……汚くなっています。
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実によくある話ですね。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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どうやって剥がせば、キレイにマスキングテープを剥がせるのでしょうか?
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僕の場合は、だから、マスキングテープを使うのはイヤなんですよ。
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……え? え?
そういう話? -
紙のマスキングテープだと、剥がすときにキレイに剥がれず、塗装の中に埋まったまま残ってしまったりするんですが……
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これはようするに、「塗装が切れていないから」こうなるわけですよ。
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でも、マスキングテープって、いちおう塗装のときに使う、世の中の公認グッズじゃないですか?
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……。
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それなのに、塗装後にマスキングテープがキレイに剥がせないなんて、どういうことって話ですよね?
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塗装が薄ければ、紙のマスキングテープでもキレイに剥がれると思いますよ。
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あー。
塗装の厚みが原因なのか。 -
例えば、5回とか重ね塗りした場合は、それなりに塗膜も厚くなっているので、「紙」では切れない。そういう理屈ですね。
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塗料が重くて、紙のマスキングテープが負けて、破れてしまうんだ。
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そう。へんなところから破れるから残る。それがもっと細かいレベルで起こっているのが、ギザギザラインです。
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じゃあ、重ね塗りしないで塗装を薄くしておくっていうのはどう?
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そうはいかないでしょ。
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……ですよね。
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何回重ね塗りするか、っていうのは、そもそも色による話です。
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ふむ。そのへんは缶スプレー塗装講習のときにも教わりました。
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トマリの良い色ならすぐに色が付くけど、トマリの悪い色は何回も重ね塗りして、ようやく色がつきます。
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例えば黄色は、なかなか色がつかないんでしたよね~。
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そこへきて仕上げのクリアーだって、何回か重ね塗りすることで艶を出していきますし。
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重ね塗りによって、垂れないように艶を出していく。
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ですから「薄く塗ることで解決」は、無理な相談です。マットガンメタとかなら有利、とは言えますが。
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ようするに今回の問題は、マスキングテープの剥がし方が原因ではない、ってことですね?
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紙のマスキングテープでは強度に限界がありますので、僕ら板金屋はマスキングのキワの部分には、ラインテープを使います。
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ラインテープなら塗装が切れるので、ギザギザにならずにキレイに剥がれます。
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だからといって、全部ラインテープでマスキングしろってことではないですよね。
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それは無駄な使い方。塗装の境界線だけラインテープを使い、あとはマスキングテープを重ねていけばいいのです。
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すでにマスキングテープのみで塗装してしまって、キレイに剥がれないとしたら……手遅れ?
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う~ん、その場合はデザインナイフなどを使って、残って(埋まって)しまったマスキングテープを手作業で切りながら剥がしていくしかないですよね。
マスキングテープが分厚い塗装に埋まっている状態。
足付けに使ったマスキングテープの流用もリスクあり
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それから、これも前に言いましたが、足付け作業をしたときのマスキングを、そのまま本番の塗装に流用するのも、キレイに剥がせなくなる原因です。
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紙のマスキングテープは、サンドペーパーを当てればゲジゲジになりますから。
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……紙だから破けますよね。
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ゲジゲジになっている谷に塗料が入り込んでいきますから、当然、ギザギザの塗装ラインになってしまう。
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つまり、紙のマスキングテープで、しかも足付けの段階から1回のマスキングで済ませようとすると……
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いちばん失敗しやすいパターンですね。せめてラインテープを使い、できればラインテープだとしても流用はしないのがベストです。
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けっきょくのところ、「面倒くさがらない」という当たり前の話が、解決策となるようです。
「足付け」は塗装面にあらかじめ傷をつけておき、塗料の食いつきを良くする作業。
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