シーケンシャルウインカー自作教室(第15回)
ウインカーをLED化した車のハイフラ対策
ウインカーをLED化した車は、ハイフラ対策が必須。それはシーケンシャルウインカーに限らず、通常のLED加工でも、LEDウインカーバルブだとしても同じこと。ここでは穴開けなどの加工なしでできる、ハイフラ防止抵抗の固定方法を紹介。
最近の車のハイフラ対策に、ICリレーは使えない
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シーケンシャルウインカー連載もいよいよ大詰め。
※連載のもくじは、「シーケンシャルウインカー自作教室╱記事一覧」
●レポーター:イルミちゃん
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最後に、ウインカーをLED化した車のハイフラ対策を解説しておきます。
●アドバイザー:イルミスタ・野本研究員
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今回は単なるLED化ではなく、シーケンシャルウインカー化していますが……
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LED化した、という点では同じですね。そのままヘッドライトを取り付けるだけだと、ハイフラが起こります。
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シーケンシャルウインカーに限らず、通常のLED加工でもLEDウインカーバルブでも、ウインカーをLED化すればハイフラが起こるので、いずれの場合もハイフラ対策が必要になります。
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では、ハイフラ対策とは何か?をおさらいします。
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方法は2つ。ハイフラキャンセラー(ハイフラ防止抵抗)と呼ばれる抵抗を付けるか、またはウインカーリレーを交換するか。……しかし最近の車は、リレーを使わなくなっています。
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つまり今どきは、ハイフラ防止対策は、事実上「ハイフラ防止抵抗を付ける」しかありませんね。
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抵抗を使う方法なら、古い車でも新しい車でも、通用するんですね〜。
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そうですね。これはようするに、電球が切れていないように見せかけるやり方。単純に電気を消費させるので、どんな車でもできますね。
マ
メ
知
識
「ハイフラ」は、ウインカー電球の球切れを知らせるための高速点滅(ハイフラッシャー)のこと。
もともと電球が付いているウインカーをLED化すると、消費電力が極端に小さくなるため、車は「球が切れた」と判断して、ハイフラが起こってしまう。
✔ ウインカーのカッチンカッチン音は、もともとはウインカーリレーの動作音。しかし最近の車はウインカーリレー自体は使われておらず、擬似的に(わざわざ)ウインカーリレー音を出している。
✔ そのため、ICリレーを使ったハイフラ対策は使えなくなっている。
LED通販エルパラで売っている定番モデル・メタルクラッド抵抗ゴールドタイプ
ハイフラ防止抵抗の取り付けにおける注意点
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ただし、ハイフラ防止抵抗は、電気を熱に変えているわけですから、発熱します。
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熱問題ですね。
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つまり、取り付け場所を考えなければいけません。
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ヘッドライト裏なんかにペタリと貼ると……
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ヘッドライトは樹脂でできているので、溶けてしまいますね。
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危ないので絶対やめましょう。火事になりかねません。
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ハイフラ防止抵抗の熱を逃がしたいので、車両のフレームなど鉄板部分に取り付けします。
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前回、ヘッドライトを取り外した状態ですから、鉄板ならアチコチに見えますよ〜。
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ただし、ヘッドライトを付け直したときに干渉する位置はNGなので、その点は注意ですね。
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そりゃそうですね。
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まずは、どこにも干渉しない鉄板スペースを見つけます。
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このへん(↑)なら、付けても大丈夫そう。
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ハイフラ防止抵抗を固定するときは、両面テープでペタリと貼るだけだと、やはり熱で溶けて、剥がれ落ちてしまいます。
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鉄板に両面テープで貼るのは、意味ナシ!
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理想を言えば、本来は鉄板にビス留めできれば一番良いのですが……
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それなら熱で取れる心配もない。
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ただ、付けられる場所に都合良く穴があるわけもなく……鉄板に穴開け加工が必要になったりします。
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そっか。
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穴を開けるのはちょっと……という人も多い。
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気持ちは分かりますが……。
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そこで今回は、もっと手軽な「グラスウールとアルミテープを使った固定方法」を紹介します。
ハイフラ防止抵抗の取り付け方法
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まず、車両の鉄板部分に抵抗の位置決めをして、そのあとグラスウールで覆います。
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これ、まだ固定はしていません。手で押さえているだけ。
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固定にはアルミテープを使います。
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抵抗をグラスウールで押さえつつ、アルミテープを巻き付けてフレームに固定するんです。
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この状況……。
熱がこもったりしない? -
抵抗の熱は、鉄板側に伝わります。だから重要なことは、抵抗と鉄板に隙間を作らず、圧着させておくことです。
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それで、ギュウギュウに押し付けていたんだ。
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隙間なく固定できているのを確認したら、さらにアルミテープを何重にも重ね貼りしておきます。
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これなら穴開け加工はいらないし、樹脂に接触して溶ける心配もない。
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巻き付けるときに結束バンドを使う手もありますが、結束バンドはけっきょく劣化してきてパキパキになるので……
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だからアルミテープなんだ〜。
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ねんのために言っておきますが、養生テープとかだと溶けてしまいます。
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あくまでもグラスウールとアルミテープが必要、ということですね。
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ちなみに今回紹介した材料も、エルパラで商品化されています。
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抵抗を付けるのに最適なサイズで切り出してあるので、コレがあればラクですね。
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取り付けができたら、次は配線作業です。
ギュウギュウ……
背面まで巻き付けて固定
取り付け完了
エルパラのグラスウール アルミテープセット(5024)。※ハイフラ防止抵抗は別売り。
ハイフラ防止対策の配線作業はシンプル
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さきにハイフラ防止抵抗を固定しておいて、あとから配線作業をします。
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配線って、どうするんでしょうか?
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これはカンタンですよ。純正ウインカーバルブの線に、並列に割り込ませるだけです。
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並列……と言われてケムリが出る、電気は苦手な人も多いと思うんですけど?
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ええ〜っと、ではそういう用語はナシで説明すると、ハイフラ防止抵抗からは2本の配線コードが出ていますよね。
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片方はウインカーバルブのプラス線の途中に、もう一方はウインカーのマイナス線につなげばいいのです。
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フムフム。
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抵抗に極性(向き)はないので、どっちがプラスでどっちがマイナスでも、OKです。
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実際にやってみます。
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ウインカーバルブ線に合流させる方法は人それぞれですが、僕の場合はスプライス端子を使います。
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あとは配線が遊ばないように、テープで結束しておきましょう。
※スプライス端子を使った配線の「接続」や「分岐」は、ハンダ付け並にコンパクトに結線できるのでオススメ度が高い。基本的な使い方は、下記記事で解説している。
✔ 「スプライス端子で配線を接続する方法」参照。
スプライス端子で合流させたところ
ビニールテープで絶縁する
ヘッドライトの取り付け
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ハイフラ対策が終わったので、あとはヘッドライトを取り付けるだけです。
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純正のウインカーバルブ(電球)をソケットから抜いて、シーケンシャルウインカーの配線に付けたウェッジベース(T20型)をつなぎ直します。
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これでシーケンシャルウインカーの電源が取れました。
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あとはヘッドライトを固定し直すだけですね。
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これで、ついに!
シーケンシャルウインカーが完成しました〜!!
✔ ヘッドライトを外した時の逆工程。「シーケンシャルウインカーヘッドライトの取り付け方法╱準備編」参照。
DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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