社外エアサス導入ガイド(第7回╱前編)
エアサスの定番トラブル「エア漏れ」シューティングガイド
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エアサスのよくあるトラブルといえば「エア漏れ」。空気で上げ下げしているエアサスの宿命だ。エア漏れの原因や、エア漏れした時の症状を知っておこう。
エアサス特有のトラブルが「エア漏れ」
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社外エアサスのよくあるトラブルと言えば?
●レポーター:イルミちゃん
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エア漏れでしょうね。空気を使って車高を上げ下げする仕組みである以上、車高調にないトラブルとして、「エア漏れ」が起こる可能性がある。
●アドバイザー:ACC タイソン研究員
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フム。エアサスを付けるなら、エア漏れの知識は持っておいたほうが良さそうです。
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エア漏れに関して言えば、取り付け方に起因する例は多いです。
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フムフム。
例えば? -
どこかにホースが干渉していて無理な力がかかっていたり、可動部分にタイラップで固定してしまって、引っ張られて……というケースもあります。
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シートをスライドさせたら、タンクのホースが抜けた……みたいな話ですね。
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固定は必要ですが、何かが動いたときにテンションがかかる場所に固定しないように注意しましょう。
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あとホースと言えば、細かい話ですけど、切り出して使うときの注意点。
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そういえばコレ、ハサミで切っていいですか?
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いやいや、ホースカッターを使うことをオススメします。
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頑張ればハサミで切れそうだけど?
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ホースの切り口がいびつになったりナナメになったりすること自体、エア漏れの原因になりますよ。
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それは困る。
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それからホースの接合や分岐に使うフィッティングなんですが、内部に樹脂を使っているタイプの場合は……
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こういうタイプは、基本的に再利用はできません。
※「エアサスの消耗品はどの部品?」参照。
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ホースの取り回しを変更したさいなどに、うっかり再利用しないように注意しましょう。
長いホースを切り出して使うが…
ホースカッターで切る
エア漏れが起こりやすい場所はあるのか?
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取り付けがきちんと出来ていても、エア漏れするケースはありますよね?
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そうですね。
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それはどこから漏れるのでしょう?
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基本的には、ホースや部品を接合している部分から漏れることが多いですが、相手は空気なんで、可能性としてはどこでもあり得る。
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接合部分にはフィッティングを使っていますよね。これが怪しそうだけど……。
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フィッティングの可能性はありますね。これについてはまた改めて後編で解説しますが、エアバッグ部分のOリング部分からも漏れたりとか……
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中にはタンクの溶接が甘くて溶接部分から漏れる、なんていうケースだってあるでしょうし。
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ウーム。
疑いだしたら全部怪しい。 -
そうなんです。空気だから、完全に閉じ込めていない限りは漏れてしまう。そういう意味では、どこでも漏れ場所になりうる。
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なるほど。
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だからエアサスでエア漏れが起こったときに、どこから漏れているかを調べるコツを知っておいたほうがいいですね。
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コツがあるんだ。
エア漏れの症状によって、トラブル箇所を絞り込める
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機械式エアサスの場合は、間に入っているスイッチで、「足回り側」と「タンク&コンプレッサー側」に分かれています。
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機械式エアサスの仕組みをおさらいしてみましょう。こうなっています(↓)
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どこかでエア漏れが起こっていて、エア圧が下がってコンプレッサーが勝手に回るという症状が出たとします。
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車高を上げ下げしてもいないのに、コンプレッサーが勝手に回るケース。
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いかにもエア漏れっぽい症状と言えますが、この場合は足回り側からエア漏れしている可能性は低い。
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それはなぜ?
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スイッチ以降の足回り側は、基本的には(スイッチで)遮断されているわけですから。
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なるほど。
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それは、具体的には……
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コンプレッサー、タンク、それらをつないでいるフィッティングやホース。メーターぐらいまでの間で、エア漏れ箇所を探ります。
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さきほどの図でいうと、上半分が怪しい、ということか。
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いっぽうで、「車高が勝手に下がってしまっているけど、コンプレッサーは回らない」という状況だとすれば……
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コンプレッサーが回らないパターンもあるんだ。漏れているのに不思議。
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それはつまり、スイッチ以降の経路〜足回りの間でエア漏れを起こしている可能性が高い、ということです。
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あー。
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その場合は、コンプレッサー&タンク側は、空気が維持されているままなので、コンプレッサーは回らないのです。
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なるほどね〜。
そうやって問題を切り分けるのか〜。
コンプレッサーからスイッチまでの間を疑うほうが先ですよね
エア漏れの症状を知っていれば、原因を特定しやすい
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ところでエア漏れが起きたら、どういう症状で気づくのでしょうか?
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足回り側でエア漏れが起こった場合、車高は下がります。
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朝起きたら勝手に車高が下がってるとか。
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そうですね。
片側だけ車高が下がっているとかね。 -
フムフム。
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でもさっき言った通り、機械式エアサスの場合は、足回り側からのエア漏れでは、基本的にはコンプレッサーが勝手に回ったりはしない。
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なるほど。
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いっぽうで「車高が下がっているわけではないけれど、朝エンジンをかけたら、コンプレッサーが勝手に回る」というケース。
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あれ〜、車高の上げ下げなんてしてないのに。
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たとえば、前日の夜に車高を上げ下げしていて、空気を使い切ってコンプレッサーが空気を集めている途中でエンジンを切っていれば別ですが。
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いいえ!
昨日も触ってません。 -
そんな場合は、いったんタンクがいっぱいになってコンプレッサーが止まっても、ビミョウにどこかから漏れているせいで、そのうちにまたコンプレッサーが動き出します。
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どっちのパターンで漏れているのか!? 漏れた箇所を特定しやすいように、今日の話を覚えておきましょう。
DIY Laboアドバイザー:岡本泰三 エアサスメーカー・ACC代表。米国に渡り、ACC USAの立ち上げも実現。本名は泰三(たいぞう)だが、英語圏の人には発音が難しいらしく、US時代に「タイソン」が通称に。そのまま呼び名として定着している。●ACC 住所:兵庫県神崎郡福崎町西田原1512-1 TEL:0790-23-0700 http://www.accincjp.com/
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