社外エアサス導入ガイド(第9回╱前編)
エアサスのメモリー機能にも方式がいろいろあるが、どれが良い?╱前編
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エアサスにはオプションパーツがいっぱい。その中で、一番人気は「メモリー機能」。そもそもメモリー機能とは何か。なぜ今、メモリー機能がみんなに選ばれているのか。エアサスを導入するなら、知っておきたい。
エアサスの実用性アップの本命!「車高のメモリー機能」
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エアサスの最新潮流とも言える、メモリー機能について勉強します。
●レポーター:イルミちゃん
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エアサスの数あるオプションパーツの中でも、一番人気といったら、今はやっぱりメモリー機能ですね。
●アドバイザー:ACC タイソン研究員
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まずは、初心者向きにおさらいですが……メモリー機能とは何か?
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「設定した車高を記憶する機能」のことです。
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メモリーは「記憶する」って意味ですね〜。
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通常のエアサスだと、手動のスイッチで車高を上げ下げするのですが……
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また同じ車高にしようとしたら、手動で合わせないといけません。
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だからこそ、エア圧メーターを付けるんですよね。目安になるから。
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そうなんですが、そもそもメモリー機能があれば、自分がいつも走行するときの車高などを、記憶させておくことができます。
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なるほど。
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あとはコントローラーのボタンひとつで、設定した車高に自動調整してくれるのでラクですね。
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パフォーマンス性というより、実用性重視の機能……?
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ですね。最近はエアサスにも実用性を求める人が多い(※)。メモリー機能は、まさにその代表格です。
エアサスのメモリー機能にもいろいろなタイプがある
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で、どうすればエアサスのメモリー機能が手に入るのか?
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ACCエアサスの場合は、標準キットは機械式のエアサスだという話はこれまでにもしてきましたよね。
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シンプルだけど故障も少ない機械式、ってことでした。
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しかし、車高のメモリー機能は、電磁弁エアサスでないとできません。
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フムフム。
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電気的に車高をコントロールするわけですから、手動の機械式ではできないのです。
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なるほど。
電磁弁なら、電気信号で弁を開け閉めできるから。 -
そういうことですね。つまりACCエアサスの場合、メモリー機能=電磁弁とコントローラーをセットにしたオプションパーツ、ということですね。
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ドレを付け足せばヨイのでしょうか?
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大きく分けると、3種類あります。
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メモリー機能オプションだけで、3種類もあるの?
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そうです。まず一番昔からやっているのが、eレベルシステムです。
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コントローラー(リモコン)、電磁弁、リンクセンサーなどがセットになっています。
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フムフム。
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いっぽう、最近新しく追加されたシリーズが、3P(スリーピー)システムと、3H(スリーエイチ)です。
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このシリーズは、コンピューターと電磁弁が一体型になっています。
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あれ?
普通の電磁弁より小さい気がしますね? -
そうなんです。電磁弁の流量が大きすぎると、メモリー車高に合わせるまでの微調整にかえって時間がかかるので、流量の小さい電磁弁を使っています。
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そっかー。
スピード重視の電磁弁とは、考え方が違うんだ。 -
ハイ。3P、3Hは、どちらも、メモリー機能を主体に考えた電磁弁なんです。
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で、3Pと3Hは、どう違うんでしょう?
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3つの車高が記憶できるメモリー機能という意味で「3」は同じ。それに続く文字の「P」はプレッシャー制御、「H」はハイトセンサー制御という意味なんです。
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……なんのこっちゃ。
ACCエアサスのオプション、eレベルシステム
ACCエアサスの3P/3Hシステム
コンパクト電磁弁
エア圧で車高を制御するプレッシャー方式
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車高メモリー機能の、プレッシャー制御とハイトセンサー制御の違いとは何か?
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プレッシャーというのは圧力のことですが、ようするに車高をエア圧で制御するってことです。
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エア圧で制御するって???
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例えば、30アルファードを例にすると、マックスまで車高を上げるときは120psiまで空気を入れるんですが……
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例えば、上の走行車高をメモリー設定すると、コンピューターは80psiの車高を記憶するのです。
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そうすると、ボタンひとつで80psiの状態に自動調節してくれるんだ。
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そうです。
これがプレッシャー制御方式です。 -
エア圧=車高ってことですね〜。
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そこなんですけどね。厳密に言うと、エア圧=車高とは言えない面があります。
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あれ?
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厳密に言えば、外気温などによっても、(同じ車高時での)エア圧は変わってきますし……
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あー、そうか。
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あとは、空気がゼロの状態から80psiまで入れるのと、満タンの120psiから抜いてきて80psiにしたときでは、厳密に言えば同じ車高ではなかったりします。
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……もしかして、ちょっとアバウト?
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そうなんです。プレッシャー制御はあくまでもエア圧を調節しているだけなので、「車高」という意味では、少しアバウトなんですよ。
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……じゃあ、どうすればいいの?
120psiの状態
走行車高という意味では、だいたい80psi位がイイトコロです
80psiの状態
DIY Laboアドバイザー:岡本泰三 エアサスメーカー・ACC代表。米国に渡り、ACC USAの立ち上げも実現。本名は泰三(たいぞう)だが、英語圏の人には発音が難しいらしく、US時代に「タイソン」が通称に。そのまま呼び名として定着している。●ACC 住所:兵庫県神崎郡福崎町西田原1512-1 TEL:0790-23-0700 http://www.accincjp.com/
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