社外エアサス導入ガイド(第6回)
エアサスの消耗品はどの部品? 日々のメンテナンスは必要なの?
エアサスの消耗品とメンテナンスを、初心者向けに解説。エアサスは取り付けまでは通常プロに頼むものだが、ユーザーが時々はチェックするべきこと・及びDIYでできるメンテナンスもある。快適に使い続けるために、知っておこう。
エアサスのメンテナンスは「水抜き」。その頻度は?
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例えば、車高調。メンテナンスなんてやったことないよーという人がけっこう多かったりしますが、実は掃除をしないと「固着」します。
●レポーター:イルミちゃん
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その点、エアサスはどうなのでしょうか?
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まずは車高調と同じですが、例えば雪道を走ったあとなどは、融雪剤がサビの原因になりますので、水で足回りを掃除しましょう。
●アドバイザー:ACC タイソン研究員
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……これ位なら、まあ、エアサスでなくてもやらないといけないコトですね。
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エアサス特有のメンテナンス、という意味では、水抜きですね。
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……水抜き?
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エアサスは空気で車高を上げ下げします。空気には水分が含まれているので、それが徐々にタンクに溜まっていくんですよ。
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どこから水が抜けるんですか?
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タンクの下側に水抜き用のドレンコックがあるので、そこから抜きます。
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それは、どの位の頻度でやらないといけないのでしょうか?
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う〜ん、そこは使う頻度によりますね。条件によっても変わります。
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水が溜まってきたら、見た目で分かる?
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いや、分からないですね。……と言うか、もしも外から目で見て気づくレベルだとしたら、もう遅いですね。
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……そこまで放置してはダメですね(;^_^A
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エアサスを組んだばかりの頃は、比較的、頻繁に車高の上げ下げをする人が多いので、1週間に1回ほど、チェックしてみることをオススメします。
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最初は、よく使うから。
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そうするうちに、「自分の使い方だと、だいたいこの位の期間で、このくらい水が溜まるな」……というのが分かるようになってきます。
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フムフム。
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人によっては1ヶ月に1回、あるいは半年に1回の人もいるでしょうし。
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そんな頻度でもいいの?
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ぜんぜん車高を上げ下げしないような人なら、それでもいいケースがあります。
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なるほど。
かえって忘れそうな低頻度。 -
あとは、自分で対処するのは難しいコトになってきますが、ホースの劣化具合をときどきチェックする、なんていうのはエア漏れを防ぐ意味でも大切ですね。
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ホースの劣化は、目で見て分かりますか?
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エアサスのホースは強化プラスチック製なんですが、劣化してくればヒビ割れとかも出てくるし、柔軟性もなくなってくるので分かりますヨ。
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そうなったら交換ってこと?
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そうですね。でも、こういうのは日々のメンテナンスというより、消耗品の交換ですよね。
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それでは次に、エアサスの消耗品についても知っておきましょう。
金属部分はサビたり、固着したりといったことが起こりうる。
エアサスの空気の通り道(配管)となるホース。コルゲートチューブなどで保護したりするが、それでも劣化は進行するもの。
エアサスの消耗品はどの部品?
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エアサスは多くの部品で構成されていますが、気になるのは「消耗品」がどれなのか?
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例えば、フッティングという部品がありますが……
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なんですかコレ?
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各部品とホースを接合するときに出てくる部品です。上のはT型で、分岐に使うものですね。
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あ〜。配線の接続に使う、端子みたいなものですね。
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エアサスは、フィッティングに問題があるとエア漏れの原因になるので、これはけっこう重要な部品なのです。
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フムフム。
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で、ホースを差し込んで締め込みますが、内部に樹脂を使っているタイプだと、一回カシメに使ったら、もう2回目は使えません。
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つまり、一回取り外してまた付けるときは交換。
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そうですね。
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……まさか、それで何万円も取られるとか???
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単品なら、数百円とかで売ってます(ACCの場合)。それと標準キットには、あらかじめ多めに入れてありますので。
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ふう。
それなら安心。 -
あとは、ホースも消耗品ではありますね。
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温度変化が激しい場所を通っていると、ホースの劣化が早まります。
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ホースはゴムではないけれど……
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素材はプラスチックです。ACCエアサスが採用しているホースは、DOTという規格品を選んで使っています。ブレーキなどと同じですね。
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単なるプラスチックじゃないってことですね。
コレがフィッティング
エアサスの基幹部品のエアバッグ、タンク、コンプレッサーは消耗品なのか?
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ホースが消耗品なのは、まあ、想定できますが、タンクやコンプレッサーなどの中核部品はどうなんでしょう?
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コンプレッサーは、どのくらいで交換するものですか?
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それは使用状況によりけりですね〜。エアサスは、車高の上げ下げをどの位するかという頻度が、人によって全然違うので。
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上げ下げの回数で変わってくる。
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ハイ。要するに「コンプレッサーがどのくらいの時間回ったか」の問題です。あまり上げ下げしない人は、コンプレッサーも回りませんので、長持ちします。
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そうなんだ。……逆に言うと、交換目安を知るのも難しそうですが。
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まあ、壊れてもいないうちからエアサスのコンプレッサーを交換する人もいないでしょうから、壊れたら交換という感じですね。
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なるほどね。
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あとは、厳密に言えば、エアバッグも消耗品にはなりますが……
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そういえば、ゴムですもんね。タイヤにも寿命があるのと同じだ。
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……しかし、エアバッグはエアサスにとってメインのパーツですので、保証期間を過ぎたら壊れるというレベルでは困ります。
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フム。
確かに。 -
ですから、ACCとしては耐久性はかなり重視していますよ。
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そういえば、ACCエアサスのエアバッグはブリヂストン製(またはファイアストーン製)でしたね。てことはタイヤ並に持つのかな。
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中には、10年以上使っている人もいます。
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ホホー。
タイヤでは無理なレベル。 -
これも、車高を上げ下げする頻度によって消耗度合いは大きく変わりますので、何年持ちますとは言えないところですが。
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年単位で使えるのは間違いなさそうです。
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とはいえ、確かにエアバッグも劣化はします。いつかヒビ割れからエアーが漏れてきたりするようになったら、即交換ですが。
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確率論からいくとコンプレッサーが先だろう、ということか…。
タンクは消耗品ではありませんが、コンプレッサーは基本的に消耗品ですね
DIY Laboアドバイザー:岡本泰三 エアサスメーカー・ACC代表。米国に渡り、ACC USAの立ち上げも実現。本名は泰三(たいぞう)だが、英語圏の人には発音が難しいらしく、US時代に「タイソン」が通称に。そのまま呼び名として定着している。●ACC 住所:兵庫県神崎郡福崎町西田原1512-1 TEL:0790-23-0700 http://www.accincjp.com/
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