社外エアサス導入ガイド(第10回)
エアサスの車高をリモコンで制御するには何が必要?
エアサスにリモコンを付けたい場合の、ムダのないオプションの選び方をACCで取材。「リモコン操作で車高をコントロールしたいだけ」という人に、必要なアイテムがわかる。
リモコンで車高をコントロールするために必要なエアサスの条件
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車高調ではできない、エアサスならではの魅力に、リモコン操作による車高のコントロールがありますが……
●レポーター:イルミちゃん
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リモコン操作で車高を動かすためには、まさかリモコンだけ買えばいいわけではありませんよね?
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リモコンだけあってもダメですね……。
●アドバイザー:ACC タイソン研究員
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そこで「車高をリモコン操作するために、何が必要なのか?」を教わっていきます。
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まず、根本的なことから言うと、機械式エアサスではなく電磁弁エアサスである必要があります。
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「なぜ機械式エアサスじゃダメなの?」と、シンプルな機械式が好きな人が思うかも、ですが……
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理由は前回解説したメモリー機能(※)と同じですが、機械式のエアサスは、手動のパドルスイッチで物理的に弁を開け閉めしています。
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この物理的な調整方法では、リモコン操作に置き換えることはできません。
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電磁弁だと、何が違うのでしょうか?
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電磁弁は、電気式のバルブです。つまり電気的なコントロール(電気信号)で、弁を開け閉めできる。ここが決定的な違いです。
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だからリモコンで、車高を変えられるようになる、ということですね。
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そうですね。順番としては、リモコンの電波をレシーバーが受けて、その指令を電気信号で電磁弁に伝えます。
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なるほど。
だから電磁弁が必須なんですねー。 -
なお、ACCエアサスの場合は、ベース(標準キット)はあくまでも故障の少ない機械式を採用しています。
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故障リスクが少ないのはいいけれど、リモコン操作はできない。
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そこで、車高をリモコン操作するために必要なアイテム「コントローラー、レシーバー、電磁弁、安全弁」がセットになったオプションを設定しているのです。
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安全弁……?
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ああ、これは以前に解説したグローブバルブのことで、電磁弁ユニットのオーバーホールが必要な事態になったら、電磁弁につながる配管を遮断するための栓です。
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確かに、「車高をリモコン操作したいだけの人」にとっては、電磁弁そのもののリスクが気になるところですね。
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そうなんです。「リモコン操作」や、前回説明した「メモリー機能」は、共に電磁弁が必須ではありますが、エアサスの根本的な仕組みとしては、信頼性の高い機械式エアサスをベースにするのがオススメです。
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ACCエアサスの標準キットにリモコン用のオプションを付けると、そういう仕様になるんですね。
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ハイ。そういうことです。そのオプションのセットを「アフターレベル」と言います。
電磁弁
✔ 両者の違いは、「エアサスの仕組み。電磁弁と機械式の違いとは?」参照。
コントローラーとレシーバー。
グローブバルブも付属
✔ ACCエアサスの考え方として、電磁弁単独でのエアサスの組み方は基本的にしない。機械式に電磁弁を併用する形を取り、電磁弁が壊れて修理が必要になっても、機械式エアサスとして車に乗り続けることができるように設計されている。
※詳しくは「電磁弁は故障する、という前提に立ったエアサスの組み方」参照。
✔ 詳しくはACC公式サイトの「アフターレベルシステム」参照。
リモコン操作+パドルスイッチ操作のW操作は、イイトコ取り方式
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機械式エアサスを残してリモートコントロールを追加する、ということは、パドルスイッチ操作も残るんですよね?
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そうです。今まで通り、室内側に設置したパドルスイッチで手動操作は可能です。
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操作性の面でも、電磁弁より機械式エアサスのほうがいいところもあるので、これはこれで便利です。
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と言いますと?
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電磁弁はどうしても空気の流量が大きくなるので、そういう意味ではビミョウなコントロールがしにくくなります。
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あー。
そういえば、電磁弁のデメリットのひとつでしたね。 -
だから、微調整しやすい機械式のパドルスイッチは、あったらあったで便利なんですよ。
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リモコン(電磁弁)とパドルスイッチ(機械式)、両方とも使えるメリットは明確にありそうです。
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そうです。ACCエアサスの考え方として、リモコンやメモリー機能が出てきた今でも、パドルスイッチがいらない、という風には考えていません。
「メモリー機能まで必要かどうか」でオプションの選択肢が変わる
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他にも選択肢があるの?
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前回紹介した、車高をメモリーするオプションも、当然ながらリモコンで車高をコントロールできます。
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そっか。それだったら、リモコン操作+メモリー機能が加わる。
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ただし、リモコン操作だけが必要な人にとっては、「アフターレベル」のほうがコストは安く済みます。
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車高を記憶する「メモリ-機能」までほしいかどうか、で決まるわけですね。
なお、今回解説したアフターレベルは「リモコン操作だけを追加したい人向け」のオプションです
DIY Laboアドバイザー:岡本泰三 エアサスメーカー・ACC代表。米国に渡り、ACC USAの立ち上げも実現。本名は泰三(たいぞう)だが、英語圏の人には発音が難しいらしく、US時代に「タイソン」が通称に。そのまま呼び名として定着している。●ACC 住所:兵庫県神崎郡福崎町西田原1512-1 TEL:0790-23-0700 http://www.accincjp.com/
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