塗装の悩みをプロに聞く
車の塗装剥がれを部分補修するときの注意点
- 1
- 2
車の塗装剥がれを補修する知識と注意点を、実例(ボンネット)を元に解説。ボンネット全面を塗り直すとコストがかかるので、部分補修する場合を想定している。
車の塗装剥がれを部分補修するときの重要なコツ
-
●レポーター:イルミちゃん
-
剥がれた塗装を部分的に補修する方法について、お話したいと思います。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
-
こちらの塗装剥がれの例はボンネット(↓)。全面塗り直しはコストがかかるから、部分補修でなんとかしてもらいたいところだけど……
-
しかし、こういう場合、塗料が剥がれた状態のままでサフェーサーを吹けば、縮みと同じような現象が起こります。
-
「塗装の縮み」って、以前にも聞いた記憶がありますが……
-
メッキパーツを塗装するときに、塗料のシンナーが、メッキと下地の間に流れ込んでいってしまうことがある……という現象の話ですね。
-
アレと同じような現象が、今回も起こると?
-
そうなんです。新たな塗料を上から吹いたときに、塗装が剥がれている断面のところから、塗装面の下にシンナーが入り込んでいってしまう恐れがある。
-
下に流れ込んだ結果、表の塗装面がシワシワになったりする現象が「縮み」でした。
-
そのリスクを減らすためには、塗装する前に、塗装剥がれの断面部分をできるだけなだらかに、ならしていきます。
-
垂直な断面を、ゆるやかな断面に変えるイメージね。
-
そこでまず、剥がれている付近を60番のペーパーを当てて削ります。
-
けっこう目の粗いペーパーですね。最初はガシガシ削るんだ。
-
このとき、塗装を削ってならしていくと、地層というか、木の年輪みたいな模様ができてきます。
-
地層? 年輪?
-
車の塗装は、いくつかの層が重なっているから、削ってならしていくと、それが木の年輪みたいに見えるというか。
-
ふむ……。
-
剥がれている部分に見えるグレーっぽい色は、鉄板ではなく鉄板の上に吹いてある下地の色です。これを削ると下から鉄板が出てきます。
-
今回のモデル車のボディカラーを例にすると、まず一番下には当然ながらボディの鉄板があって、その上に下地があって、白っぽいベースカラーが吹いてあって、その上にパールが吹いてあって、一番上にクリアの層があります。
-
削ることで、その重なりが、木の年輪みたいに見えるってことか。
-
で、そのときに色が変化していく幅が短ければ短いほど、キレイにはならされていない、ということです。
-
まだまだ断面が急斜面過ぎるってことね。
-
そうです。それをフラットに近づけるという意味では、例えば白の部分が2センチあって、パールの部分が3センチあって……というような見え方をするように、削る必要があります。
-
「変化がなだらかな年輪」を描くように削るわけか。
-
そうそう。
ここが、塗装剥がれの部分補修におけるキモです。 -
ナルホド。
-
ちなみに、ならす前の状態だと、エアーガンで吹いただけで塗装がどんどん剥がれていくような状況でしたが、ならしたあとでは空気も入らなくなります。
-
空気が入っていく隙間がなくなった、ということだ。
-
そうですね。そういう状況を作ってから、サフェーサーを吹くようにします。
-
ここまでくれば、とりあえずは剥がれない状態に落ち着いています。
-
この状況を作ってから、再塗装するんですね。
塗装が剥がれている部分は、下地が見えている。
車の塗装剥がれの部分補修は、再び剥がれるリスクもある
-
ところで、今回の20アルファードの塗装剥がれを補修するときに、右側にも小さくサフェーサーを入れました。
-
ここも色剥がれがあったんだ?
-
そこまではいってないけど、飛び石を喰らっていたんですよ。それで、今後、剥がれてくる可能性が大なので、フタをしたのです。
-
飛び石で塗装が剥がれる?
-
車の塗装の色剥がれには、最終的なきっかけがあります。
-
塗装が弱かったのが原因なんじゃないの?
-
そもそもの原因はそれですが、自然に剥がれてくることはさすがにまずあり得ません。最終的なきっかけは、飛び石とか傷なんですよ。
-
あー、なるほどね。
-
飛び石が当たって塗装が欠けると、そこから空気が入るようになり、風圧でパリパリ剥がれてくるのです。
-
そういうことだったのか。
-
ですから、色剥がれを補修するさいに、飛び石の傷が別のところにもあったら、そこも合わせて補修しておくほうがよいですね。
-
剥がれたところだけ補修してオシマイにすれば、また剥がれてくるかも。
-
そういうことです。ひとまずはキレイに直りましたが……
-
「もともと塗装が弱い」という、根本的な原因が解決されたわけではないので。
-
となると、今後の車人生においても、飛び石に注意したほうがいいってことになりますね。
-
ハイ。そこで重要になってくるのがタッチペンを用意しておくこと。
-
……ほう。
-
もし飛び石をくらったら、接着剤のようなイメージで、タッチペンを使ってその箇所を押さえておく。そうすれば、そこから空気が入って剥がれ出すのを阻止できます。
-
塗装が剥がれる前に、先に保護する!
-
放置するとまたそこから剥がれてしまい、再び、補修費用がかかります。
-
そんなことを繰り返すくらいなら全面的に塗り直したほうがよかった、って話になる。
-
そうなりますよね。だから、塗装剥がれを部分補修で済ませる場合は、その後の飛び石対策もしっかりやるようにしましょう。
ほんだ塗装で、DIYラボ連動キャンペーン実施中…!
電話でもメール相談でも、最初に、「DIYラボを見た」と言えば、「塗装代」や「取り付け工賃」が10%オフになる。「パーツの持ち込み塗装」の料金交渉も柔軟に応じてくれる。
DIY
Laboアドバイザー:本多 順
ワンオフ加工と塗装のスペシャリスト。エアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休 メールはこちら
関連記事
- 車の塗装剥がれの原因と、再塗装料金についてプロに聞く
- 車のパーツにおける、DIY塗装のリスクとデメリット
- ホイール塗装は剥がれるリスクが高い
- メッキの上から塗装ってできるの?
- ブレーキキャリパー塗装の基礎知識。塗るメリットとデメリット
- ブレーキキャリパーを分解しないでマスキングで塗装するデメリット
- 塗装が垂れる原因と対策を、プロに教わる
- 塗装の垂れの直し方は?
- メタリック塗装の垂れは、ソリッドカラーより致命的…!?
- 塗装で色ムラになる原因と対策
- 塗装はどこまで塗ればいい? 重ね塗りの止め時はドコ?
- 気温が低い冬に、DIYで塗装しても大丈夫? 何かコツはあるの?
- 塗装に失敗したときの塗料の剥がし方(FRPパーツの場合)
- 缶スプレー塗装に必要なもの。プロと同じ作業を身近なアイテムで
- 缶スプレー・サフェーサーの吹き方と、失敗しないコツ
- 缶スプレー塗装でキレイに重ね塗りするコツ
- 重ね塗りのタイミング(インターバル時間)は?
- クリア塗装しても艶が出ない。艶引けしてしまう。……原因は?
- クリア塗装までに時間を空けすぎてしまったときの対処法は?
- クリア塗装だけはDIYでは難しいからプロに頼む……はアリかナシか?
- ヘッドライトのクリア塗装をDIYでやるときの注意点
- 自作FRPパーツの塗装(だけ)をプロの板金屋に頼むことはできるの?