板金塗装をもっと身近に
ブレーキキャリパーを分解しないでマスキングで塗装するデメリット
ブレーキキャリパーを車から外さずに、周囲を全部マスキングして塗装。これは不可能ではないし、ブレーキの分解・整備の手間もないので塗装料金が安くなる。しかし本来のやり方ではないので、当然デメリットがあるのだ。
分解しないとなると足付けが甘くなり、塗装が剥がれやすくなる
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「ブレーキキャリパー塗装の費用を、もっと安くする方法はないの?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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まず、誤解のないようにお話しておくと、通常のブレーキキャリパー塗装は、分解した上で行うものです。
(↓)●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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その作業工程は、以前に教わったことがあります。
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なおブレーキの分解・整備は(お店でやってもらう場合)資格のある人でないと作業ができないし、バラすためには当然オイルも抜くので、後からオイルの充填なども必要になります。
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塗装する手間より、前後の作業のほうが手間がかかる面がありますねぇ。
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そこで「あえてブレーキキャリパーをバラさずに、車体に付いたまま塗装する」手法も考えられるのですが……
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その場合は、塗装料金が半減するのがメリット!
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しかし、今日はあえて、そのデメリットについていろいろ触れておきましょう。
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……ふむ。
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まず、足付けが絶対に甘くなる。
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「足付け」とは、塗料の食いつきを良くするために表面に傷を付ける作業です。
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しかし、ブレーキキャリパーというのは、それでなくてもゴツゴツと複雑なカタチをしていますから、車に付いた状態でやりきるのは無理があります。
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確かにね。裏側とか、そもそも磨けない部分も出てきますよねぇ。
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……となると、そこから塗装が剥がれるリスクも増えるのです。
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むーん。
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ただフォローも入れておくと、ブレーキキャリパーはオモテから触れる部品ではないので、そんなにすぐ剥がれるかというと、そうではなかったりはしますが。
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触れないんだから、剥がれない?
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ただし、ホイールを脱着するときにリムをコンと当てて、部分的に塗装が欠けるのは定番ですが、足付けが甘いと、そこを起点にパリパリと剥がれてくる可能性はある。
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当てたときの傷だけでは済まなくなる…。
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きちんと分解して塗ったケースに比べれば、しっかり塗装が密着していない箇所は多くなるので。
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そうなんですね。
デメリット・その①は「足付けの甘さ」です。
ブレーキキャリパーの足付け作業。
ブレーキキャリパー細部のマスキングが困難になる
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デメリット・その②はなんでしょうか?
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「ブレーキキャリパーを車に付けたまま、マスキングして塗る」ということは、「塗る部分以外を全てマスキングする」作業になりますが……
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このマスキングが、ムチャクチャやりにくい。
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狭いタイヤハウスの中でチクチクやるわけですからねぇ。頭ぶつけそう。
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丁寧にやるにしても限界があります。
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マスキングも甘くなる、ということは……
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「色を付けたくないところに色が付いてしまう」とか、反対に「色を付けたい場所にちゃんと色が付いていない」というデメリットは出てきます。
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アームやタイヤハウスに、色が付いてしまったりしないのかな?
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基本的には全てマスキングでガードしますから、さすがにそのレベルの心配はいりませんけど、まあ可能性はゼロではないですね。
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フムフム。
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それから前にも言いましたが、ブレーキキャリパー塗装は全面にベタっと色を付けるより、純正で色が付いてない箇所はなるべく色を付けないほうが、クオリティは高いと思うんですよ。
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純正風に見せるという意味では、「塗らない箇所」もこだわりたいって言ってましたね。
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しかし「車に付いた状態でマスキング」となると、そこには、妥協も必要になってきます。
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分解した状態でも、かなりチマチマした作業でしたからねぇ。
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ゴムのところに色が付いたりとか、そういう箇所は出てくるでしょうね。
とはいえ、ブレーキキャリパー塗装のアラは見えにくい!?
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というわけで、きっちりブレーキを分解して塗装する通常のやり方に比べたら、塗装のクオリティの高さは、半分以下になると思ったほうがいいです。
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クオリティが半分以下と言われると不安になりますが、半分しか塗れてないとか、そういう意味ではありません。
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まあ、もちろん、一見して問題ないようには見えますよ。
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実際に、マスキングだけで塗装した実例がこちら。
(↓) -
何の問題もないように見えます。これで塗装料金が半額になるなら、「十分OK!」と思う人が多いのではないでしょうか。
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しかも、ブレーキキャリパー塗装って単体でまじまじと見ることはありませんからねぇ。
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そういえばホイールが付くもんね。
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そうなんです。ホイールのスポーク越しの奥の部分に見えるだけなので、まあ、パッと見にはそんなにアラは出ないとは思います。
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ただ、よーく見たらアラはある。そのレベルの仕上がりになる覚悟は必要ですね。
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ちなみに今回の話の元になっているアウディのオーナーには、こういったデメリットは伝えたんですよね?
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もちろん。メールのやり取りでは、もっと大げさにリスクをお伝えしています。
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で、お返事はなんと?
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「あー、大丈夫ですよ」と。「残った塗料をくれれば、最悪の場合、気になる箇所があれば自分でペタペタ塗りますので」と。
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すごい柔軟性だな。
……さすがDIYユーザーというか。 -
「細かいところは気にしなくていいから、なんとかその方法で塗ってみてほしい」とのことでした。
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それで、前回のような思い切った塗装料金を提示できたわけですね。
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実際にやると、マスキングは大変でしたけどね、やはり。
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