LED自作コラム
メーターのバックライトLED交換とは、どういう作業なのか?
メーターのバックライトが切れた(または暗くなった)ら、バックライトのLEDを交換して修理する手がある。作業はLED打ち替えになるのだが、DIYでやるには難儀な面も。バックライトLED交換を、何台もこなしてきたプロのLED職人に話を聞いた。
メーターのLED打ち替えは、針を抜かないといけない
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「メーターのバックライトが切れて暗くなった。修理はできるの?」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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今日はメーターのバックライト修理の作業内容について、解説しておきます。
●アドバイザー:イルミスタ 野本研究員
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DIYで、できそうなのかというと……
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作業内容としては、メーターを分解して基板を取り出し、切れているチップLEDを交換する、というものなんですが……
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そこは、LED打ち替えと同じですね。この場合はドレスアップではなくて修理目的だけど。
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そうなんですけど、メーターの場合は、針を抜かないといけないのが問題です。
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……ふむ。
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針を抜いて基板単体の状態にしないと、バックライトLEDの打ち替えはできませんので。
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それって難しいの?
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抜くのは簡単ですよ。単に上からささっているだけなので。
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フムフム。
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しかしいったん針を抜く以上は、戻したときに針ズレなどが起こる可能性があります。
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針ズレが起こるとどうなるの?
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例えばスピードメーターなら、時速40キロで走行しているのに針は20キロを指しているような状態になったりしかねない。
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それはマズイ。
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ですので、メーターのバックライト修理をしたときは、実走行して針の動きなどをチェックする作業が必須です。
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なるほど。
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仮でメーターをつなげた状態で、実際に走って、メーターの針の動きが正常かどうかをチェックします。
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針ズレしていたら?
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もういちど針を抜いて、向きを微調整しつつ戻す、という作業ですね。
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面倒そうで、なおかつ地味に大変かも。
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この作業があるので、メーターのバックライト修理は部品のみの持ち込みでは受け付けていません。車両ごと預かっての作業ですね。
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車を預かっておかないと、針の調整ができないからか。
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LEDが切れているのは1箇所だけでも、スピードメーターもタコメーターも全部針を抜かないと分解はできないので、修理したら、全メーターをチェックしないといけないですしね。
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その点を考えると、DIYではちょっと敷居が高いな。
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まあ、みんカラ等を見ていると自分でLED打ち替えて直しました、っていう人もけっこう多いですけどね。
メーター内部の基板。
メーターのバックライトLEDの打ち替え方法
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基板を取り出せれば、あとは「切れているチップLEDを外して、新しいLEDに付け直す」いわゆるLED打ち替え作業です。
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メーターのバックライトって、どういうLEDが使われているんでしょう?
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車種にもよりますが、前回紹介したティーダを例にすれば3528チップLEDの四つ足バージョンでしたね。
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普通の3528ではないんだ。
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とはいえ、四つ足の3528チップLEDなどもエルパラで販売されていますから、それを使えば問題ありません。
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ティーダの場合、真ん中のスピードメーターの裏に2個、左のタコメーターに2個、右メーターに1個、四つ足3528が使われていました。
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これを全部、同じLEDに交換してしまいます。
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今回の例だと、切れていたのはスピードメーターだけでしたが……全部を交換?
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部分的なLED交換では、色味や明るさに差が出てしまいますからね。
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……なるほど。
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ここで問題なのは、純正状態よりは、どうしてもメーターが若干明るくなってしまう、ということですね。
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古い純正LEDより、輝度が上がるのは当然のことか。
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車種によりますけど、メーター自体に照度調整の機能が付いていたりもします。そういう機能が備わっていれば、LED打ち替え後に減光させる手もあります。
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そんな機能があるのか。
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知らない人もけっこういますね。
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照度調整の機能がない車は、多少明るくなるリスクはあるものの……メーターのバックライト修理はできるってことですね。
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ただ、注意点として、原因がLEDではないケースもたまにありますね。
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……と言うと?
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何台も修理してきて分かってきたこととしては、そもそもメーターの設計的に過電流気味な場合もあります。
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……と言うことは?
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そのパターンが切れる原因だとすると、LEDを交換しても、また切れる可能性が高い。
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そりゃそうだ。
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対策としては「より多くの電流が流せるLEDに打ち替えることで、マージンを取る」などが考えられます。
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ほお。
どんなLEDを使うのでしょう? -
四つ足の3528チップLEDだと選択肢が限られるので、通常版の3528を使いますね。
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最初に紹介したオスラム製の4つ足3528は、マックスで30ミリアンペアまでしか流せませんが、こちらは倍の60ミリアンペアまで流せる3528なんですね。
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へー!
同じ3528シリーズでもぜんぜん違う。 -
だから、通常の3528にとってはやや過電流気味の回路だったとしても、対応できる可能性が高いと言えます。
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なるほどね~。
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ただし、もともと四つ足の3528が付いていた回路に、2つ足の3528を載せるわけですから、付け方に多少無理矢理感はあります。
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四つ足が付いていたところに、二つ足のチップLEDを載せる方法は前に見せてもらいましたね。
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四つ足の3528チップLEDは、1つがプラス・残り3つの足はマイナス(アース)です。2つ足に載せ替えるには、回路上の3つのマイナスのうちどれか1つに、LEDのマイナスがハンダ付けできていれば、電気は流れます。
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ちょっと裏技チックな手法だけど、解決は可能なんですね。
✔ LED打ち替えのやり方は「LED打ち替え方法╱エアコンパネル 作業編」などを参照。
エルパラで販売している「OSRAM 3528チップLED 白色」
エルパラで販売している薄型3528白色チップLED LP-T35XW-80-BJ
DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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