LED自作コラム
プロがやっているLED打ち替えの裏技
LED打ち替えの基本的なやり方については、「LEDの打ち替え方法╱エアコンパネル編」で解説しているが、今回の話題はそういう正攻法とはちょっと違う「プロの現場の裏技」。
LED打ち替えのちょっと深い話
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LEDを打ち替えるときは、まず「純正で使われているチップLED」を確認して「それと同じチップLEDの違う色」に交換するもの……ですよね?
●レポーター:イルミちゃん
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正攻法としてはそうなんですが、じっさいの加工の現場では「純正とは違う種類のチップLED」を使うことも多いですよ。
●アドバイザー:イルミスタ 野本研究員
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そう語るイルミスタ・野本研究員の、最新の打ち替え例がこちら。
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わ〜、水色キレイ!
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これは普通の青色ではなくてパステルカラーの「アイスブルー」という色です。
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パステルカラーかぁ。打ち替えというと「白で高級車風!」みたいな例が多いと思いますが…こういう色もオシャレでいいですね!
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これはアイスブルーを気に入ってくれた女性オーナーの方からのリクエストだったんですよ。
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なるほど、なるほど。女性ウケするのも分かる気がする。
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ただ、ここで問題になるのはパステルカラーがチョイスできるチップLEDが限られていることです。
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そっか。普通の白の打ち替えのようにはいきませんね。
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LA100ムーヴカスタムの場合、エアコンパネルは3528が使われていました。3528ならパステルカラーがチョイスできます。
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ところがスイッチパネル周りをバラしてみると、もっと小さい1608が使われていました。
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ウッ……。
これは困る。 -
3020や1608みたいな小さいチップLEDには、パステルカラーがありません。ごく普通の青とか赤ならあるんですけど。
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とするとセオリー通りに打ち替える場合は、スイッチパネルは青を使うしかない?
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そうなんですけど、それだと色が合わない。
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どうするんですか?
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出来そうな場合は基板側を加工します。
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ムムム……裏技のけはい。
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プリント基板の回路パターンを削って、3528が付けられる状態にします。元は1608が付いていたということは、プラスとマイナスの間が狭いから、それを広げられれば、より大きなLEDも実装可能です。
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加工した結果、フル・アイスブルー化できました。
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こんな技がアリだとは。
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基板の設計上、できる場合とできない場合がありますけどね。
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できない場合はあきらめますか?
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それでもどうしても3528を付けたければ、配線を新設する方法もあります。チップLEDの片側だけは普通に基板状にハンダ付けして、もう片側は、引っ張ってきた配線をつなげる感じですね。
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配線とは?
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スズメッキ線などを使って、直接回路からLEDをつなぐのです。周りに影響がないように考えながら引っ張る必要がありますが。
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もともと1608が付いていたところに、大きい3528を載せるということは……3528の下に純正の回路が埋もれますよね? それって危険が……。
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そうですね。そのままだとショートしたりする可能性もあるので、やはり基板の回路は削り取ったりします。
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やっぱり削るんだ。そんなことまでするとは、プロの打ち替えはスゴイです。
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ただしデメリットとしては、元のタイプと同じLEDは付けられなくなりますね。
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あとで純正の色に戻したくなったときに困ると。
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とはいえ、もともと付いていた純正LEDは外すときに熱をかけているから、どのみち再利用はしませんが。
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では、もしオレンジに戻したくなったら?
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今付いている、3528のオレンジに付け替えることができますよね。
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あ、そっか。
じゃあ実質的には問題は出ないんだ。 -
そういうことです。
LA100ムーヴカスタムのエアコンパネル純正状態
からの
パステルカラーのアイスブルーにLED打ち替え後
LA100ムーヴカスタムのスイッチパネル純正
光源は
分解してみると、3528より小さい1608登場!
基板加工でアイスブルー化に成功
さらに
パワーウインドウスイッチもアイスブルーに
純正とは違うサイズのチップLEDに打ち替えてもいいの?
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プリント基板の回路を見て、多少サイズを換えても付けられそうな状況なら、違う種類への載せ替えは可能です。
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じゃあ、純正チップLEDより大きくして明るくしよう、とかできるんだ。
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というか打ち替えるとだいたいのケースにおいて純正より明るくなってしまうので、むしろ「明るくなりすぎ」を心配したほうがいいんです。
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ふーむ。確かにスイッチがビカー!!って光っていたら視界のジャマですね。
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それはかなりジャマです。だから僕はむしろダウンサイズのほうがオススメ。実際に白色LEDの場合は特に、そうすることが多いです。
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ダウンサイズってたとえば?
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「純正が3528のグリーンだとしたら3020の白にする」といった具合ですね。1608まで下げようとすると基板の回路のピッチと合わなくなるので、3020か3216あたりで手を打ちます。
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では純正が3020なら3216にするとか?
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そうですね。それもサイズダウンになります。
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あえて輝度を落とす、なんてこともプロはやるんですねぇ。
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普通にやると、今どきのLEDは明るすぎるんです。
チップLEDの種類はこの通り
チップ抵抗まで打ち替えるケースも!
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純正LEDが使っているグリーンとかオレンジって、LEDのきほんから言えば電圧は低いほうですよね。
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そうですね。対して白や青は高いほうですね。
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じゃあ純正オレンジを白に打ち替えるときは、電圧が高めになるから本来は適正な抵抗値が変わってきますよね?
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そうなんですけど、打ち替えのときはあまりそこをシビアに考えなくても大丈夫なんです。
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なぜですか?
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純正はもともと1キロオームとか、そういう大きい抵抗を使っていることが多くて…
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1キロオームって、自作では聞かないですね。
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つまり、もとからあまり電流を流していない。煌々と明るくするようには作られていないのです。アンペアでいうと10ミリアンペアも流していないものが多いと思います。
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そうなんだ〜。
純正も意図的に明るさを抑えているんですね。 -
だから今どきの新しいチップLEDを使う時点で、それが何色であれ明るくなると考えて大丈夫です。
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それならチップ抵抗を打ち替えるってことは、さすがに野本研究員もしないんですね。
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いや、ありますよ。
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あるんだ。
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わざわざ抵抗まで換えることがあるとすれば、それは「明るさの具合がバラついているときに統一するため」です。微調整ですね。
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明るさがバラつく? 同じ製造ロットのLEDを使っても?
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同じチップLEDで打ち替えても、純正回路の設計上、明るくなってしまうモノが出ることがあるんです。
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こういう場合は部分的に抵抗値を上げて電流を落とし、他と揃えたりすることはありますよ。
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打ち替え職人恐るべし……。LED打ち替えのご用命は、「イルミスタ」までどうぞ。
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あれ、DIYの話でしょ?
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そうなんですけど、ちょっと話が深すぎるっていうか……。さっきから頭痛が…
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でも最近、イルミスタに「打ち替え用のチップLEDを買いにくる人」が増えてますよ。初めてDIYで挑戦しようと思っている人とか。
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そうなのかー。ちょっと意外! 皆さんチャレンジャーですね。
同じLEDでも明るさに差が出ることはある!
DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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