LED自作のQ&A
3528から5050へのLED打ち替えは可能か?
読者の方から頂いた、LED打ち替えに関する質問に答えていきたいと思います
■ 質問
LEDの打ち替えで、3528(2足)をはずして、5050(6足)への打ち替えは可能でしょうか? 3528(4足)から3528(2足)への打ち替えはできました。物理的、機械的な部分をお教えいただけたら幸いです。
質問╱打ち替え挑戦中のAさん
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という内容だったのですが、どうなんでしょうか? 打ち替え職人に聞いてみました。
●レポーター:イルミちゃん
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もともと付いていた純正の3528チップLEDから、ダウンサイズして3020や3216を換装する……というのは僕もよくやるんですが、これは逆のパターンですよね。
●アドバイザー:イルミスタ 野本研究員
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そうですね。3528から5050にするということは大きいLEDに載せ替えたい、ということになりますね。
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3528はサイズが3.5ミリ×2.8ミリなのに対して、5050は5ミリ×5ミリあります。
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名前が示す通りですね。
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となると、もともと基板に付いていた3528を外した純正基板の電極に対して、ピッチが合いません。
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しかも質問者の方も言っている通り、5050は6足……片側につき3つも電極がありますもんね。
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そうなんです。その3つの足が、3528を外した電極に全部載るとは考えにくい。ハミ出てしまうでしょうね。
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確かに。
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ただし! 3528が付いている基板といっても、基板側のピッチは、自動車メーカーや車種によっても異なります。
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え!?
同じ3528基板なのに? -
そうなんですよ。ようは3528がキツめに載っかっている基板もあれば、その逆もあるんです。
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じゃあ、割とワイドピッチな基板だとしたら載るかも知れない?
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さすがに5050が載る基板は僕は今のところ見たことないですが、もしもそういう状況が作れたとすれば、5050でも光るでしょうね。
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物理的に電極に設置できさえすれば光るんでしょうか? 5050は3チップですけど?
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……とはいえLED内部では、3つのLEDが並列につながったような構造です。なので3つの足(合計6足)が載れば、普通に光るでしょうね。
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なるほど。電気的な問題というよりは、あくまでも物理的なスペースの問題なんだ。
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そうですね。難しいと言っているのは、基板上に物理的に取り付け不可能だから、という意味です。
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純正より大きいLEDへの載せ替えは、無理ということでしょうか。
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いえ。純正がもともと極小の1608だったりした場合は、3216にサイズアップして明るくする、ということは僕もやりますよ。
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そのパターンもサイズアップだから、ピッチが合わない気がしますけど?
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基板側の回路を削って、ピッチを広げたりできる場合もあるのです。ただ今回の質問は5050なので、さすがに6足を載せきるのは無理だと思います。
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周囲の回路にLEDの足が触れればショートの危険もありますので、無理もできませんよね。
5050は、3チップ内蔵の明るいタイプ
3528は、ワンチップの中では明るいが5050には負ける
3528(4足)を外した例
チップLEDのサイズラインナップ
チップLEDについての基本は、「チップLEDの種類と選び方」を参照。
3528から3528への交換で十分明るくなる
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今回の質問者の方は、明るくしたいという目的で5050への換装を考えたんだと思いますが……
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ワンチップの3528より、3チップの5050のほうが明るいですもんね。
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そうなんですけど、純正3528から打ち替えると、同じ3528でも明るくなりますよ。
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2倍とまではいきませんが、感覚としては1.5倍くらい明るくなる。
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ほほう。
でもそれってチップLEDにもよるのでは…… -
そうかも知れないですが、イルミスタが打ち替えに使っているのは全てエルパラで販売されているチップLEDと同じもの。誰でも買えるものですよ。
打ち替え後の3528基板
上級者向きながら、抵抗を変える手もある
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3528で打ち替えた。でも明るさがまだ足りない、という場合には「抵抗も打ち替える」という手があります。
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そこまでやるんだ。
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いや〜、あまりやらないですが、出来ないことはないという話です。ただしちょっと難しい。
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今回の質問者の方はけっこう詳しい人なので、せっかくですから教えてください。
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抵抗を打ち替えるときは、まず基板上の回路を見て(分析して)、LEDの抵抗がどれかを見極めないといけません。
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間違えて、全然違う部品を打ち替えたら……大変なことになりそう。
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そうなんですよ。でも純正基板といえど、抵抗があってLEDが直列に並んでいる回路設計は同じですので……
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抵抗は、直列回路上のプラス側に付いていることが多いです。ただ、車種によってはマイナス側のこともある。
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う〜ん。
どれだろう? これかな? -
ハッキリ分からない場合はやめておきましょう。
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ですね。
アハハ。 -
そして抵抗計算が必要ですよね。そのときに注意なのが、例えば白LEDだとして、直列2個で組まれている場合もあれば、直列3個で組まれている場合もあります。
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自作のセオリーだと、白と青は直列3個ですが……
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そうとは限りませんので、直列数を考えたうえで抵抗計算をしましょう。
チップ型の抵抗もある
各LED直列の前後には抵抗があるはず……
チップ型のCRDを使う手もある
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抵抗を打ち替えるのは、けっこう知識がいるわけですねぇ。さすがに敷居が高いな……。
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であれば、今どきはチップ型のCRDを使うという手もありますね。
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抵抗を外して、CRDに付け替えるってこと?
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そうです。
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CRDの場合はアンペア数のラインナップがいろいろあり、「S-153T」(15ミリアンペア)とか「S-123T」(12ミリアンペア)などが使えます。
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こんな部品もあるんだ〜。
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純正のLEDはもっと低い電流で光らせている場合がほとんどなので、この方法でも LEDは明るくなりますよ。
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大きいLEDに打ち替えるのが困難なら、こういった方法で明るくすることも可能なようです。
●CRDとは?
抵抗の代わりに用いて、LEDに定電流を流す部品。アンペア数を選べば抵抗計算などは不要で、LEDを光らせることができる。一般的な電子工作でよく使われるCRDは足つきのタイプだが、チップ型もある。
DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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